HELLOBADEND
@MiRaBoRe
第1話
それは暑い熱帯夜のこと、アルセカイのトアル王国で王女が生まれました。
その王女の名は
ベアトリス・トアル・ラグナロク
王妃の煌めく銀髪と王の闇のような黒い眼を持ったとても可愛らしい赤子です。
しかし、本来喜ぶはずの誕生を王達は喜びませんでした。なぜなら王達は王女でなく、王子を望んだのです。産声をあげるベアトリスをそっちのけで、臣下達は慌て、王妃は泣き崩れ王は絶望を露わにし、トアル王国一番の占い師の言葉が脳裏によぎった。
『次に産まれてくる子が18になる際、女子ならばこの国は良くなるが現トアル王国政権は完全に崩れる。しかし、男子の場合現トアル王国政権は健在だが…いやこれ以上は言わぬ方が良い。──────』
「────そうだ!この子を双子にしよう!第一女王であるベアトリスは死に、代わりに第二王子のアトリスが奇跡的に生き残ったことにしよう。王子は生まれつき肌が弱い事にすれば女とバレずに済むと思わないか?」
その一言に王妃と臣下達は同意した。
「しかし、女子《おなご》のままでしたら色々不味いのでは?」
「大丈夫だあと18年も時間がある──」
王は冷酷に笑いながら答える
「───禁術を使うまでだ。」
5年後
「おーじー!お待ちください!」
王宮では、ほぼ毎日このフレーズが響く。
今日もメイドのナタリーがイタズラをする第二王子(第一王女)を慣れてしまった手つきで追いかける。そして自身が慣れてしまったことに少し引きながら、空き部屋の隅の隠れ場所がバレバレなイタズラの可愛らしい犯人の首根っこを掴んだ。
「ほーら、捕まえた!」
「ぬっ!?な、なぜバレた!」
「いや、まず目立つ髪色ですし私が探してる間クスクス笑ってたじゃあないですか。」
可愛い犯人は、ハッとした表情をしたかと思うと悔しそうに
「くっ、殺せ!」
「アトリス様、いったい誰が教えに?」
首根っこから手が離れ、珍しく怒ってるナタリーの表情を見て少し涙目になりながら答える
「僕の名前はベアトリスだもん。」
「…ベアトリス、いったい誰が教えに?」
「そ、それは言わない!」
「なら今日のおやつはいらないんですね。」
ベアトリスはおやつと言うワードに反応する
「(あと少しで口を割るなぁー)」
悪い大人の顔でナタリーは話を続ける
「今夜、一緒にトイレに行くのと、添い寝もなしですね。」
「に、兄さん達です。」
と、タイミング良くドアが開き子供が2人入ってきた
「おっ、まーた泣いてんのか弱虫」
金髪蒼眼の少年がからかう。
「今度は何したんだ?」
赤髪翠眼の少年もからかう。
「むぅ〜な、泣いてない!」
「そんな涙目じゃ説得力ないぞ!」
ベアトリスが赤面で言い返すも金髪の少年に負かされる姿は似ていなくとも正しく兄妹だど感じさせられる。
「そんなことよりジーザス殿下、バシウス様、アトリス王子にあのようなうらやま…けしからん言葉をなぜ教えになられたのですか?」
「なんでって、かわいいからに決まってんだろ?」
赤髪の少年(バシウス)が答える。
「他にも色々教えたぜ。そっちの方がナタリーもいいだろ?」
ジーザスが続けて答えるとその日一番の雷が落ちた。
HELLOBADEND @MiRaBoRe
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。HELLOBADENDの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます