魔女狩り専門の祓魔師 聖腕の祓魔師のお話
縁の下 ワタル
第1話 聖腕の祓魔師
これはとある二人の魔女の話である。
「ねえねえ! お姉様! 聖腕ってご存知ですか?」
「聖腕? 聞いたことはありますが?それがどうしたんですか? 」
「これはある聖遺物のことなのですが、これを左手に宿す少年がいるですって、すごくないですか? 」
「すごい? すごいかどうかわかりませんが、確かにもし鉢合わせしたら厄介だとは思いますよ」
「しかもその上級祓魔師で忠義の尖兵を冠しているらしいです! 」
「まあ、正直、厄介だとは思いますが、上級祓魔師の中には50人の魔女を一瞬で葬り去った奴もいるので、聖腕は大したことはありませんよ」
「50人!! を一瞬で……」
「それにあなたはこんな言葉をご存知ですか?」
「? 」
そう言って憤怒の魔女は嘲笑しながら言うことには、
「ロイヤルタッチ」
ベッドの上は心地がいい。
木窓から差す斜光を嫌う人も居るだろうが、俺はその光があった方が暖かく、まるで神に照らされているかのように穏やかな気分になる。
ああ、いつまでもこのままでいたいと言うのは俺のわがままだろうか? いや、わがままではないはずなのだが、
「起きてください! 」
俺は今、誰かに揺すられている。いつも俺のことを起こしにくるお節介なシスターである。
俺は目を開けながら起き上がると、そこには紺の修道服を着た少女が頬を膨らませながら、こちらを見て、手に腰を置いていた。
そしてこの少女はすごく胸が大きい。
紺の修道服の上からでもわかるそのボインはこちらの情欲を昂らせるものがある。
まったくなんて淫乱な奴だ。(歓喜)
「今、変な目で見ましたよね? 」
「ん? いや…見てねえよ」
俺は目を半開きのまま片手で目を擦りながらというフリをして誤魔化しながら、
「それよりなんだ? いきなり? 人様が気持ちよーく寝てるっていうのによー」
「仕事ですよ! 仕事! 」
シスター服の女性は腰に手を当てて言う。
「仕事? マジか…めんどくせえ 」
俺はため息をついた。
仕事というのは、俺たちが祓魔師って呼ばれてるんだから、わかると思うが、魔を祓うことを言う。
魔を祓うというのは、人間の肉体から祓うことも一つだが、もう一つとしては相手をこの世界から追い出すこと。
ぶっちゃけ言うなら殺すことだ。
魔の種類は悪魔とか魔女とか吸血鬼だとかそこらへん。
ちなみに俺は吸血鬼専門だが、それ以外の仕事もしてるというかやれと言われる。
今回の依頼はまだわからないが、手紙を見ればわかるだろう。
依頼は、手紙をポストに入れる方法で依頼を受け取っている。
「め、めんどくさいとか言わないでください! 」
「悪かった…悪かった、 頼むから大きな声で怒鳴らないでくれ、頭に響く」
俺は自分の頭を押さえた。
そこでシスター服は嘆息。
そして、扉から出て行った。
俺は部屋を見回してみた
木窓から見える木は風に揺られ、ザーという、葉と葉がぶつかる音が聞こえる。
「さーて、行きますか」
俺は木で作られたベッドから出て、支度をすることにした。
<<<<<<<玄関出た時である>>>>>>>>>
「あれ、お前なんでいんの? 」
「いてはいけないのですか?! わざわざ待ってあげた人に対しての言葉としては『正しくない』ですね! 」
祭礼館の玄関を出るとすぐに、腰に剣を帯びている、ツインテールで、小柄の少女が大の字で、まるで通せんぼでもするかのように立っていた。
こいつはシャルル。 俺の後輩の
まあ、とにかくこいつは『正しいこと』ってことに滅法うるせえし、ものすごく堅い女で質実剛健って言葉をそのまま当てはめたようなやつ。
女らしさってやつが出てくるのはケーキを食べているときぐらい。
「人様の通り道に大の字に立っていることはお前にとって『正しいこと』なのか? 」
そう言われたシャルルはじーとなにかを考えるように俺の目を見た後に
「確かに『正しいこと』ではないですね、すみませんでした」
シャルルは丁寧に頭を下げて謝罪し、道を開けてくれた。
素直だな、こいつ。
こういうとこが俺がこいつを嫌いにならない理由なのかもしれん。
俺は玄関の近くにある郵便箱をに向かう。
郵便箱に入っていた手紙を手にして、
「んで、お前なんで待ってたんだ? 」
「なんでって…招集ですよ! 」
「ああ…あったな」
招集ーーどうやら上もそろそろ本格的に悪魔真教を潰す気なったらしい。
たぶん、作戦やら何やらが伝えられてくると思う。
「つーことは全員来るのか? 」
「はい、 希望さん、信仰さん、不屈さんも来ますよ」
シャルルは嬉しそうに言う。
多分会うのが嬉しいだろ。
こいつ、よく可愛がられてたし。
「あれ? ルイ先輩はどうしてそんな顔してるんですか? 」
「どうしたもこうしたもあるかよ…」
俺はぐったりする。
俺は信仰と希望が苦手だ。
別に嫌いとは言わないけども、すごいと尊敬しているけれども、苦手だ。
だって会った途端に説教してくんだもん。
希望さんは会った途端に怖い顔つきで「あなたは不真面目です」と長時間怒られ、信仰にも会った途端に「あなたには信仰が足りません」と正座させれて長時間説教される。
「疲れるんだよ、ほんと」
「いい人たちですよ、あの人たちは」
「お前はそーだろよ」
人間平等であっても、人によって対応は違うんだよ。
「それじゃあ依頼こなしてくるからよ」
「招集はどうするんですか? 」
「大丈夫だすぐ終わる、ささっと終わらせるからよ 」
「はい! それじゃあ私は待ってますね!」
「了解、それじゃあまたな」
俺は適当に手を振って、依頼主のところへ歩いていった。
俺は徒歩で村の末端にあるみすぼらしい小屋に到着した。
「おはようございます! 」
俺は相手に聴きやすいようにハキハキとして大きな声で挨拶をして、玄関からお邪魔した。
挨拶は人間として当然の行為だ。
「お…おは…ようござい…ます」
木造の家に入るとそこには怯えたおじさんが座っていた。
「大丈夫ですか? お怪我はありませんでしたか? 」
「ああ、大丈夫だ… 」
ひどく怯えていて立てそうにないほどに震え上がっている。
俺は椅子借りていいかおじいさんに聞くと了承してくれた。
「どうされましたか? 」
俺は丁寧にその怯えたおじさんに話を伺う。
「娘がさらわれて…」
「どこにさらわれたんですか?」
俺が言ったあと瞬間におじいさんはガクガクと膝を震えさせながら俺に泣きついた。
「北西にある森林に連れ去られて… 神父様、どうか…どうか娘を…」
「わかりました、すぐに向かいます 」
と言って椅子から立ち上がってすぐ北西にある森へ向かった。
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