没話② 小倉トースト(後編)

 あ、きたきた、来ましたよ。


 小倉トーストと、コーヒー。


 それと、豆?


 コーヒーと一緒に豆が出てきました。


 コーヒー豆ではないです。


 普通の豆です。


 なんか、節分の日に給食に出てきた大豆の子袋、あれに見た目は似ています。


 前に来たとき、こんなの出てきましたかね?


 さて、どう食べるか計画を立てましょう。


 コーヒーにミルクと砂糖を入れながら、私は考えます。


 よく分からない豆が出てきたのは、予想外でしたが、きっとコーヒーのお茶うけなんでしょう。


 コーヒーのお茶うけ?


 コーヒーうけ?


 コーヒーのおつまみ?


 ちょっと日本語がしっくりきませんが、きっとそういうもののはずです。


 とりあえず、この豆はきっとコーヒーに合うという想定でいきましょう。


 コーヒーを飲んだ後に頂く感じでいきましょう。


 一つ食べて、あんまり合わなかったら、最後に残しておいて、別で食べてもいいですし。


 問題はトーストのほうです。


 トーストはスライスが二枚分なのですが、上半分と下半分で切ってあって、四枚になっています。


 上半分のほうが耳の近くがサクサクしていて好きなんですよね。


 で、あんことマーガリンをどう使うかが、重要なんですよね。


 一枚目はあんこだけ、二枚目はマーガリンだけ、三枚目と四枚目は、両方。


 そんな風に味に変化をつけてもいいですし。


 いや、でも今回は、やめておきましょう。


 私は、マーガリンを四枚全部に塗っていきます。


 耳の近くをちょっと多めに塗って。


 あんこをその上から塗っていきます。


 じゃあ、まず一枚目は上半分のほうから食べていきましょう。


 もぐもぐ。もぐもぐ。もぐもぐ。


 あーいい。


 マーガリンの油と、小豆の甘さ。


 カロリー的にはよろしくないですよ、この攻撃的なおいしさ。


 一枚目を食べてからコーヒー。


 やっぱりトーストには、コーヒーですね。


 甘いものには緑茶派の私ですが、トーストといったらコーヒーですね。


 うん。


 苦いですが、いいコーヒーですね。


 さて、では、この豆をいきますか。とりあえず、一つ。


 ポリポリ。


 う、これは。


 私はすぐコーヒーを飲みます。


 これ、美味しすぎますよ。油断していました。


 甘じょっぱくて、コーヒーにすっごく合う。


 もう一度豆を食べます。


 次に小倉トースト。


 あ、これもいい。


 豆のしょっぱさとあんこの甘さが良い感じ。


 トースト。


 コーヒー。


 豆。


 トースト。


 コーヒー。


 豆。


 あれ、ない。トーストがない。


 なんだか、いいテンポで食べ終わってしまいました。


 こんな計画じゃなかったのに。


 落ち着いた店内で、ゆっくり食べようと思ってたのに。


 これは負けですね。


 店員さんを呼んで、私はコーヒーを追加で注文します。


 いやーびっくりしました。


 もうちょっとゆっくりしてから帰りましょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

今日はデザート日和 なるら @narura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ