スラム街の宝石売り
@rosa_kato
第1話 プロローグ
「宝石には、様々な色、形、大きさがある。
そんな宝石にもいろんな想いを募らせ皆が憧れる。
そんな宝石達も人間を愛したかのように、人間に買われとても愛される。
逆も然り、人間は宝石のように光り輝き様々な容姿、心を持つ。
宝石も人間も同じなのである。
人間はみんな宝石の原石であり、ダイヤモンドの原石かも知らなければエメラルドなのかもしれない。磨けばいずれ輝く、その思いを人間は忘れてはいけない。」
僕は、売れない宝石を毎日眺めながら独り言のように呟いた。今日も誰一人客は来なかった。知り合いの紹介でここで宝石を売ってはいるが、どう考えてもここはスラム街の入り口。ここで商売が成り立つわけがないと1人で笑いながら店を閉める。
今の時代、インターネットで物好きが宝石を買ってくれるので、商売には困ってはいないが、店で売れたことは一度もない。
不満はないわけではないが、この場所をただで貸してもらっているので文句は言えない。
店を閉め終わると、毎日行きつけの酒場に行き、そこでも人を眺める。
今日も、変わらず皆バカ騒ぎをしている。遠い席に1人スーツを着た男性を除けば何も変わらない。先ほどから見られているような気はするが、自分も変わり者だから仕方ない。
いつもと変わらない酒を飲みいつもと同じ時間に店を出る。そしてスラム街の入口に戻ってくる。
それが僕のルーティンだ。
スラム街の宝石売り @rosa_kato
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