第2話:宇都宮釣り天井後編(嘘か真か歴史の闇に・・完)

(朗読)

同じ年秋。出羽山形の最上氏が改易。正純は幕府の使いとして、山形城受け取りのため山形に向かいます。この旅立ちこそ、本多正純と宇都宮との別れでした。山形城の受け取りが終わるや否や、数々の罪状を突きつけられ 正純は失脚。本多正純・正勝親子は、そのまま出羽に流され、後に、今の秋田県横手市の横手城に囚われの身となります。


(薩摩琵琶語り:和歌)

「ひだまりを 恋しと思う うめもどき 日陰の赤を 見るひともなき」(伝:本多正純作)


(朗読)

あれほどの実力者の失脚!世の人は真相を求め、様々な噂が飛び交います。それが「伝説 宇都宮釣り天井物語」。時は寛永13年 将軍家光は日光参拝のため、宇都宮城に泊まることになります。この日のために、城内に釣り天井を仕掛けたのが 本多正純。陰謀を隠すため、大工達全員を、工事が終わると殺害してしまいます。お稲の恋人 与五郎もこの一人。真相を知ったお稲は自殺。これを知ったお稲の父は、「書き置き」と「釣り天井の見取り図」を手に、将軍の行列に直訴!家光は逃れ、事件が明るみに出た・・と言うお話です。 


(薩摩琵琶語り)

嘘か真か歴史の闇に 何想う横手の墓標。頃は寛永七年夏五月。

嫡男正勝 黄泉路に旅立つ。

「正勝の新盆か 父を許せ」と西の彼方に手を合わす。


(朗読)

「御政道の裏表知らぬほど落ちぶれはせぬ。我らは捨て石か」


(薩摩琵琶語り)

夜半の月冴え渡り 月に問い 自らに問う。


(朗読:琵琶伴奏あり)

「さてもさても 宇都宮 釣り天井。悔しき事を聞きつるぞ。見るべきものを全て見て、今又聞くべきものを全て聞く。これ我が天命か。我が悪名、後の世まで残ろうぞ・・あの世で笑うか家康殿。

さても最後まで、死しても権謀術策 優れし名君。

これは又 一本 取られて候う」


(朗読:幸若舞の敦盛より)

「人間五十年 化転のうちに比ぶれば 夢幻の如くなり 

一度生を受け 滅せぬ者のあるべきか」


                   ~~~~完~~~~



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朗読のための~宇都宮釣り天井と本多正純の物語~ 花より???? @yueikasui

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