KING

@GARAIRO

第1話

2019年6月3日ーーーーーーーーーーーーーー



真っ暗な部屋にパソコンの光のみがついている。

この部屋にはパソコン以外何もない。

画面には2018年5月23日に教育委員会によって消された立田川中学校の裏サイトが写っている。

そして画面の前には、ドラマで出てきたらいかにもこいつが犯人とわかるほどの真っ黒い服装をしている。

パソコンのカチカチ音が部屋に響きわたり、外からは野良猫の鳴き声が聞こえる。

カチカチ音が鳴り終わると裏サイトには

【明日6月4日、二年二組の生徒の誰かが死にます。】と書かれた投稿があった。


この黒い服装の人間が投稿したものである。

そしてニヤリと不気味な顔で笑った。


2019年6月4日ーーーーーーーーーーーーーー


スマホのアラームが鳴り響くその部屋には、

部屋にはベットやクローゼット、勉強机と椅子や本棚などが置かれている。

壁には今流行っている映画のポスターや陸上の大会で優勝した時の表彰状などが画鋲で貼られている。

神谷徹はそれを不機嫌そうに聞きながら枕の横にあるスマホのアラームを止めた。


「もう朝…?」


徹は頭をかきむしりながら一人で呟いた。

徹はベットから起き上がり制服に着替え始めた。


階段を降りる時には音を立てずに降りないと徹の母、神谷美里に怒られてしまうので慎重に降りて、洗面台まで行き洗顔をはじめた。

洗面台のある部屋は、浴槽と繋がっており、

脱衣所の役目も果たしている。

冷たい水が目を閉じていても瞳に入ってきて少し痺れるような感覚になった。

顔をタオルで拭いたら歯磨きで歯を磨き始めた。

徹は歯を磨きながらこの前友達の大阪イサオと歯磨きというか歯ブラシというかで話たことを思い出した。

歯を磨き終えると洗面台の鏡の前でニコッと笑ってリビングへ向かった。

リビングは階段のある廊下を挟んだ先にある。洗面台のある部屋を出ると父の神谷光一が仕事に出掛けるところだった。


「いってらっしゃい。」


と徹が言うと光一が


「行ってきます。」


と徹に言った。

光一はこの立田川市の市役所で働いており、

収入は安定していてとても優しい。

完璧な父親だった。

リビングに入ると味噌汁の匂いとベーコンを焼いた匂いが徹の鼻に入っていった。

テレビがついていて、ニュースが流れていた。テレビを見始めると徹の母の美里が、


「おはよ、もう少し待ってて」


といいながら卵をベーコンを焼いているフライパンの上に割った。

ジリジリと目玉焼きが焼けていく。そんな音を聞きながら徹はテレビの前のソファに腰掛けてニュースを見始めた。

ジリジリとやける音が聞こえて、あまりニュースには集中できない。

少し待っていると、


「お待たせー」


と目玉焼きとキャベツの千切りがのっている皿が2つソファの後ろの机に出される。

徹は立ち上がって机の前の椅子に座り


「いただきます」


と言ってご飯やみそ汁、目玉焼きを食べはじめた。

そのあとは美里がご飯と味噌汁を持ってきて


「いただきます」


といって食べ始めた。

美里は食べながら右にあるテレビに写っているニュースを見つづけた。

徹はさっさと朝ごはんを食べ終え、


「ごちそうさま」


というと、美里は


「はーい」


と返事をした。徹は二階へ上がると自分の部屋へ行き、ベットの枕元に置いてあるスマホで時間を確認した。


「6時24分、まだ時間あるな。」


といって、勉強机の方へいき、椅子に腰掛けて机の上にあるパソコンを開いた。

部屋にはカチカチ音が響き始めた。


数分後、徹は7時30分ぴったりに家を出た。

いつもの登校道は何も変化がない。


10分くらい歩くと交差点についた。

徹は通り過ぎる車たちを見てボウっとし、ニヤリと笑い始めた。

すると肩を後ろからトントンと叩かれたので後ろを向くとほっぺに人差し指が刺さった。


「バーカ」


そう言いながら大声でゲラゲラと笑うのは同じクラスで友達の安藤光だ。

体格は太ってはいないけれどとても大きい筋肉質だ。


「お前かよ」


「オメー呼んでも気づかないから走って追いついたんだよ。」


徹は自分が呼ばれていたことに気がつかなかった。


「まじで?俺耳遠くなったのかなー?」


「難聴だ難聴。病院いけ」


信号が青になると、安藤が


「ほら!はやくいくぞ!」


と急かしてきた。

徹は一歩ずつ信号を渡っていった。


校門に着くと眠そうな顔をした神山正気がのそのそと歩いていた。

神山正気は細い体系で歩き方が独特なのですぐに誰かかはわかる。

すると安藤が


「おいどうしたんだよそんなしょぼくれた顔して。」


すると神山が


「昨日ちょっとスマホいじりすぎた」


と返した。


「でもそのおかげでやっと新スコアだせたんだぜ」


「お前、そんなスコアが大事なのか…」


と安藤が少し引き気味で答えた。

教室に入り、時計を見るとまだ8時くらいだった。

教室には青木一平と隣のクラスの木島鉄が話していた。

まだまだ学校へ来てる生徒は少なく、15分くらいに一気にくる。

席に座り、カバンを後ろのロッカーに入れるために椅子から立ち上げろうとすると教室に徹の友達の大阪イサオが入ってきた。イサオは徹の前の席だ。

そして徹の席の横に行き、


「ちゃっす徹!」


とよくわからない挨拶をいった。


「よー」


すると安藤がイサオに首を絞め始めた。


「お前昨日俺がペン貸して返さなかったよな?」


「あ、あ、あ、安藤さん!これはそのおぉぉ」


安藤はニコニコしながらさらにきつくする。


「言い訳すんな!このまま天に目晒してやる!」


「ぎゃぁぁ!がぁ!ごぉ!助げで!どおるぅ!」


徹は


「がんば」


とただ一言だけ言った。

そしてイサオは離してもらい、思わず床に倒れこんだ。


「ゼェゼェ…死ぬかと思った…」


安藤と徹は思わず笑った。


しばらくして

朝学活が始まった。

担任の田川が出席を確認しようとすると、石井龍馬と南かげつるが遅れてクラスに入ってきた。


「ああー疲れた」


「えっと?セーフですか?」


と、龍馬はきいた。

すると田川は


「バリバリアウトだぞー」


とツッコミをいれてクラスメイトは笑っていた。

しかしメガネをかけた身長の小さい川谷翔は真顔だった。

徹はそういった周りと違うノリの人などによく集中してみてしまう癖がある。

朝学活が終わると1時間目は社会だ。ガヤガヤするクラスの中で、徹はバックからノートを取り出して自分の机にもどっていった。

すると神山正気が話しかけてきた。


「あれ?その他は?」


神山正気は同じ仲良しグループに入っているメンバーをその他とまとめてしまう。


「イサは社会係で手伝ってて、龍馬は知らん、あと光は空手関係で呼び出されてたよ」


徹は大阪イサオ、石井龍馬、神山正気、安藤光と仲が良く、いつも徹の机の周りにたむろっている。

神山正気は納得したように適当に返事を返し、話題を変えた。


「1時間目社会?だるー」


「それなー、でもお前どうせ寝てんだろ?」


「寝れねーよ。」


すると神山正気は横目で言った。


「なにせ隣がうるせーからな。」


神山正気の隣は川口凛だ。

いつも独り言を呟いており周りからは嫌われている。

また、徹の席の隣でもある。


「やめろって聞こえるぞ」


徹は横目で小声でいった。

すると神山正気が


「大丈夫だよあんなのなんもいってこないって」


と笑いながら言った。

するとチャイムが鳴り響き、


「あ、やべ」


と言いながら神山正気が帰っていった。

今も川口凛は下を向きながらぶつぶつと何かを言っている。

そしてニヤリと不気味な顔で笑った。


社会が終わると青木一平はすぐに教室から出ていった。

彼はとても太っているのでついつい目に入ってしまう。

そしてガヤガヤと教室に響きはじめた。

今度は安藤光と石井龍馬が話しながらこっちにきて、徹の机の周りにたむろい始めた。

そして石井龍馬が話し始めた。


「あーめんど次理科だろ?」


「おう」


「あーあ俺もお前みたいに頭よくなりたいわー」


石井龍馬は成績は普通でスポーツも普通、だがコミュニケーション能力がとてもすぐれていてクラスの人気者だ。


「お前はただ勉強しねーだけだろ」


安藤光が突っ込みをいれた。


「勉強が俺に追いつかないだけだ。」


「謎やん」


徹はニヤニヤしながら思わず口に出した。


「そういえば昨日、面白いのみつけたんだけど」


石井龍馬が話題を変え始めた。

すると、


「ごめんなさい!」


と大声で誰かが言った。

思わずクラス全員が声が聞こえた方向へ向くと、石井咲が椅子に座りながら泣いている相磯涼子に謝っている。

石井咲は相磯涼子と同じグループにいる。

クラスの空気がだんだんと悪くなり、相磯涼子は教室を出ていった。

相磯涼子を追いかけるように同じグループの古田沙耶が追いかけていった。


「ごめんなさい…本当に…」


すると同じグループにいる川下亜希子が、


「サーちゃんは悪くないよ。」


と石井咲を慰めていた。

川口凛が静まり返ったクラスの中でぶつぶつと独り言をいっている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なああれ何があったんだ?」


徹は帰り道、徹の彼女の石崎翔子と話している。

石崎翔子は相磯涼子と同じグループにいる。

徹はこの日、部活がなく帰宅部の石崎翔子と一緒に帰ることにしたらしい。


「サーちゃんがね、涼子の財布を踏んじゃったの。」


「財布?そんだけで?」


「涼子のお母さんからもらった大切なお財布なんだって」


「なんでそんなん持ち歩いてんだよ」


「その財布はね、涼子のお母さんの形見でどんな時も離さずに持ってたんだって。

でも今日その財布を涼子が落とした時にサーちゃんが踏んじゃって…」


「それで泣いたの?メンタル弱いなー」


「女はそういうもんだよ」


徹はよくわからなかった。

なぜそんだけで泣くのだろうか。

相磯涼子が石崎咲のことを嫌いだからやったのではないか?

しかしそんなことは徹にとってどうでもよかった。


「じゃあばいばい」


「おう」


「ラインしてねー」


「できたらな」


徹と石崎翔子は途中まで帰り道が一緒で、いつも郵便局の前で別れる。

徹は歩き始めようとすると、他クラスの遠藤みゆきが郵便局の前の道路を挟んだ先にあるコンビニの前で笑っていた。

遠藤みゆきは大阪イサオの彼女なので、よく大阪イサオがニヤニヤしながらよく遠藤みゆきの話をしているので誰かがすぐにわかった。

徹はそれにつられたようにニヤリと笑った。


家へ帰ると、リビングの机の上に夕食の作り置きと手紙があった。

徹はその手紙を読んだ。


“お母さんちょっと友達と飲み会行ってきます。お父さんの分入らないので全部食べてもいいです。あ、食器洗っといてください。”


だるそうに頭をかいて、洗面所で顔を洗い、

二階へ上がり部屋にはいると、リュックを床に置きベットの上に寝っ転がった。

気がつくと徹は眠ってしまった。

徹は自分は幸せだ。と思っている。




徹が起きた時には5時半過ぎになっていた。

寝ぼけながら勉強机の上のパソコンを開き、そして椅子へ座った。

7時になるまでいじり続けた後、徹はリビングへ夕食を食べにいった。

リビングの電気をつけ、テレビも電源をつけて、白米と味噌汁を取りに行った。

夕食は生姜焼きとサラダがおかずで、テレビを見ながら夕食を食べた。

徹はすぐに食べ終わった。

徹は食べ終わると徹は8時くらいにコンビニへ出かけけた。

郵便局の前で信号待ちをし、コンビニで黒いマッキーペンを買い、また交差点で信号待ちをしていた。


徹はニヤリと笑い赤信号で飛び出してしまった。

前からはトラックがきていて、ドンと鈍い音とトラックの運転手の悲鳴や周りの人の悲鳴が聞こえる。

徹の後ろにいた黒い人間はニヤリと笑い

その場を去っていった。


2019年6月5日ーーーーーーーーーーーーーー


クラスがざわめいている。

イサオは遅刻ギリギリで学校に到着したが、いつもいるはずの徹がいないことに気づく。


(…?なんだ?この違和感?)


イサオは疑問に思った。


(なんであいついないんだ?珍しいな。)


席に着くと丁度チャイムが鳴った。

キーンコーンカーンコーン

その音色がなんだか不安を引き立てる。

すると田川先生が暗い顔でこう言った。


「…えー知っている人もいるのではないでしょうか…昨日午後8時ごろ、神谷徹くんが交通事故により亡くなられました。」


…は?


イサオは思わず頭が真っ白になった。


(え?そんな?は?あ、あいつが?)


田川先生の声やクラスのざわめきが全く聞こえない。

昨日まで生き生きしていた人間がこうすぐに死ぬなんてありえないと思った。

そして意識が現実へと戻り始めると


スマホが振動した。

どうやらクラスのチャットグループに何か送られたらしい。

送り主は死んだはずの徹からだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その頃徹の部屋ではパソコンの電源が付いており、暗い部屋でその一台だけ光っている。

画面には立田川中学校の裏サイトが2019年6月5日8時20分に



“さあ始めましょう。”



と投稿されている。
















KING登場人物紹介 神谷グループ偏


神谷徹…成績が優秀、スポーツ万能、イケメン、クラスメイトからも人気の完璧人間。

石崎翔子という可愛い彼女もいる。


大阪イサオ…成績優秀、スポーツ万能で顔は普通だがクラスメイトにはすかれている。

遠藤みゆきというとても愛してる彼女がいる。


神山正気…身長が高く、歩き方が独特。成績は普通よりいい方。ゲームオタクで夜遅くまでプレイしているためいつも眠そう。

しかし運動神経がよく、クラスメイトからも人気。


安藤光…スポーツ万能で、空手の大会では個人関東2位まで行った強さを誇る。

体系がガッチリしていて、成績は普通よりいい。


石井龍馬…コミュニケーション能力がとても高い、クラスメイトからの人気者。ムードメーカー役。

成績は普通、スポーツも普通、顔も普通だが、身長が高い。




ピックアップ


神谷美里…神谷徹のお母さん。趣味がたびたびかわる。昔はモデルをやっていたらしい。


神谷光一…神谷徹のお父さん。公務員で、収入も安定しており、結構イケメン。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

KING @GARAIRO

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ