孤独で、凍てついて、穏やかな世界

主人公が人間不信なせいもあり、農家一家以外とは距離を置いているので、街にいながら一人ぼっちでの秘境サバイバルとほとんど変わらない印象。
農家一家は、人恋しいときにすがるためだけの、ペット的道具でしかない。
隣人たちは、主人公に害を与えないかぎり、存在が許容されているにすぎない。
ペットであるリシュ以外に、人間との同族としての親密な共感がないので、心象風景は荒涼として寒々しい。
孤独で、凍てついて、穏やかな世界。
そこでこそ、俗事から解放された本当のスローライフが実現できるという、資格と代償の提示なのかもしれない。