転生ボーナスに「妹」を選んだ兄と、チートに生まれ変わった妹のRE:START

究極の雨女

冒険者ギルド『ラビットフットの夜』

001 始まりの話

 これはあくまでも、もしもの話である。


 もし、もしもだ。

 もしもお前が、下校中に死して突然別の世界に強制転生させられることになったとして、そこで出会った女神に「何でも一つ、転生ボーナスを与えます」と言われたら、お前なら何を望むだろうか。

 チート能力。最強装備。巨万の富。

 一つの願いを百に増やしてくれ、なんていうのも、頓知がきいていて良い。

「あぁ……これはやらかした」

 俺は、あの日の事を思い返す度に、何度だって残念がる。

 だってそう言っていれば、異世界で俺は、勇者にでも億万長者にでもなれただろう。

 でも、仕方がない。あの時の俺が、ああ言ってしまったのは。

 だって、俺の唯一の心残りは、お前だったから。

 生前何度も機会がありながら、終ぞ本音で話し合わなかったことを、俺はいつだって悔いていたのだから。

「…………」

 兎に角、これは不可抗力なのである。

「おい、花。花」

 だから今度こそ、話をしよう。

 このチャンスを俺は、決して逃さない。

 親愛なる妹へ。兄より、愛を込めて。


 愛を込めて、転生先で、俺はお前を待つ。






転生ボーナスに「妹」を選んだ兄と、チートに生まれ変わった妹のRE:START

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