第26話 《魔法少女・無信仰殺戮計画阻止戦》②


 ルルディは神殿の奥深くへと入り込んでいた。石造りの壁や床、天井がどこまでも続く。

「待ちなさい博士」

 白衣の巨漢を呼び止める。

「おおルルディ、やはり貴女が勝ちましたか。予想通りですよ」

「無信仰殺戮計画は止めとします。これは決定事項です」

「おや? 神子である貴女が自身の神託に逆らうのですか?」

「運命は変わりつつある。そうあなたが私を神子からルルディという器にその性質を移した時点で」

「なるほど? それは面白い仮説だ。だけど器を用意するところまでは神子、貴女の神託に従ったはずだが?」

「神子というものを妄信し過ぎたのだ。他でもない己自身が」

「肉体を得て、価値観が変わったと?」

「ああ、変わったとも、戦いの高揚感。食べ物の美味しさ。自然の豊かさ。発展していく技術達……どれもが愛おしい」

「おかしい……その最後だ。今、このゴド大陸に戦乱を巻き起こしている技術の発展を憎んで降臨したのは間違いなく貴女のはずなのに」

「もう終わりにしよう博士。この戦いは無意味なものだった」

「……貴女がそう言うのでしたら、私は従うまでです」


「ルルディ!」


「お仲間が来たようですね」

「ああ、大切な仲間だ」

「それでは神子様、良き人生を」

「博士もな。もう私の写しを増やすのは止めるのだ」

「承知しました」

 博士とルルディはそれぞれ反対方向へと歩みだした。もう会う事もないかのように。


「メルカさーん!」

「ルルディ!? 神子じゃなくてルルディなのね!?」

「はい! ルルディ・フランコです!」

「もう心配させないでよね……本当に良かった」

「メルカさん?」

「な、なんでもないわ。さあ帰りましょう、私達の会社へ」

「はい!」


END

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プライベート・マジカル・カンパニー 亜未田久志 @abky-6102

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