第3話 魔女の性


目の前にいる黒服の神父は私たちの同胞の頭を次々と粉々にしていく。

なんとおぞましいことか。

何よりもその神父の表情に歓喜も、悲嘆もない、虚無だ。

心がない、人形のように淡々と、私たちをまるで包丁で切られる野菜のように調理していく。

私はとっさに逃げようとする。

何がいけないだろうか?

矜持、道徳(モラル)?知らん!人間誰だって自分の命が危険にさらされたら、保身になって他人のことよりもプライドよりも自分の命を大事にするに決まっているんだ!

例え今私が逃げたとして、なんの落ち目がある?誰が私のことを責める権利があるのか?

私は振り向いて全力で逃げようとした途端だ。

私の足が何かにつかまれる感触がした。

私は振り向いて人生最後の後悔をする。

そうか、そうだったのね。

胡散臭い宗教よりも実用的で素晴らしいと思っていたけど、なるほど、これが魔女のさがだったのね。



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一つ言っておく。

俺は魔女狩り専門じゃなくて、吸血鬼専門だ。

そのため俺は魔女の処刑の仕方、後始末(魔女の心臓はきっちりと銀のナイフだとかで突き刺すなど)、そういうのもわからんのだよ。

だから俺はひと段落して、終わった終わったさーて昼寝でもするかと、余裕ぶっこいていたせいで周囲のうごめく違和感にも、気づくのが遅れたのだ。

真っ赤な血や肉片、魔女の死体が生き物ように分裂して数カ所で集まっている。

それは着ている服を巻き込んで混ざり合っていき、世にも恐ろしい化物を生み出していく。

腕と腕を組み合わせて翼のように羽ばたかせる首のない化け物、腕に人の上半身をつけた首のない化け物や体の至る所に人間の手足がくっついている化け物というような数々の化け物が生まれていた。

そして現在声も出せないほどに必死に逃げている。

後ろから化け物たちが大量に追いかけくる。

まだ悪夢の方がベットの温もりだとか感じられるから生温い。

俺だって必死に戦ったんだんだよ。

でもあいつら粉砕しても粉砕しても何度も蘇ってくるじゃん。

無理だって・・・誰だって逃げ出すだろこんなの。


「何してるんですか?!ルイ先輩!!」


そこにやってきたのは、俺の後輩であるシャルルだ。


「助けてえええええええ!!!!!」


俺は必死に叫ぶと、彼女がボソボソと何か言った気がするが、この状況なので不問にした。








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魔女狩り専門の祓魔師 聖腕の祓魔師のお話 縁の下 ワタル @wataru56

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