新しいおもちゃ
それからしばらくの月日が経つ……
人種族は……
あと1人になっていた
「ふむ…… 頃合いか? 」
天空に居を構える老人がボソリと独り言を言う
粗末な麻の上下を着た白髪と髭(ひげ)を切った事が無いんじゃないかという位に伸ばした老人は人の世では賢者と呼ばれていた。
ある日
空中に浮遊する魔法を誤作動させてしまい住んでいた家や辺り一帯を大空に飛ばしてしまいそのままでいた
賢者は集めた本を読み思考の奥深くに行ったりと数百年と楽しく1人で過ごしていた
食事や水分も魔法を食べる事で済ませる事が出来、そのおかげで寿命も長く…… ユラユラと考えるだけの日々を数百年……
「ふむ…… 最後にこのワシの集大成の知識を地上に与えよう…… 」
もちろん地表に降りる魔法は開発していたが、この楽しい日々が気に入っていたので着地をしなかった
賢者はベッドに数十年ぶりに寝転がり降下の魔法を唱える
おそらく2日ぐらいの時間で地表に着くだろうスピードでゆっくりと降下を始める……
賢者はチラリと部屋をベッドに横になりながら見渡すと自身が記した魔法や発明の限りが本になり積み上がっている。
楽しかったと賢者は笑い目を瞑(つぶ)るとゆっくりゆっくり…… 心臓が停止した
最後の人種族は老衰で死んだのだ
賢者の家は2日後の昼に地表に辿り着くと一気に毒に侵食され研究の結果や亡骸は煙をたてながら腐熟した。
――― やれやれやっと
神は最後の賢者の寿命を一気に縮めそれが果てるとニヤリと笑う
「さて残存する人の数も0だし…… 次はどんな星にしよっかなー? 」
まるで昼ごはんを選ぶように軽い口調で新しく
「さて…… また暇つぶし出来そうだ」
神の押したボタンはリセットボタンだった
異世界(ディール)の地表や大気は一気に正常な清らかなものに変化し大地は捲(めく)れ魔物を潰し、大津波(タイダルウェイブ)が何度も古いディールのカケラを深海深くに沈める。
磁極は反転し一度、惑星の自転が止まるので高速の大気が吹き荒れ……
次の日には何も生物がいない惑星が誕生していた。
「さて…… 木やら作ってー! 生物作ってー人種族を作ってー! 」
ウキウキしながら神は
ある程度の条件が整えばまた百恵をこの惑星に投入してやろう
そんな事を考えながら……
ある異世界は終わった。
異世界が終わるまでの話 @ais-
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