# 6. 入れ替わってる?
「転生者さん。あなたが本当に転生者なら、その体の本当の中の子はどこに行ったの?」
「……さてな」
「さてな、って」
「案外、もとの俺と入れ替わっているのかもしれない」
それって転生って言わないよね?
私が何とも言えない表情をしていると、幼なじみが一言付け加えた。
「そのうちまた、俺と入れ替わってもとに戻るかもしれない」
それって入れ替わりなんじゃないの?
なんで転生って設定にしたの?
設定雑じゃない?
それにしても、この子……。
幼なじみが元に戻らない、と思った私がへこんでいる。と思って、フォローしてくれたのかな?
「そっか……」
……?
あれ? ということは。
もしかして、もう一回誰かとぶつかれば、元に戻るって設定ってこと?
「そっか!」
「ようやく俺が転生者であるということを理か」
「じゃあまた誰かとぶつかって気絶すれば、そのタイミングでもとに戻るかもしれないね!」
「……理解したのか、これは」
何故かポカーンとした表情でこっちを見る幼なじみ。
決意した私はぐぐーっと伸びをした。
「そうと決まればよーし!」
「どうした? 何か作戦を決行するのか?」
「そうだね。これは新たな作戦よ!」
「え?」
やる気になった私から逃げそうになった幼なじみの手をガッとつかむ。
「私があなたを元に戻してあげる!」
「えっ?」
「さあ! その設定を元に戻すために、さっきのタコ焼きの子を探しに行くよ!」
「何故そうなる!?」
「レッツ、たこ焼きハンティーング!」
私はたこ焼きの子が去っていった方向に向かって走り出した。
「わああ!! 一回手を放せ! ちゃんと歩かせろ!」
もちろん幼なじみをぐいぐい引っ張りながら。
「やめろ、やめるんだーーー!!!」
幼なじみが悲鳴を上げながら私の名前を呼んでいたような気がする。
でもなんか、よく聞こえなかったし、名前覚えてない設定だし。
たぶん気のせいでしょ。
私は幼なじみが謝るまで、ひたすらたこ焼きに向かって走り続けた。
「上手に焼けましたーーー!!!!」
もちろん、学校には遅刻したけどね。
~おしまい~
転生者を自称する幼なじみにツッコミが追いつかない。 江東乃かりん(旧:江東のかりん) @koutounokarin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます