第2話 西の森での話

「あのう、シャルルさん」


豊満な体をしている、あのルイを起こしたときの、シスター服の女性が剣を身につけている正義の先兵こと、シャルルに声をかけた。


「ん?どうしたんですか?」


「一応、彼のこと見に行ってもらってもいいですか?」


「見にいく?お節介だと思いますよ?」


「ええ、わかってはいるんですけど・・・あの人爪が甘いので・・・」


「なるほど、確かに先輩は無気力人間の面倒臭がりですからね、確認とか色々適当にしそうですもんね、私も、油断すると言うのは正しくない。ですから少し見に行ってきます」


「はい、お願いします!」



俺は森の中に入り、歩いていると、木の影や背後など、周囲から不穏な気配を感じる。

来たな、と冷静に俺は冷静に判断する。

影から、様々なところから出てくる怪物たち、そうして俺はいつの間にか囲まれていた。


「来たわね、祓魔師ちゃん」


どうやらリーダー格らしき黒ローブを纏った奴が前に出てきた。


「娘はどこにいる?人質を解放しろ」


「娘?ああそう言う話だったわね、いないわよ、そんなの」


「はあ、だと思った」


俺は吐息をつく。

娘がさらわれて、錯乱しているにしては随分と冷静に的確な場所が言えるもんだ。普通だったら、曖昧に指をさすだとかそう言うふうに言うと思う。


「へえ、わかってて来たの?馬鹿じゃないの?普通、一人じゃ来ないでしょ?」


「生憎、俺は普通じゃないんでね、あと今回のことはお互いに水に流そう、娘がさらわれてないってことが確認できたし、俺は他の奴と違って、魔女見つけた!よし殺す、とは言わない。きっちりとした博愛主義者だからな、と言うはわけでお互い今回はなしってことで」


面倒だし、何より血がついた洋服を川で必死で洗うの嫌だし。


「ふーん、逆に聞くけど、この状況、この人数、この立地、こんな優位な場面をみすみす逃すと思う?」


そう言うと、周りに控えている魔女たちが一斉に武器を構える。ナイフや剣、鞭に斧、多種多様な武器を携えているのが影から見える。

俺はついつい吐息を漏らす。

俺が左手を構えようとした途端、木の影に隠れていた一人が斧を振り下ろし俺に襲いかかるのを華麗にかわし、左拳を、奴の顔面に思い切り殴りつけると、奴の頭が粉々に四散する。

飛び散る肉片と血しぶきが潜伏している他の魔女を戦慄させる。

俺は血に濡れた左拳を握ると、目の前の魔女を見据えて、


「一応聞く、殉教するか、逃げ出すか、今ここで俺に殺されるか選べ、俺は二番目を勧めておく」


俺が言うのに対して、怯えてるような奴もちらほらいるが、逃げ出す奴は誰もいなかった。


「わかった、後悔すんなよ」


俺は左手を構えて静かに宣言する。





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