第3話
四年前のある日。僕は六年生だった。
成績は普通で、「陽」や「陰」とかいうくだらないカテゴリでは、どちらかと言うと「陽」に分類されるような人間だったと思う。
そんな僕は、七人のクラスメイトたちと、流れ星を見に行く約束を取り付けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕が待ち合わせ場所に向かうと、背の低い少女がこちらに駆け寄ってきた。
「よっ、沙耶。早いな」
待っていたのは沙耶という女の子。クラスで密かに人気がある。僕の幼馴染だ。僕の幼馴染だ。大事なことなので二回言わせてもらった。
「あっ怜くん、そんなことないよさっき着いたばっかりだもん」
沙耶は早口でそう言ってこちらに笑いかける。
すると遠くから僕らを呼ぶ声がした
「おーい!」
僕らを呼んでいたのは残りの五人。
「早いな二人共。一緒に来たのか? あっ! もしかして――」
茶化しながら聞いてきた男子は宮原くん。クラス一のチャラ男である。
「いやいや、そんなことないって!!」
思わずかぶせ気味にそう言ってしまった。
「なんだ、そうなのか〜。面白くないなぁ」
そう言って宮原くんは地面に落ちている小石を蹴りとばす。
こっそり沙耶に視線を向けると、なんだか悲しそうな顔をしていた。
少しだけ罪悪感を覚えたが、何に対しての罪悪感か僕にはわからなかった。
星の願い事 あいれ @wahhuru
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