season1 最終回 関西大回り後編と…

今回は、JR奈良線からスタート! 今は奈良~平城山間を走行中。


 島崎さんの、今乗っている、みやこ路快速221系愛が分かった僕は、時刻表の路線図からとある駅を指を指して

 「そういえばさぁ、島崎さんはこの漢字なんて読むか分かる? 奈良県の奈良駅と、京都府の木津駅の間にある、大和路線(関西本線)の駅なんだけど?」

 その漢字とは(平城山)

 この漢字を見た、島崎さんは困惑していた。

 「これ、なんて読むんですか? へいじょうさん? いや、へいじょうやま? えぇ、わかんないです。」

 「ヒントはね、平城(へいじょう)今は、どこにある?」

 「え~と、奈良(なら)です…。」

 「そう、なら にある。 だから?」

 「だから…。えぇ、ならやま ですか?」

 「正解! ちなみに、JR奈良線の不思議についても聞こうか、さて奈良線の不思議とはな~んだ?」

 「えぇ! ならやまが分かって、すっきりしたのにぃ~。 」

 「ヒントはね、僕がさっき平城山駅の場所を言った時の事を思い出してみて。」

 「えっ? 確か、奈良県の奈良駅と、京都府の木津駅の間にある、大和路線の…。 ええ! 分かりました。 でも、それってありなんですか?」

 「ありだから、今みたいなことになってるんだよ。 ちなみに、答えは?」

 「奈良線は、奈良県を通らない!」

 「正解!」

 「なんでなんですか? 」

 「う~ん。 奈良線の歴史が関係してた用なぁ…。 あぁ、ちなみに、奈良線は正確に言うと。 京都府の南端にある木津川市の木津駅と、京都府京都市の京都駅を結んでるんだけど。 木津折り返しの電車は、無いんだよ。」

 「へぇ~、勉強になります。」

 そんな話をしていると、列車は大和路線(関西本線)と、JR学研都市線(片町線)との分岐点木津駅を発車して、複製だった路線が単線となり。 奈良線に入る。 この路線は、路線の半分近くが単線であるため、列車待ちが生じる。


 僕は、奈良線の魅力を語りはじめた。

 「この路線は、奈良県を走るだけでなく。色々と面白いことがあるんだよ。 たとえば、沿線の各所にある天井川トンネルとか、今は無き、巨大湖巨椋池とか。鉄オタ目線で言うと、国鉄車両の多さとか…。」

 「以外と面白ろそうな、路線なんですね。」

 島崎さんが、興味深そうに聞いてる時だった。


 「へぇ~、あんた若いけど結構知ってるんだねぇ。」

 僕が声の聞こえた方を見ると、反対側の座席に座るおじいさんがこちらを見ていた、怪しそうだったら無視をしようと思ったけど、膝の上に小さめの鞄と、その上に時刻表、カメラが置いてあり。 もしやと思い、返してみた。

 「えぇ、電車好きで色々と調べてるんですよ。」

 「へぇ。 私も、電車好きで色々と乗りに行くんだよ。 でも、私1人だから。 たまに、同士ていうのかね。 電車好きの人を見かけたら、こうやって話しかけてしまうんだよ。」

 「あぁ、そうですよね。 僕も、普段は1人で旅してますけど、こういう出逢いっていうのも鉄道の醍醐味ですよね。」

 「そうなんだよね。」

 「君達にも、いずれ分かると思うだろうけど、若い頃は仕事だ。何だって忙しかったけど、定年退職をした今となっては、暇になり。 お金をもて余してるから、こうして旅に。」

 「それは、何よりですね。 老後を、趣味に過ごすなんて。」

  僕と、おじいさんの会話を聞いてきた。 島崎さんが、おじいさんに

 「失礼ですが、おじいさんはこの後どこに行くんですか?」

 「いやぁ、恥ずかしいことながら。 実は…」

 おじいさんは、そう言いながら僕達も使っている、関西1dayパスを見せながら。

 「実は、JRは初めてで。 よくわからないんですよ。」

 それを聞いた、島崎さんが僕の肩を叩き。

 「裕樹君、おじいさんに色々と教えてあげたら?」

 「あぁ、そうしようか。 おじいさん、僕が可能な限りお手伝いしますよ。」

 「そうかい? それは、ありがたい。」

 僕は自分の鞄の中から、時刻表を出し。 おじいさんの隣の席に移り、説明をはじめた。

 「今回は、鉄道がメインですか?」

 「いやぁ、古い国鉄の車両に色々と乗りたいと思ってね。」

 僕は、それを聞くと今乗っている、奈良線の時刻表を開き。

 「でしたら、この電車で宇治で降りると、向かい側に後続の普通 京都行きが止まってるので、それが国鉄もしくはJR世代の元阪和線の205系もしくは、103系のはずです。 そして、その後時間があれば、京都駅まで行き3番線からの湖西線の車両に乗ると、115系が走ってますよ。 もしくは、2番線から琵琶湖線の車両に乗って、草津に行くとそこから伸びてる草津線も…。」

 「なるほど、ほぉ~。 なるほど、そこでこうですね。」

 「そうです。 すると…。」


 そして、列車はしばらくすると宇治駅に着き、おじいさんは

 「ありがとうございました。 あなたは若いのに、物知りだ。 また、いつか会いましょう。」

 「えぇ、またいつの日にか。」

 そう言うと、おじいさんは手を振りながら向かいに停車中の、103系 普通 京都行きに乗り換えって行った。

 そして、列車は普通列車より先発し、すぐに宇治川を渡り、京都駅へ向けて走り出す。 ここからは、京阪宇治線及び、京阪本線と並走する場所が増える。

 「それにしても裕樹君はホントにすごいんだね、あのおじいさん感心してたよ。」

 「いや。多分、あのおじいさんは本当に、JR旅は初めて、もしくは久し振りなんだろう。 でも、同じ仲間だからか、理解は早かったけどね。」

 その後、列車は観光地の伏見稲荷や東福寺を通り、13時12分定刻で京都駅に着いた。


 京都駅は、全国的に有名な駅で。 この駅の、0番線及び31番線は、一面のホームにあり、そのホームの長さは日本一になる。 その他、京都駅の大階段等も有名である。

 「さて、この後はどうしますか?」

 島崎さんが聞いてきた

 「え~と、次に乗るのが14時30分の新快速だから…。 昼食にでもしようか…。」

 「はい。 オススメのお店に紹介してください。」

 「オススメといってもなぁ…。」


 ここで、皆様にお詫びがあります。

 実は、京都駅で昼食を食べたことのないというより、だいたい昼食をコンビニで済ませる作者は、京都駅でのオススメのお店がないので、割愛とさせていただきます。


 14頃頃、早めに食事を済ませた二人は、次に乗る新快速 姫路行きの出る。5番乗り場の1番前の乗車位置付近に来ていた。 ここだと、色んな電車が見れる上に座れる可能性が高い+座れなくても運転席から前が見えるからである。

 「この後はどこに行くんですか?」

 島崎さんが聞いてきた。 朝と違ってテンションが上がってきたのか、朝よりも楽しそうだった。

 「え~とね、この後は僕のオススメの秘境駅に行くつもりだけども…。 少しというか、かなり早いんだよなぁ。」

 乗る予定の新快速まで30分近くあった、だがここから乗るJR京都線は、それぞれ15分に一本のペースで新快速と、高槻から快速の普通が走っている。 そこに、普通列車が7~15分に一本走っている。(平日の日中は、京都駅まで来ない)

 「それだったら、一本早い14時15分発の新快速で行ったらどうですか?」

 「う~ん。そうだね、そうしよう。」

 そんな話をしていると先発の14時9分発の高槻から快速 普通 姫路方面網干が入ってきた。

 車両はオール221系の12両編成だった。

 「お~、221系の12両編成は綺麗ですね。」

 と島崎さんが感激しながら言っている。

 「確かに、221系だけの12両編成ってあったんだな…。」

 そして、221系が出た5分後、僕達の乗る223系2000番台の新快速 姫路行き12両編成が入ってきた。

 僕達が乗り込むと、車両はすぐに京都駅を発車する。 もちろん運転席の後ろに立ちながら前を流れる景色とスピードメーターを見ている。

 この区間は、滋賀県の草津~兵庫県の西明石まで続く日本一長い複ク線(ふくふくせん)として有名である。 この区間は、内側を普通・快速、外側を新快速・特急・貨物が走り。 数分に一本のペースのダイヤが作れるのである。 そして、この路線いや、新快速の1番の楽しみといえば…。


 京都を出て、しばらくするとスピードメーターは、現在来線最高の130kmを示している。

 「そういえば、この新快速より早い在来線ってあるんですか?」

 島崎さんが聞いてきた。

 「え~とね、あると言うより、あったと言った方がいいかも知れないね。」

 「どういうことですか?」

 「電車の信号機には、車と違って。 停止・進行の他に、警戒・注意などがあるんだけども。 その信号表記で最も早い表記を、高速進行と言って、これはかつて新潟の北越急行で走っていた、特急はくたかで使われてたんだけど、その高速進行の速度で在来線最速の160km運転をしてたんだけど、北陸新幹線の開業で特急はくたかは、無くなったんだよ。 だから、今の在来線最速は130km.なんだけど、関東の方では当たり前みたいだね。」

 そのような話をしていると、京都府と大阪府の境にある。 山崎駅付近で内側を走る、先発の普通を両列車が走行しながら追い越している。 この光景は、結果がわかっていてる。 並走バトルのように見える。


 その後は高槻駅に停車し、発車してしばらくしたら見える、某お菓子メーカーのチョコレートのオブジェや、JR西日本の主要車両基地の吹田総合車両所、吹田貨物ターミナル等の間を、120~130kmの高速で駆け抜けていく。

 そして、列車は新幹線との乗り換え駅である新大阪を過ぎ、淀川を渡り左に大きくカーブを曲がると、大きな屋根が見えてくる。 ここがJR西日本1の乗降客数を誇る大阪駅だ。

 「よし。 ここからは、向かいに停車中の普通 伊丹 宝塚方面新三田行きに乗るよ。」

 僕が言うと、島崎さんはさっと電車が降りて、向かい停車中の321系7両編成の普通電車に乗り込み席を確保した、島崎さんは笑顔で

 「これでゆっくりできますね。」

 といってきた。

 「そ、そうだね。」

 僕は、島崎さんの隣に座った。

 なんだか、島崎さんを陰キャと思えなくなってきた。 こうやって旅をしてると、ほんとに鉄道を愛する、可愛いらしい女の子というのが分かった。

 そのような事を考えると、他の人から見たら、僕達の関係は電車好きカップルに見えるのかもしれない。 と改めて思うのだった。


 先程まで乗っていた新快速が発車すると、この普通電車もまもなく発車し、再び左に大きく曲がり再び淀川を渡り、しばらくすると兵庫県に入り尼崎駅に着く。 ここからは、JR神戸線と別れ、北へ向かう JR福知山線(宝塚線)に直通する。 列車は、尼崎駅を出ると高架になり、JR神戸線の上を越え、左の急カーブする。 ここから先、一駅目の塚口駅まではカーブが続く。 その途中に、例の事故現場がある…。

 僕がちらりと、島崎さんの方を見ると手を合わせていた。

 その後は、住宅地を走っていく…。


 気付けばトンネルの中を走っていた。 寝ていたのだろう…、島崎さんの方を見ると。 島崎さんは起きていた。

 「今どのあたり?」

 島崎さんに聞くと

 「今、西宮名塩を出てすぐに入ったトンネルを走行中です。」

 「まじで、次降りるよ!」

 「わ、分かりました。」

 そして、列車はしばらくするとトンネルを抜けると、すぐに武田尾駅に着き、僕達は降りた。 しかし、降りたホームはトンネルの中だった。

 すぐに列車は、轟音と共に風を起こしながら駅を後にする。 列車が進んで行く先を見ると、ずっとトンネルの中でその中を進んで行く、電車の明かりたげが見えていた。

 「う~わ~。 すごい駅だねぇ。 うふふ、二人きりだね。」

 「うん。 たまに一人で来るんだよ。」

 「へぇ~、そうなんだ~。」

 少しして、島崎さんは僕に

 「あ、あの~、そこのベンチに座ってくれない?」

 「う、うん.いいけど?」

 僕は、彼女に言われたとおり、ホーム上のベンチに座ると、彼女は僕の前に立ったまま。

 「あ、あの~、貴方にこんなことを、聞くとなんだが、変な事になる…、いやいやごめん、そんなことじゃなくて、そ、その~、今付き合ってる人いてる?」

 島崎さんの質問は、僕の人生の中で初めて生で聞かれた言葉だった。

「まもなく、2番乗り場を電車が通過します。

 危ないですので、黄色い点字ブロックまでお下がりください。 2番線を電車が通過します。ご注意下さい。電車が通過します、ご注意下さい。」

 その時、電車の通過を知らせる放送の後に通過メロディが流れ始めた。

 「ありがとう。 お願いがあるんだけどさ、目をつぶってくれない?」

 僕は瞑ると、首の後ろ辺りを、何か暖かく、気持ちいい何かがすっと回っていった、目をつぶっていても分かった。 彼女は、僕の首の後ろに手を回して、しかも僕の顔の目の前に居ていると。

 その時、快速電車が通過していった。

電車の通過時の、強風と共に僕の、唇に何か気持ちよく、暖かい、何が触れた、いや俺の口の中に、何か入ってきてる!?

 電車の音が、遠ざかっていくと。 彼女は、僕から少し離れて

 「もう、いいよ。」

 僕は目を開けると。 顔を真っ赤にした、笑顔の彼女が居た。

 「うふふ、私のファーストキスだよ。嬉しい?」顔を真っ赤にした、島崎さんがこちらを見ながら聞いてきた。

 「う、うん。 僕にとっても、ファーストキスだったから。 それに…。」

 「うん? それに…。 なに?」

 「うんうん。 何でもない。」

 「え~? なにぃ~? 教えてよぉ。」

 「まぁ、またいつかね。」

 本当は、それに君のことが好きだからと言いたかったが、今は我慢した。 なぜなら、この夜僕から…。

 その後、僕達が持っていた一眼レフカメラでお互い交代で写真を撮っていたらあっという間に時間は過ぎ。

 僕達は、16時39分発 普通 大阪方面の高槻行き321系7連に乗り込み途中の川西池田駅で下車して、先発の丹波路快速 大阪行き225系6連に乗り込み。座席に座った、ちなみに、先程から島崎さんは眠りかけている。 結構もう乗ってるからなぁ…、そんな事を考えていると…。


 遠くから誰かの声が聞こえる…。

 「…くん。 裕樹君。 裕樹君!」

 僕が目を開けると島崎さんがいた、そして外の景色には川を渡っているところと、川を渡った先に高層ビル群が見えた。

 「う~ん? 今どのあたり?」 僕は、寝ぼけながらも島崎さんに聞いた。

 「もうすぐ大阪 終点ですよ。」

 「う~ん。 ありがとう、ふわぁ~。」

 「この後はどうするんですか?」

 島崎さんが聞いてきた。

 「え~と、この後は関空に。」

 「だったら、関空快速ですね。」

 「そうだね。」

 「乗り換え時間あまり無いし、人多いから離れないでね。」

 「分かってますよ。」

 そして、僕達は終点大阪駅で降りた。

 腕時計を見ると、時間は17時20分だった。 定刻なら、17時16着のはずなんだが…。 まさか!

 「もしかして、さっきの電車って遅れてた?」

 島崎さんに聞くと、彼女は思い出したように。

 「あっ、そういえば。 尼崎駅の出前で信号待ちとかで、数分遅れたような。」

 「そうか…。」

 「どうしたんですか?」

 「いやぁ、乗ろうと思ってた関空快速に間に合わないなぁと思って…。」

 「何分発何ですか?」

 「24分…。」

 「そのあとは?」

 「え~と、15分に一本だから…。 39分ぐらいじゃないかな?」

 「だったら、そっちに乗りましょう。 ね?」

 「そうだね。」

 そうして僕達は関空快速の出る、大阪環状線内回り方面の一番線に行くと、ちょうどぎゅうぎゅう詰めの関空/紀州路快速が発車していった。

 「島崎さんは、関空/紀州路快速のうち。 関空快速がどっちかわかる?」

 島崎さんに聞くと、彼女は即答で

 「前4両だから、足元三角印の1番から4番ですよね?」

 「おぉ、さすが。」

 「それはそうですよ。 阪和線でも同じじゃあないですか。」

 「それもそうだな。」

 そしてその後、環状線内各駅停車の221系の区間快速 奈良方面加茂行きと、環状線内回り 西九条 弁天町方面の323系が発車し。 次に来た電車は、オレンジ色の201系 ゆめ咲線直通 ユニバーサルシティ方面桜島行きだった。

 「うわぁ、201系だ!」

 島崎さんが嬉しそうに、目をキラキラさせている。 そして僕もそうだろう。 しかし、写真を撮りたいどころだが人混みで写真どころじゃないので、今回はあきらめた。

 そして、201系が出て数分後 関空/紀州路快速 関西空港/和歌山行きが入ってきた、乗る関空快速は223系の4連だ。

 かなりの乗車人数だが、なんとか二人とも隣どおしに座ることができた。


 そして、列車は17時39分 大阪駅を定刻に発車した。道中はかなりの乗車人数の上、二人とも疲れてるため、朝のように会話が無かった。

 列車はそんな僕らを乗せ環状線を半周し天王寺へ、天王寺からは連絡線を通り、高架の阪和線に合流し一路、関西空港/和歌山を目指す。

 僕はただただ外の景色を眺めていた。堺市・三国ヶ丘・鳳・和泉府中などの停車駅で乗客はかなり減り、東岸和田に来る頃には立っている乗客が居なくなった。 それは恐らく、この電車が関西空港に行くからだろう。 しかし、後ろに繋いでる紀州路快速 和歌山行きの乗客人数はいまだ多いだろう。

 そんな事を考えていると、列車は東貝塚駅を高速で通過し、日根野駅で後ろ4両を切り離し、4両となった関空快速は関西空港線に入りりんくうタウンを過ぎると、関西空港連絡橋を渡る。


 この関西空港連絡橋は、洋上に浮かぶ人工島にある関西空港への連絡橋で、長さは3750mある。 そして、この連絡橋からの景色は南大阪と関西空港の両方を見れる。 現に今も、南大阪と関西空港の夜景が見えている。

 橋を渡りきりしばらくすると、電車は関西空港駅に着いた。 この駅は一見地下駅に見えるが建物の中にあるだけなのである。

 「この後は、あそこに行くんですか?」

 島崎さんが聞いてきた。

 「うん? たぶん、島崎さんが思ってる場所だと思うよ。」

 飛行機にも乗らないのに空港に来た、そして夜の関西空港といえば…。

 僕達は、バスターミナルから展望ホール行きの無料シャトルバスに乗車した。 そう、関空展望ホールに行くのだ。 バスは5分ほどで、関空展望ホールに着いた。 そして、ここの入園料も無料。 ケチな関西人には嬉しいことである。

 そして、展望ホールの屋上にある展望台へ行くと、関西空港内の滑走路と飛行機の灯り、そして対岸に見える町の夜景がとても綺麗に見えている。 写真を撮りたいところだが、僕のカメラではこの感動は無理だ。 しかし、風向きによってはこの展望ホールの近くを飛行機が離着陸していくため見ごたえ充分である。 展望台には、僕達の他にカメラマンやカップルの姿があった。

 島崎さんと僕は柵にもたれながら、その景色を見ている。

 「うわぁ…、キレイ…。」

 島崎さんはそう言うと少しの間、言葉が出ないようだった。

 「うん。 僕も1度来たことがあるけど、その時以上の感動だよ…。 君がいるからかな?」

 「えっ? 今…なんて…?」

 島崎さんが僕の方を見てきた。 僕の右側に立っている彼女の顔は、空港の明かりに照らされてる。 僕は彼女の方を見ないまでも、少し彼女のほうに体を向けながら。

 「え~と、だから。 君と居るからかな?…。」

 それを聞いた島崎さんは、りんごのような真っ赤な顔になり。

 「えっ、それって…。」

 いや、おそらく僕の顔も同じぐらい赤くなっているだろう。

 「そのくらいさしってほしいんだけど…。」

 「それって私のことが…。 好きってこと?」

 「あぁ、君のことが大好きだ。 なによりも、世界中の誰よりも! 」

 「国鉄型車両よりも?」

 島崎さんの問いに、僕の中にあった緊張感は、プスッーと抜けていった。

 「えっ? え? そこ聞く? えぇ、国鉄型車両と島崎さん…。 えぇ! なによりも難しいんだけど…。」

 「ふふ…。」

 島崎さんは笑いながら。

 「裕樹君らしい…。」

 「そういう質問は理沙らしい。」

 「うふふ、私達鉄道オタクカップルだからね。」

 「そうだな。」

 その後僕達は抱き合った。

 しばらくして離れ、手を繋ぎあいながら。

 「それじゃ、そろそろ帰ろうか。」

 「そうだね。」

 僕達は、再びシャトルバスに乗って駅まで行き、関空快速と普通を乗り継ぎ東貝塚に帰っていった…。


 鉄道それは1人1人の思いを運び、人生を運ぶ。 鉄道をきっかけとして、繋がる人もいれば、別れる人もいる。 鉄道では、笑いや悲しみ、怒り、様々な感情がうまれる。鉄道は我々の生活、人生の一部なのである。 鉄道は、また明日も様々な人の人生と思いを運ぶ為、西へ東へ北へ南へ、どこへでも行く…。

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恋愛鉄道物語 season1 @hanwa103

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