何故、人は身体に悪いと知りながらジャンクフードを食べてしまうのかという人類の永遠の命題に向き合ったエッセイです。
こってりが特徴の天下一品のラーメン。人前では行儀が悪いと躊躇ってしまう残り汁へのご飯ダイブも天一では推奨している。そこには食べ方に貴賤はないという食の寛容さがある。
自身の人生の傍らには常にジャンクフードがあったという作者。受験生の深夜勉強や、会社員のハードな残業を戦い抜くには、ヘルシーな料理にはない油分、塩分、糖分によるエネルギー補給が求められる。ジャンクフードは過酷な現実社会を生き抜く現代人の知恵なのだ。
曰く、若い頃に身体を気遣ったとして、老いてからは好き食べられなくなる矛盾した肉体を我々は抱えている。食の満足を失えば「ニコチン」、「カフェイン」、「アルコール」の三大栄養素に頼らざるを得ないが、それらを過信した作者の後悔を我々も重く受け止めなければならないだろう。
ジャンクフードを食べることは、そもそも健康でないとできないことだ。それにジャンクフードは空腹を満たすだけでない、気持ちの満足感が得られるように思う。作者を見習い、これからも真摯な気持ちでジャンクフードをいただくことにしよう。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)