アイト

Hero’s Birthday

目が覚めると、そこは真っ白な部屋だった。


部屋の中に機械的に並べられた机の上には、対照的に乱雑にたくさんの医療器具や拷問器具などが並べられていた。


真っ白な部屋にある唯一の色は赤色――血の色だった。鮮やかで、そしてどす黒い汚い赤色。

壁中に飛び散り、机から滴り落ち血溜まりになっている。



痛いなぁ。なんでこんなことするんだろ。


それは、この施設にいるもの皆が思っていることだった。

生まれた時からずっとずっと、意味も分からず苦しめられてきた。



それはもう、終わりにしよう。


『たすけて』なんて意味の無いことばを発するのは、もうやめにしよう。


あたしたちを傷つけるやつらなんていらない。

あたしがみんなを助けるヒーローになるんだ。

みんなを助けられるのはあたししかいない。



そうしてヒーローは生まれた。

そのヒーローは、世界の主役ではなかった。

主役を引き立てるためにいるだけの存在。

たまたまだ。偶然主役じゃなかった。


そして少女は、醜い悪魔として生きていく。



主役を――ヒーローを引き立てる、悪役として。














「あの森に不気味な少女がいるらしいぞ」

「大丈夫、ヒーローがやっつけてくれるさ」



「俺達が、お前を倒す。みんなを守るためにな」


あぁ、主役ヒーローが来た。

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焔の旅 by かの。 @Kano_

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