主人公の普通に対する切望が胸を打ちました。
苦しい。
ですが、何が救いか分からない。それでも「君」の存在は救いでした。
主人公と「君」の話、続きが読んでみたいと思いました。
面白かったです!ありがとうございます!
作者からの返信
応援・レビューありがとうございます。
普通のレールから意図せず転落した身としては、普通に生きている人って凄いと思います。普通というのはけっこう狭き門なのかもしれません。
だからと言って「君」のように自分の道を猛進するのも難しい…。「君」のような人がいると、好悪は別として、ついつい目で追ってしまいます。主人公も「君」から目が離せないのでしょう。
変な作品にお付き合いくださり、ありがとうございました。
(ドン引きされたらどうしようと思っていました…)
『ヒーラー細胞』という単語を見たときに、ファンタジー脳で一瞬『healer』という言葉が浮かんでしまいましたが……。
すぐに「あっ! HeLa細胞のことか!」と気づいて、懐かしくなりました。学生時代(およびポスドク時代)にウイルスの研究をやっていて、一番お世話になったのはBHKという細胞でしたが、HeLaも少しは使いましたから。
……作品の内容と関係の薄い(しかも自分語りっぽい)コメントでごめんなさい。
さて、本題です。
この作品に漂う、研究者の厭世感のようなもの。そういえば自分もそうした「厭世観」を取り入れた小説を書いたことがあったなあ、と思いつつ、ふと「こういうのは、研究経験があろうとなかろうと、一度でも似たような厭世感を覚えたことがあれば共感できるのだろうなあ」とか「一度も厭世感を覚えたことのない人間なんて、少ないのではないか。つまり、多くの読者に『俺もそんなこと考えたことあったなあ』と思ってもらえるのではないか」とか、そんなことを考えてしまいました。
「理系は修士まで行くのが割と普通じゃない」とか「博士課程まで行っちゃうと、大学には席がないのに就職もままならないのが現状さ」とか、理系の現実的な暗黒面に焦点を当てて、ネガティブなイメージで物語を進めておきながら、
> 君はからりと笑ってそう答えた。
>「お前だって細胞さ」
最後は上手く収めたな、という印象です。明るく、とまでは行かずとも、少なくとも暗さは払拭された感じ。
特に『からりと』という一言のおかげで、台風一過のような『からりと』晴れた空のイメージが、頭に浮かびました。
あと、最後まで読んで、あらためて。
『ヒーラー細胞』のところでは「そういう読み方もあるのかな?」と思いましたが、『ヌートン』で「ああ、わざと少し変えているのか」と気づきました。そうなると、ラストのまとめ方も合わせて考えると……。『healer』の連想は、あながち間違えでもなくて、一種のダブルミーニングですかね?
作者からの返信
本作へのレビューと応援コメント、それに、こちらで申し上げるのが適切かどうか解りませんが、別作品へのレビューもいただき、ありがとうございます!
よもやHeLa細胞をご存知の方に読んでいただけることになるとは…!
博士課程の闇のようなものは、はるか昔から変わらない問題であると聞き及んでおります。私自身は主人公のような人間ですが、「君」のような情熱をもってその闇に飛び込んでいく人を見てきました。私が彼らに感じたものがこの作品に表れていれば幸いに思います。
既存の名詞を少し変える遊びは、私がしばしばやってしまうものです。この響きだとちょっぴり面白い、と感じると、つい。私もかなりのファンタジー脳なので、HeLa細胞と知り合った当初に聞き違えたのを思い出して、ついやってしまいました…。
人生は誰かと勝ち負けを競うものではない。
生きることへの問いかけを美しい文章で展開される、
珠玉の短編でした。
好きな世界でした。ありがとうございます。
作者からの返信
生物というのは競争と無縁ではいられないものです。だからこそ勝ち負けに終始するのは残念なことだと思います。
応援コメントを下さってありがとうございました。珠玉とまで言っていただけるとは…!
しばらくは頬が緩みっぱなしでございます。