第4話
ところが。
人間の踏み出す
はてさて、一体どんな仕掛けをその小さな体内に宿しているのやら……。僅かばかりの視線の先でじっとしていた例の
そして、ここから見てほぼ真正面、つまり、机の位置とは
それにしても、椅子から用心深く立ち上がってようやく歩を進め始めた───そして、明らかな殺意を
───いや、くだらない。
我ながら、とんでもないくらいに酷く馬鹿馬鹿しい問いかけだと思う。
ただ、いつもとんでもなく馬鹿馬鹿しいものに囲まれているにもかかわらず、なお生きる事を選び取る「人間」という存在もまた、唾を吐きかけてやりたいくらいに馬鹿馬鹿しい。───歳を経る
何が起きたのかを理解することは、大抵の場合、いつだって容易い。現に今も、いつものように西日焼けした壁が
───と、そんな思考を止め
机上のやや左寄りには、いつの間にやらすっかり冷めたマグカップがポツンと一つ。のらりくらりと珍妙に
相も変わらず事務的な灰色を帯びた机の上に、その陶器のカップを、中身が揺れを忘れないうちに軽く置く。思いの
それから僕は、心地良さとはすっかり無縁の疲労感を首の付け根に躍らせて、少しだけ右に
03:23 AM。
いつも通りの場所、そしてまた、いつも通りのやり方で、視界の真ん中にするりと入り込んだデジタル時計が、これまたいつも通り、淡々と自分の役割を果たしている。
それを見た僕は、何が何だか意味の分からない不具の満足と、どんな「普通」の満足も知らない自分の不甲斐なさの両方から、こちらが挨拶代わりに差し出した
そんな、やはりいつも通りの、
冷たく残ったコーヒーを惜しみなく一気に飲み干すと、
しかし、命ある者がそこに暮らしている以上、時折、思いもよらない景色に胸を
テーブルの脚の内側に添えられて、大した光も届かないゴミ箱の陰。
恐らくは誰かの手によって無造作に投げ捨てられた際に、幸か不幸か、その口に入り損ねたと
僕は、いつものように、死にたくなった。
そう、それだけだ。
それだけだ。
尖鋭の器 もざどみれーる @moz_admirer
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