人形姫は恋に溺れる

　高三の早崎透は、女子校の王子様として名高い演劇部の看板女優だ。新入部員の鳴瀬詩帆と人魚姫を演じることになった。だが、詩帆は極度の上がり症。そのため、透は詩帆に役作りのために恋人のように付き合ってみようと提案した。

　交流を重ねて仲を深めていくうちに、詩帆は透に心を開き始める。透もまた、役作りということを忘れて詩帆を本気で好きになってしまった。そのため、透は詩帆とのキスシーンを拒絶する。不純な気持ちでキスしたくなかったのだ。そんな透を部長の月島美夜子は叱責する。透の王子様キャラは、美夜子が命令して作り上げた虚像だった。詩帆と恋人になったことさえ、美夜子の命令だった。透は美夜子の操り人形姫だったのだ。その真実を知ってしまった詩帆は、ショックで透を拒絶してしまう。

　本番当日、詩帆は自分の感…続きを読む