流転のペルソナ

江戸端 禧丞

死師

 シザリアスという学園都市の中にある街、そこには数々の都市伝説や七不思議と言われる奇妙な現象が起こる。


 街の小学校もしかり、つい先日もその学校在籍の小学生3人組が、夕方4時44分頃に死んだ。彼らのうちの1人はそこに何かが居ると感じてはいたが、死からは逃げられなかった、相手が何よりも生物の死にこだわる死師ししという存在だったからだ。


 全身が黒一色の死師は、とても赤い唇と真っ白な肌が特徴的で、同族揃っていつも柔らかな笑みを浮かべているのが、不気味さを増幅させている。彼らに常識は通じない、そもそも彼らの姿を視られる者が少な過ぎる。


 魂を切り離して喰らう時以外、普段はごくごく一般的で何の妖しさも無い人間に見えるものだから、誰も死師の存在に疑問を抱くこともない。今日も彼らは、この大規模学園都市シザリアスの中で、ひっそり、じっくり、獲物を選定している。

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流転のペルソナ 江戸端 禧丞 @lojiurabbit

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