第16話 ジェンダーフリー:衝撃の告白


 父:一郎

 母:さき

 兄:たける

 妹:静香



父「たけるよ。よく聞いてほしい」

兄「何だよ親父、改まって」


父「父さんはな、お前の本当の父親ではないんだ」

兄「なっ、何だって!」


父「父さんはな本当のことを言えば、お前のお母さんなんだ」

兄「え??? どういうことー!」


父「父さんは実は女なんだ」

兄「えー! 親父が実は女で俺のお袋!」


父「そうだ」

兄「じゃあ、俺の本当の父親は誰なんだよ!」


父「母さんだ」

兄「えー! じゃあお袋は本当は男で俺の親父なのか!」


父「そうだ。お前は女である父親と男である母親から生まれたのだ」

兄「どうしてそんなことに!」


父「それもこれも愛のなせる業だ」

兄「なんだその複雑な関係は、俺はどう反応すればいいんだ……。それで俺はこれからあんたの事をどう呼べばいい。親父なのかお袋なのか」


父「どちらでも好きにすればいい」

兄「だったら、今のお袋の事はどう呼べばいい。親父なのかお袋なのか」


父「どちらでも好きに呼べばいい」

兄「それ決めてくれねえと、訳わかんなくなるぞ! 今でさえ混乱してるのに!」


父「まあ聞け武よ。そんな事より大事な話がある」

兄「そんな事じゃねえだろ! 大変なことだろうが! それよりさらに大事があんのかよ!」


父「ああ、実はな妹の静香は私たちの子供ではないのだ」

兄「えー! どういうこと!」


父「静香はな昔私が付き合っていた女性の子なのだ」

兄「いや、ちょっと待て! 今お前、自分は女だと言ってたよな」


父「ああ、そうだ。私はビアンなのだ」

兄「さらっと、とんでもないこと告白しやがったな! 俺はビアンの父親から生まれてきたのかよ……」


父「ああ、そうだ。そして、さらに言えば静香の父親は母さんの昔の彼氏なのだ」

兄「ちょっと待て! お袋は実際は男なんだよな……」


父「ああ、そうだ。ゲイと言うやつだ」

兄「うわー、やっぱりか。それじゃあ何か。俺はビアンとゲイのカップルから生まれてきたということで、妹とは血が繋がっていないと言う事か!」


父「ああ、そうだ」

兄「めちゃくちゃ複雑なことになってるじゃねえか! どうすんだよこれ」


父「そこで一つ提案がある」

兄「提案?」


父「ああ、そうだ。この複雑な事態を簡略化する為に、やってもらいたことがある」

兄「どうすんだよ……」


父「武、妹の静香と結婚してくれ」

兄「いや、しねーよ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『お笑い研究所(仮)』――βテスト実験版 永遠こころ @towakokoro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ