ピトフーイ

安良巻祐介

 軒の巣から落ちてきた真っ黒い小さな鳥を見かけ、哀れに思い、マンションのベランダのケージで飼い始めた。

 三日ほどするとすっかり元気を取り戻し、ケージの中を飛び回るようになったが、それと入れ替わるように、こちらの体調が悪くなっていった。

 全身が腐ったように痛み、嫌な熱に侵されたまま、意識朦朧としてくる。

 そしてある日、鳥の餌を補充しようと立ち上がってベランダへ向かった時、前後不覚になって躓き、そのままベランダの縁から外へ転がり落ちてしまった。

 俺のことは誰も拾ってくれなかった。

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ピトフーイ 安良巻祐介 @aramaki88

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