勇者覚醒、勝利の一撃は友情の顕現

――――勇者よ、死んでしまうとは情けない。


『女神様、俺の力では魔王には歯が立ちませんでした⋯⋯ごめんなさい』


――――勇者よ、今こそ貴方の真の力を解放する時です。


『俺、全解放したんですが、全然ダメでした⋯⋯』


――――大丈夫ですよ、貴方の秘められた力ならば魔王を打倒し得ます。


『でも、根本的に力の差がとてつもなくて⋯⋯』


――――は?


『え⋯⋯⋯⋯?』


――――やりなさい。


『はい⋯⋯』


――――貴方はただ、本当の力に気付いていないだけなのです。

――――そんな間抜けに、私が真の力を口伝しましょう。




――――

――



「魔王―――ッ!!」

「立つか、勇者!!」


 ずっと昔から定まっていた宿命のように、勇者と魔王は向かい合った。


「みんな!」


 勇者が両手を掲げた。


「俺に力を分けてくれ――――ッ!!」


 勇者の叫びに呼応して、仲間たちが黄金に光り出した。彼らは、感覚的に理解する。


「受け取れツヨシ!!」

「もってけツヨシ!!」

「ツヨシくん……!!」


 勇者パーティのの力が、勇者ツヨシの手に集う。一つにまとまったその力。世界が祝福の歌を奏でた。勝てる。確信があった。勇者ツヨシは魔王に力強い視線を向けた。


「ほう――――これは」

「見せてやるよ、絆の力だ!!」



『真☆ツヨシ(絆の覚醒)』

体力:3009996

攻撃:211427

防御:204394

魔力:104297

俊敏:215772







――――私の力もお貸ししましょう。


『女神伝説の勇者ツヨシ』

体力:99兆(と少し)

攻撃:7兆(だいたい)

防御:5兆(より多め)

魔力:9兆(超えてる)

俊敏:2兆(端数切捨)




 魔王は言った。


「勇者TUEEEEEEEEEEEEE――――!!!!!!!!!!」


 ケンジは言った。


「勇者TUEEEEEEEEEEEEE――――!!!!!!!!!!」


 ブトカは言った。


「勇者TUEEEEEEEEEEEEE――――!!!!!!!!!!」


 ケンシャは言った。


「勇者TUEEEEEEEEEEEEE――――!!!!!!!!!!」


 そして、ツヨシは言った。


「俺超TUEEEEEEEEEEEEE――――!!!!!!!!!!」



 溢れる力を、勇者は剣と振り下ろす。


「勇者ブレード(絆)――――――!!!!」

「ま゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛――――――――!!!!!!!!!!」


 大魔王を倒した!




――――

――



 魔王が倒れ、世界に平和がもたらされた。一連の人魔戦争は『女神伝説』として語り継がれるようになった。そして、激闘から十年――――


「結婚してくれ、ケンシャ」

「嬉しい……」


 勇者ツヨシは、仲間たちに祝福されて幸せの道を歩み始めた。この幸せが永遠に続くとは限らない。だが、決して手放したりなんかするもんか。そんな決意が満ちている。


(能力や強さなんて些細なものだ。本当に大事なのは――――立ち向うという勇気なんだ!)


 おめでとう、勇者ツヨシ!

 コングラッチュレーション!

 おめでとう! おめでとう! お幸せに!

 ツヨシたちの勇気が世界を救うと信じて!

 ご愛読ありがとうございました!

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(イン)フレイブ・ストーリー ビト @bito

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