想像を補完するコンテンツと小説の親和性は高い。「ステータスオープン」にしたって、実際に自分の“ステータス”を何となくイメージしているから、その助けとなるシステムに惹かれる。ウェアラブル端末など現実に追いつかれてきているけれど。
eスポーツの仮想空間も大いに想像力が必要となる。その想像の仕方と、描写を読み取るプロセスが重なるのだ。見てはいけないものを見るのも小説の楽しみではあるが、「最初から観戦も楽しめるようにデザインされたコンテンツ」ならば、その描写が楽しくないはずがない。
登場人物の、少年少女の葛藤がリアル。派手で無茶な解決なんてことはない。それでも地道な練習から才能が光り、劇的な展開へ繋がるのだから青春やばい。
導入からもう上手すぎるので、ぜひ開いてみてください!
eスポーツのことなど、これっぽっちも知りません。
そんな私でも引き込まれるのは、キャラクター造詣が上手だから。
多くの方が語られるように、登場するキャラクターの個性が立っているのです。
それらにつられて読むうちに、何も知らない初心者にも段々とルールとポイントがわかる構成になっているのは巧みの仕事。ゲーム上の駆け引きで盛り上げてくれるからでしょう。
創作上のテクニカルな部分も魅力の一つですが、最大の魅力はやはりキャラクター。他者との対戦を通じて、時には過酷に成長が描かれます。個性際立つ一人一人の背景と成長を丁寧に拾いながら、進められる物語に興味が尽きません。