第2話 月月火水木金金

就職氷河期の選択肢は2つ。本気で入隊するか、入隊する方がマシな企業に入隊するかだ。それがマジなんだ。

けど、ちゃんと研修してくれたのは有り難かった。今じゃネットで介護と飲食はクソ地獄って言われているけど、介護は知らないが飲食は20年前からクソ地獄だった。

凄いぜ。10分でメシを食えとか、罵声。バイトのボスが冷凍庫からベン&ジェリーズのアイスを持って行くのも黙認。って言うか注意したら自分がヤラレる。別にホラれる訳じゃなくて、店舗内で干される。


朝6時まで仕事して朝9時に出勤した事もあった。中世の奴隷の方がまだ楽だったんじゃ?パキスタンの縫製工場の方とか?


基本給は21万。まぁ悪くなかったが、まずびびったのが上司、同僚にあんまり大卒者がいない。元警備員とか生鮮市場の人とか自衛隊で偵察してた人とか、あと自称忍者もいた。ベビーメタルで食えないから忍者になったとか言ってたが、奥さんが死ぬ程キレイだった。この人は後々本社教育部門に異動していった。


自分はマジで仕事する上で大卒の肩書きなんてクソほども役に立たないって事をショックを伴って学んだ。そういう業界だからなんだけどな。

やっちまった!としか思えない。

通勤は命がけだ。普通に通勤してたらバイクで寝てしまうなんてないだろう。バイクもそんな事に対応できる様に作られてないからな。

何度かバイクを運転しながら寝てしまった。あまりにも疲労が蓄積してたのと寝不足の為だと思う。

前の車に突っ込む寸前で目を覚まして失禁しそうになったのなんか1度や2度じゃない。

これ以上続けるのは生命の危機に直結するから辞表を出した。色々言われたが、色々言ったヤツが自分が車に突っ込んでも何をしてくれる訳じゃない。


自分は新卒という日本の職歴の最強カードを早々にドブに捨てて人生を流浪するコースに編入した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Have you ever seen エビリファイ 軍曹 @kyouhei1013

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る