Das ist der Beginn des Schicksals

@moord_kr

Episode1 お伽噺のはじまり



旅とは不思議なものだ、とリファイスは目の前の見目美しいその人を見て無表情でその言葉を聞いていた


必死で訴えかけるようにリファイスの手を取り街の外れの荒野までやってきたそこには一体の巨大な黒いドラゴンが倒れている

戦闘でだろうか傷ついた翼から赤い血が流れ出ている少しでも翼を動かす度にそのドラゴンは低く唸るように身動ぎする


「自分もこの子もただ旅をしていただけなんです

…なのに強襲にあってどうにかしないとこのままじゃ」


じわりと浮かぶ涙にリファイスはゆっくりそのドラゴンに近付く

少し警戒しているがこちらを見つめているそのドラゴンの前に手を翳してリファイスは目を閉じて少しの静寂の後ドラゴンの傷が癒えていく


「少しは役に立ったか…」


そう呟いて手を下ろすとドラゴンは立ち上がり咆哮を上げるとそばにいたドラゴンの相棒であろうその子供は嬉しそうにドラゴンのそばに駆け寄る

よかったと嬉しそうに笑うのをリファイスは見ていた

それが最初の出会いであり今後旅を共にするとは思いもしなかった

低く呻くドラゴンは急に飛び上がると共に突如爆撃が近くで起きリファイスは隣のまだ名前も知らない子供の腕を掴むと高く飛びドラゴンの背に乗ると武器を構え弾を装填する


「おいガキ捕まっていろ」


そう言うとマスク越しに索敵を行い見えた敵へと手に持つスナイパーライフルを構える

引き金を引くと発砲音とともに街の城壁の上にいた兵士の男の頭を的確に撃ち抜きそのまま絶命する

なおも攻撃は激しくなるが全てスナイパーライフルで撃ち抜き気づけば爆撃も止んでいた


「おい、そのまま南西方向へ迎えるか」


とドラゴンへ問うと返事をするように方向転換をすると遠くに小さな町が見えてきた

それは機械で出来た町であり中央に大きな時計台が見える近くで地面に降り立つとドラゴンの背中から降りるとドラゴンは吠え人の形へと変わった

膝を付いて肩で息をしているが意識はあるようだ


「ありがと、助かったよ」


赤い髪の角の生えた女はそうリファイスに言うとにっと笑うとふらつきながらも立ち上がる


「歩けるか?」

「慣れたもんだよ、これくらいそうだ名前聞いてなかったね」

「…俺はリファイス・クラルヴァインだ」

「リファイスだね、うちはヴィル・バフェム・ティーニアだよ、よろしく」

「……あぁ」


そう会話をしつつ隣にいた子供はリファイスを未だに見ている


「お前は?」

「あ、自分はアイビィ・ファルネスっていいますっ」


にこっと笑うとその頭をぽんっと撫でたヴィルは少し目眩も収まったのか町の方へと歩き出す

そこは主に蒸気機関で動いており不思議な雰囲気の町だった

しばらく歩くと奥まった所のとある家の前に立つと玄関の扉を開く


「ここリファイスの家?」

「そうだ」


すると家の中にいた銀髪の美しいドレスを思わせる服を着た女性がいた

「あ、お兄さん!おかえりなさい、あれ?お客様?」

「そうだ」

「よろしくね、急に来ちゃって申し訳ない」

「いえ、大丈夫ですよ!私は彼の弟のフィルートです!」

「!?!?男なの!?」


てっきり女性だと思っていたヴィルは目を丸くして固まっている女性的な体のラインに美しい髪にその美貌は目を引く程でアイビィもキラキラと目を輝かせている


「ちょうど料理が出来たのでよかったら食べますか?そちらに座ってください!」


ぱたぱたとキッチンへ行ったフィルートを見ながらヴィルはリファイスにこそっと言う


「…手出てないの?」

「………殺されたいか」

「ごめんて」


ものすごい眼差しにヴィルは手を合わせて謝るとにしても可愛い弟さんだねーとかなんとか言いながら出てきた料理に目を輝かすとお腹が減っていたのかいただきますと言うと食べ始める

リファイスも軽く食べつつ小さく息をつく

フィルートは嬉しそうにヴィルとアイビィの方を見ている

食事も終えると家は二人で住むには大きすぎるほどに大きいものだったため使っていない部屋を使っていいということでしばらくヴィルとアイビィはそこでお世話になることになった


ヴィルは食事を終えて疲れていたのかベッドで熟睡し始めたのをみてアイビィもとなりで眠りにつく





それから数時間が経ちふとヴァイオリンの音と綺麗な声の歌が聴こえる

ヴィルが玄関を開けてみるとベランダの方へ目を向けるとヴァイオリンを奏で美しい歌を歌うフィルートの姿を見て美しいその声と音色に聴き惚れているとふとこちらに気付いたフィルートは演奏をやめて少し恥ずかしそうにしている


「とっても上手だね、うちはそういうのわかんないけど本当に綺麗だよ」

「あ、ありがとうございます!でも起こしてしまいましたか!?」

「いや大丈夫だよ、貴方達のおかげでこのとおり元気元気!」


笑うとベランダへ向かうとフィルートの隣に腰掛けてヴィルから声をかける


「貴方達って兄弟だけど似てないよねぇ」

「私は実は腹違いなんですでも両親は素行が悪く私と兄を置いてどこかに行ってしまいました、そうしたらこの町の町長さんがとても優しい方で私と兄を保護してくれて大切に育ててくださいました、今も町の東の方で暮らしています、兄は不器用ですけどとっても優しいんですずっと私のことを守ってくれました。戦うのが苦手でだから私はどうか歌や楽器で兄のサポートが出来るようにとこの町の北方向にあるレセナの森の妖精の力を得てサポートを出来るようになってそれからずっと二人で生きてきました」


満天の星空が輝く空を見つめてフィルートはそう話してくれた

ヴィルはごめんね、そんなこと聞いちゃってというとフィルートはにこっと笑っていえ、と会釈をする


「それで、ヴィルさんは?」

「うち?あぁ、うちはねぇもう無い故郷はドラゴンを信仰していたの。うちが生まれた時にさうちに邪竜と言われているジェイワルトっていうドラゴンの血が混じってて捨てられちゃったんだ、でも性格がこんなだから気にしなかったけどねまだ子供だったうちにはその力なんて制御出来るわけなくて暴走状態に陥ってドラゴンになって町を焼き払っちゃったでも後悔なんてしてないうちは心の底ではあの街を憎んでたんだと思う」


息をついて立ち上がるとフィルートは頭を下げてまたお話させてください、という

驚きつつももちろんと言うとヴィルは自室へと戻って行った


そっとヴァイオリンをまた持つとフィルートは綺麗な歌声を響かせる


Auch wenn es eines Tages verschwinden wird

(いつか消える運命でも)

Wenn du bei dir sein kannst

(貴方のそばにいられるなら)

Ich werde weiterhin singen und jede Qual oder Wunde singen

(私はどんな苦悩も傷も癒し歌い続けましょう)













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