第1話 第1節 赤色の少女
僕の視覚から失われた色の中にもちろん赤色は存在する。だが、どの赤色までがなくなったか定義しにくい。それは、赤色には、約500色の種類が存在するからだ。赤色には、視覚的情報のほかに、感情を表すこともある。ほかの色でも同じことが言え、それにもたくさんの種類があるから厄介だ。例えば、怒りや情熱などの感情を赤色で表現することがあり、ほぼすべて違った感情であることが多い。このことから、色というものは視覚的にも感情的にも実にあいまいな定義の中存在する。では、これらの境界を我々はどう判断しているかというと、それは環境的な要因が絡む。これは自分の持論だが周りの色によって赤色が判断されると思っている。
ここで考えてほしい、じゃあ僕はどのようにしてその色を判断するのか?その答えを、僕は“赤色”の少女との出会いで見つけた。
私立彩虹高校は、小学校から大学まで続く一貫校で、すべての学年が一か所に集中しており敷地面積189,595平方メートルという大規模な学校である。学校内は、主にバスと自転車で移動し、基本すれ違う人は見知らぬ人ばかりだ。
僕は、いつものように講義に向かうためバスに乗った。
「次は、彩の宿舎~、彩の宿舎~」
バスのアナウンスもいつもの通り流れる。彩の宿舎、全部で四つある女子寮のうちの一つであり、僕の降りるバス停の一個前に止まる停留所である。ここでは、必ず女の子が三人乗ってくるが、今日は四人の乗車となった。
「待ってくださ~い!!」
「っ!!」
大きな声を張り上げて一人の女の子がバスへ向かい駆けてくる。
「ありがとうございます!!」
バスの運転手は、彼女を見ると微笑んだが、僕はその光景に驚きを隠せない。普段、僕の視界には白黒の世界が広がっているが、その女の子は真っ赤に染まっている。正確に言うと、心の部分が赤く染まっていたのだ。二年間で初めての体験であり、不覚にも僕は彼女のことが気になってしまった。
(僕は何を通して彼女を赤色と認識したのか)
答えをこの出会いをきっかけにわかるかもしれないと僕は心の中でそう思いながらバスを降り、なぜだかわからないがいつもとは違うルートで教室へ入っていった。
※※※※※※※※※※
最近言語論ばかり読んでしまい影響が…次の話からラノベ感でます!!
今後とも宜しくお願い致します!
尾上智哉
虹色パレット 尾上智哉 @Antiisekai
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