第4話「すぴーどのむこう」


‥‥‥‥‥‥‥‥‥  

                              我が‥‥‥‥‥レエ‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥

                ‥‥英‥‥‥‥私‥‥‥優れ‥

‥‥‥ 

  

                      同胞‥‥‥‥‥愚‥‥‥我‥‥








あれ? イエイヌちゃんをもふってたら寝ちゃってたみたい‥

ううん。さっき変な声が聴こえたような‥‥気のせいかな。


なんか最近変なことばっかり起きるなぁ。こう、キュルルちゃんと会ったときみたいにさ。

う~、疲れるなぁ。二度寝しちゃう!



で。またしばらく眠って。

「ああっ、起きましたね、ともえさん。」

「おやおや、おはようごぜぇます、ともえさん。」


「んんー、おはよ、みんな。‥なんかラモリさんの口調違わない?」

「あれ、そういえばそうですね‥なんででしょう?」

「ああ、それでしたらねぇ、なんか皆さんとも親しくなってきたしぃ、本来の自分をヌルッと出しちゃってもいいんじゃねーのっていう信頼の証ですハイ。」


「そういうことだったのね。すごい独特な話し方だけど、面白いから良いかな?」

「んじゃまそゆことで。コンゴトモヨロシク。オレサマ、オマエ、マルカジリ。ガブリンチョ!‥つってね。」

「あははー!なにそれー!」

「面白いですね、ラモリさん! ともえさんが楽しそうで何よりです。」

(一同大笑い)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

♪Miitopiaより みんなの宿屋 ※この先のBGMは全てMiitopiaからです。


「そうでした、ともえさん。ここら辺は、さばくちほーっちゅう場所です。」

「さばくちほーかぁ。砂はないの?」

「砂がなくても乾いててあっつい場所はなんとなく砂漠って言うらしいッスよ。」

「そうなんだー。勉強になるなぁ。」

「はぁ‥ううう‥わたし、暑いの苦手です‥」

イエイヌちゃんが暑さのあまり、呼吸を荒くしてだるそうにしている‥これは、大変だ。

「だ、大丈夫?イエイヌちゃん。」「はぁ‥はぁ‥ちょっときついです‥」



「ワンちゃんは暑さに弱いですかんねぇ。イエイヌちゃんみたいな子は特に。」

「じゃ、じゃどうすれば良いかな?ラモリさん。」


「ほいじゃこれ。お冷やです。あと窓も開けましょうか。風を浴びましょい。」

ラモリさんが、コップに入った水をくれ、窓を開けた。

「ありがと、ラモリさん。さ、イエイヌちゃん、これ飲んで。」

「ううん。ありがとうございます‥」

一瞬で水がなくなった。

「おかわりほい。」「ああ、また、ホントに、どうも。」

またすぐなくなった。

「もいっちょほい。」「すごいですラモリさん。ありがとうございます。もう、大丈夫になりました。」

「そぉれならよかったですハイ。‥そうだ。念のためにこれ、持っててくださいな。」


ラモリさんが差し出したのは、青い、なんか貼れそうなもの。

「そりゃ、冷えピタっちゅうもんです。ともえさん。貼ってやってください。おでこと首にね。」


「うん。わかった。はい、イエイヌちゃん、貼るよ~?」

「はい‥…ひゃあ! 冷たいっ! う~‥」

「はあい、貼れた~。これでだいじょうぶかな?」

「はい。冷たくて、良い気持ちですぅ。」

「ふう。良かったですばい。これでしばらくは‥」


ビュウウウウウウオオオオン!!!

と、いった具合に、誰かの人影がクルーザーを追い越してった。


「うわあ!なに今の!?」「すごい早さでクルマを追い越していきましたね‥」

「おお‥今の人影は恐らく、チーターさん、かと。」


「あのチーターちゃんも、あたしたちが向かってる岩の岳に向かってるのかな。」

「おぉそらくそうだとおぉもいますよぉ。あっちに向かってましたからねぇ。」

あたしのスケッチブックにあった、岩の岳。その場所までラモリさんとみんなで向かってる途中だった。


「じゃ、一緒に走っていこうよ!」

「了解、ぶっ飛ばして行きまッ!」

‥と、思ったんだけど。


「あれ? 急に止まっちゃったけど‥」

「おっやおや、どうしたんでしょうか。ちょっと降りてみましょうか?」

みんなでクルーザーを降り、チーターちゃんの元に行ってみた。

見たところ、走り疲れちゃってるのかな?


♪ステージ サイショーの国


「こんにちはー! チーターちゃん。」

「はあっ、ふう、ああ、こんちは‥」

「大丈夫? 結構疲れてるみたいだけど。」

「まずは日陰にいきましょう。あのちっちゃな岩の岳なら、ちょうど良いかもしれません。」

チーターちゃんが息を荒くしているのを見て、イエイヌちゃんがフォロー。



「ふう。ありがと。でも、急がなきゃ。すぐにアイツらが追い付いちゃうわ‥」

「アイツらがって?」 チーターちゃんは何かから逃げてるのかな‥

「いいのよ。気にしなくて。面識のない子を面倒ごとに巻き込みたくないわ。」

「そんなわけにはいかないよ! フレンズちゃんだったら、あたしがお話ししてあげる! あたしだってお話ししてみたいし。」


「アンタ、良い子じゃない。名前は?」

「あたし、ともえ! こっちの子はイエイヌちゃんで、こっちの子は‥」

「どぉーも、お初にお目にかかります、ラモリと申します。」

「ふふん。覚えたわ。アタシはチーターよ。よろしくね、みんな。‥しゃべる赤いボスなんて、初めて見るけど。」


ドドドドドドドドドドド‥


♪戦いの前 どんな敵かな?

チーターちゃんと挨拶をしている間に、向こうからなにかがすごいスピードで向かってくる。

「あれが、もしかして?」

「キーッ! 速すぎなのよ!! まともに話せなかったじゃない!

‥そうよ! あれがアタシが逃げてたやつ、プロングホーンとロードランナーよ!」

「プロングホーンちゃんとロードランナーちゃんかぁ‥! じゃあ、あたしいってみるね?」

「わかったわ‥なんかごめんなさいね。押し付けるみたいで。」

「いいのいいの! 大丈夫だからさ。」


♪戦闘! サイショーの国


砂ぼこりが近付いてきた。その中に、二人の影が見える!


「ちゃんとついてきてるかー! ロードランナー!」

「はいっ! 今日はなんだか調子が良いです!!」

「はははは! 健康なのは良いことだ! まだまだ行けるな?」

「もちろんですプロングホーン様! ブッちぎって行きま‥」

「おーい! そこのフレンズちゃんたちー! お話良いかなー?」


あたしは、走ってる二人を呼び止めた。今思うと、ちょっと空気が読めなかったかなと反省。

「わわわわっ! な、なんだよぅ! 人がキモチよく走ってるときに‥」

Beep!と書かれてるTシャツを着てる強気なこの子がロードランナーちゃんで‥


「まあ待てロードランナー。ここは話を聞いておこうじゃないか。」

こっちの大人びた、カッコいい子の方がプロングホーンちゃんかぁ。


「あの、挨拶だけでもしようかなって思って。」「走るのがとても速かったから、つい気になってしまって‥」


「なるほど。そういうことだな。私達の俊足も有名になったものだな。」

「じゃ、プロングホーン様から先にどうぞ。」

「うむ。では私から。 私はプロングホーン。足の早さには自信がある。」

「オレさまはロードランナー! プロングホーン様の“でし”なんだぜぇ。」

「よろしくねっ! 二人とも。 あたしはともえ。で、こっちの子はイエイヌちゃん。」

「どうも、イエイヌですぅ。はじめまして!」

❲ピピピピピ‥❳「どーも、お初にお目にかかります。ラァモリでございます。」


(‥今のうちかしら。)ザッ‥

BGM停止

「ムッ‥! そこにいるのか、チーター!?」

チーターちゃんが逃げようとした矢先、わずかな足音に反応して気づいた‥! すごい。

BGM復活

「なッ‥何で分かったのよ!!」

「ふふ。「勝つためにはまず敵と己を知れ。」私はチーターの事なら何でも知っているつもりだぞ。」

「ぬ‥! ぬぐぐ‥!」 「おい、どーした? ビビってんのかぁ?」


「‥さあ、出てくるんだ! 今日も速さを共に磨こうじゃないか!」

「‥かけっこでな!」


「くぅ~!! なんてこと‥ 言っとくけどねぇ! アタシは一人がいいのっ! だからアンタたちとは絶対に‥」

「へん! やっぱり、負けるのが怖いんだろ?」「~っ!!」

♪宿屋のできごと

「ストーーーーップ!!! やめようよ、こんな争い! あたし、フレンズちゃんたちがけんかしてるの見たくないよ!」

「‥そうだぞ。ロードランナー。お前の悪い癖だ。」

「う~、うぬぬ‥すいません。」


「せっかく、楽しいかけっこやるんだもの、やる前から楽しくなくちゃ!」

「そうだな‥そういえば、ともえ。君は、走らないのか?」

「え? ああ、あはは。ちょっと自信は‥無いかな。その代わり、みんなで走れる楽しいゲームを考えてみたんだ。」


「ほう‥げえむ‥とな?」「教えてくれよな。」

記憶の中にあった何かを辿って‥こんなのを思い付いた。

「おっけ。じゃあみんな、よく聞いて! リレーって言うゲームを今からするよ。」


〈はーい。 おおう! うむ。〉

♪きがえよう

「まず、すぐそこの広場みたいな場所からスタート。あの岩の丘を回って、ここに戻ったらゴール。

チーム分けは、プロングホーンちゃんとロードランナーちゃんのチームと、チーターちゃんのチームで分けたいんだけど‥人数がなぁ。」

思い付いたはいいが、どうしても、チーターちゃんのチームの人数が足りない。でも、だからといってあたしやイエイヌちゃんが走るわけにもいかないし‥


「‥おや‥? 向こうからまた誰か走ってきますが‥。ほら、あっちです。」

確かに、イエイヌちゃんが指した方向から誰かが来る。

♪ ステージ フシギの国

「Heeeeeeey!!! ロードランナァァーッ!!」

「ふぁっ!? あいつは‥」

「今日こそ決着をつけようじゃナイの!!」


前に出会った、サーバルちゃんにちょっとにてる子みたい。

「コヨーテぇ! 何でオマエが‥」

「モチロン、どっちが速いか、決着を着けるためネ。

Yo,そこの青いの。今からかけっこやるんデショ? ワタシも入れて。ロードランナーと対決したい!」


「もっちろん! ありがとう、コヨーテちゃん!これで人数は大丈夫かな?」


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「それじゃみんな、位置について!」

スタートラインに立つと、みんなの目が真剣になる。も、もっと気軽でいいんだけどナ‥


「私は勝敗にはこだわらない。ただ、正々堂々と立ち向かうのみだ。」

「ふん。今日こそ叩きツブしてやるわ!」

「おい、コヨーテ。いつも通りオレさまが勝っちまうぜ?」

「Shut up! 今日のワタシはdifferent.いつもと違うんだから‥。」

「実況はジャパリクルーザーにて、ともえさんが行いますぅ。」


「いくよー? よーい‥」



「スタート!!」


♪戦闘 トナリーノの国

「行くぜぇ!」「Let's go!」

始めに、ローちゃんとコヨーテちゃんが走りだした!

二人ともすごい速さだ!でも、ちょっとだけコヨーテちゃんが遅れている。



「二人ともー!がんばって!」

「おう!言われなくてもな‥!」「Thanks! いい声援だネ!」

応援に答えるように、コヨーテちゃんがスピードを上げる。


「うわ!いつの間に! なかなか速ぇじゃねえか‥。」

「青いのの声が力になったのサ。そっちはどうだい?」

「ぐぬぬ‥負けるもんかぁーっ!!」ドゥルルルルルルル

ローちゃんのスピードが急速に上がっていく!速すぎてクルーザーが追い付いていない!

「速ッ!?クルーザー追い付いていないよ!」「すごい速さ‥さすがロードランナーさんです!」

「へへん、どうだ、見たかコヨーテ! これがオレさまの本気だぁ!」


どんどん差が広がっていく。だが、コヨーテちゃんだって負けていない!


「やっぱりこっちの方がいいかな。よっこらHeyっと!」四足で走り出した!ちょっと手が痛そう!

「なんだよ!? そっちがその気なら‥とおーっ!」

負けじと、ローちゃんも一歩ごとに少し羽ばたいて体力を温存する作戦に出た!

あれ、これって、ルール違反‥なのかなぁ。 いや!頑張ってるならそれでもいいよ!‥って思ったんだけど。

「Stop! Stooooooop!! ちょっと待ってロードランナー、それはさすがにルール違反では!?」

さすがに、コヨーテちゃんが止めに入った。


「はっ、飛んじゃいけないなんてルールはなかったぜぇ?」

「ちょっと、青いの! これってどうなの!?」

「えっ!? えっと、あたし的には全然オッケーなんだけど‥」

「らしいぜ? ははん、おっさきー!」

「なっ、Wait‥ああっ!」

コヨーテちゃんが転んでしまった。四足で走っていて、バランスが悪くなっていたみたいだ‥

「コヨーテちゃん!! 大丈夫!?」 「コ、コヨーテさん!」

「ううう‥‥悔しいッ! このままじゃ、負ける‥」


「わ、私が走ります! コヨーテさんの代わりに!」

イエイヌちゃんが手をあげて、代わりに走ると言い出したけど、こんな暑いなかで走ったら倒れちゃうよ‥やっぱり、ここは。


「待って!ここはあたしが行くよ!」「What are…!?」「ともえさんが!?」

「へーきへーき! あたし体力には自信あるんだから。まあ見ててよ!」

「分かりました!頑張ってくださいね!コヨーテさんはクルーザーに運んでおきます。」

「いやぁ、So sorry.すまないね‥ワタシの代わりにロードランナーをぶち抜いちゃって!」


軽く準備体操して、走る準備。久々っていうか、目覚めてから全力でダッシュするの初じゃない?

「よーし、いっくよー! そぉい!」 バッシュゥ!!


「え? もう行っちゃったんですかね?なんかすごい音がしましたけど。」



♪戦闘 チャンス!

ギュイイイイイイイ

「ほああ! やっぱり全力で走るっていいね!気持ちいい!」

前に泳いだときと一緒で、あたしは自分で思ってたよりも足速いみたい。


お? ロードランナーちゃんに追い付いてきたみたいだね。

「速すぎだろ!!?どうなってんだよ?!?」

「えへへ~どう? はやいっしょ!」

「イヤイヤイヤ‥まぁ速いんだが! おっそろしい速さなんだよ!」

「まーま、気軽に気軽に。楽しんでいこうよ。」

「ふん! わりいが、そんな訳には行かねぇんだ。プロングホーン様には、負けてほしくねー。」

「そっか! ローちゃんってプロングホーンちゃんの事好きなんだ!!」


「ブファッ!!…ちっ、そうだよ!だから、オレさまが勝つんだ!邪魔すんなよな!」

ローちゃんがさらにスピードをあげ、あたしの前に来る。すると砂がまぁかかることかかること。

「うわ!? いった、目ぇかゆっ!砂が…」

こうなったらもうヤケクソだぁ!目をつぶってダッシュ!!


「ンヌアアアアアアアアァァァァ!!」

明らかに女の子の声じゃないやん、どうしてくれんのこれ


とにかく必死に走っていると、


「ともえ!もうすぐよ!」「ロードランナー!」

「チーターさん、はいっ!」「はい!プロングホーン様!」

どちらとも、ほぼ同時に次の番へと回した。


♪決戦!ボス


「おんりゃあぁぁぁッ!!」「いくぞっ…!」


ズファァァァ!…

ヒエ~ッ!!はっや!


「チーターちゃ~ん!頑張って~!」

「プロングホーン様ぁ!ブッちぎってくださいぃ!!」


もうあっという間に二人はすんごい遠くへ行ってしまった。

それを見てると、クルーザーがこちらに走ってきて、ラモリさんが出てきた。

プロングホーンちゃんとチーターちゃんの様子を写しているようだ。

「こちら上面図ですよん。今はどうやら、チーターさんが勝ってるみたいですね。」

「あんだってぇ!?負けるなープロングホーン様!」


//////////////////


「さらに腕を上げたな、チーター!」「ふんっ!うるさいわね、少し黙って…」

「私は、君のそういうところ、嫌いではないぞ。」

「…ええ!!??なっ、何よぉ~!!もぉ~~~!!!」

「おっと、スピードが落ちてないか?どうだ、ここは私が手を繋いで―」

♪好き!Ⅳ

「ああああああああ!!!!」「ど、どうしたチーター!?」


//////////////////


「あれ?二人とも止まっちゃったね。」「オイオイどーなってんだぁ!?大丈夫かよ…」


//////////////////


♪ステージ 怪しい工場


「チーター、大丈夫か?顔が真っ赤だぞ。」「あ…ああ…え?なっ…!!……オホン。え、えっと、思い出したのよ!さっきの…ロードランナーのこと。」「ロードランナーが、どうかしたのか?」

「やり口がにてるなーって。あのー、走ってる人に対して?そのー、邪魔するとか。」

「な、何ッ…!」「見えてなかったの?ともえが走ってたとき、あのロードランナー、邪魔してたのよ?」

「そ、そんな… ははッ、たちの悪いデタラメだろう‥」「ほ、本当よ!実際見たもの!」

「‥くっ‥勝ちの形にこだわるなとは言ったものの、違う方向で伝わってしまったか‥

このかけっこが終わったら、ともえとロードランナーに聞いてみよう。先に行く!」

ドドドドドドドドドドドドド…


「ふう。テキトーなこと言ってやり過ごせたわね。あいつの言葉、聞いてると胸がドキドキして‥気持ち悪いから離れてもらわなきゃ‥


さて、そろそろアタシもぼちぼちいきましょうか。」



///////////////////////



「おお、動き出したよ。プロングホーンちゃんの方が速い!」「いっけー!もうすぐゴールだー!」

あっという間にゴールラインに近づいて…!

♪戦いを終えて

「ゴーーール!! おめでとうございます、プロングホーンさん。」

「ふう…。」「やった!やった!やりましたねプロングホーン様!」ピョンコピョンコ

両手を繋いで跳ねながら喜んでるのかわいい…


「いやーははは…あたしがローちゃんに追い付けなかったのが原因かな。」

「むっ…」

突然。プロングホーンちゃんがあたしを見つめてくる。

♪戦いの前 おそろしい敵

「あ、ああ。その事なんだがな、少し聞いていいか?」

プロングホーンちゃんが少し困ったような顔で聞いてくる。嫌々聞こうとしてるようにも見える…

「はい、何ですか?」

「さっきチーターから聞いたんだが…お前がともえと走ってるときに邪魔をしたと聞いたんだ…

 ほ、本当なのか?」


(ギックゥゥゥゥ!!)

「いや、その、べべ別にオレは邪魔をしようと思った訳じゃなくて??ただオレの走り方が??ダメだったとか???」

「そう…か。やってないなら別にいいんだ。私も、お前を疑いたくはないからな…」

「あっはははー…」

バ、バレてるぅー!そもそも見えてたの?

ほどなくして、チーターちゃんもゴールしてきた。

「あー、負けちゃったわね。」「かけっこには負けたけど、楽しかったからそれでよし!」

「うむ。そうだな。走るのはいつだって楽しいことだ。」「ソ,ソウデスネー,プロングホーンサマ…」


「どうしたのローちゃん、ガッチガチじゃん。」

「やー!!?? そんなこたぁ、ねーぜ…?」

そういったあと、少しうつむいて黙ってしまった。

えっと、もしかして正直に言おうとして緊張してるとか…?


と、そこにイエイヌちゃんとコヨーテちゃんがクルーザーから出てきて、ローちゃんに耳打ちした。

…その声はあたしとチーターちゃんには聞こえてたみたいだけど。


「ここは正々堂々物事をSayするべきよ!」「はぁ?」

「大丈夫ですよ!プロングホーンさんは優しいからきっと許してくれますって!」「いやいや無理だって!プロングホーン様はこういうことには厳しーんだよ!」


二人が正直に告白することを勧めているが、ローちゃんの気が進まない。

チーターちゃんも、この会話を聞いてはじめて、

「ええ…?あたしがいったこと本当だったの…?テキトーなこといったつもりなんだけどなぁ。本当だったのね…」

テキトーなことってなんだろ。とにかく、状況を理解してくれたようだ。


ローちゃんにちゃんと謝らせる方法…怖い気持ちをなくせばなんとかなるかな…?

なら、あたしがやるべきことは…


「プロングホーンちゃん。」「お、なんだ、ともえ。」不思議そうな目でみんなを見ていたプロングホーンちゃんに話しかける。

「ロードランナーちゃんが謝ってきたら、怒らずに聞いてあげてね。」

「??……!…フッ、ああ。当然さ。優しく聞いてやろう。」「ありがと。じゃ、よろしくね?」


そう言ってローちゃんたちのところに戻る。そしてローちゃんはもう、謝る準備を終えていたようだ。

「ロードランナーのメンタルならNo problemよ!」「いきましょう!」

「ああ…。ちゃんと、言わなきゃな。」

プロングホーンちゃんのところへ歩いていく。

そして、決意したように話し始めた。

「…ごめんなさい!プロングホーン様!オレが、間違ってました!

プロングホーン様に勝ってもらいたいばっかりに、オレ…ズルをしてしまいました。」

ローちゃんは正直に、すべてのことを話した。


「ひとつ目は、コヨーテと走ってるときに、追い付かれそうになって、そこでオレは飛びながら走って体力を使わないようにしてました。

二つ目はともえがオレに迫ってきたとき、わざと砂が飛ぶように走って、ともえの邪魔をしてしまいました。

本当にすいません…!オレはただ、プロングホーン様が負けるのが見たくなくて…!!」


「ロードランナー。」「は…はい。」「……全く、仕方のないやつだ。私を思ってのことか。ロードランナーらしいな。

勝ちの形にこだわるなとはいったが、どうやら間違って伝わってしまったようだな。」

「勝ちの形…ですか?」

「ああ。どうやって勝ったか、じゃない。その勝ちに至るまでどんな道を歩んだか。私はそこを見たいんだ。

だが…どうやら、お前は「どんな手を使ってでも勝て、勝ちの形にこだわるな」というふうに理解してしまったのだろう。」

「…!えっと、はい。そんな感じでした。」


「やはりそうだったか…まあ。ズルをしたというのは悪いことだが、今回は許してやろう。」

「ほ…本当ですか…!?」

「ああ。ちゃんと心の底から謝るお前は、初めて見た。気持ちはちゃんと、伝わってきたさ。

それに…他人のために全力を尽くすと言うのはとても素晴らしいことだ。その力、私以外にも使うべきだ。」

「プロングホーン様…!ありがとうっ、ございますっ!!」

「おお!はは、まさか抱きついてくるとはな。」


よかったー、一時はどうなるかと思ったけど、ちゃんと謝れば伝わるもんだね!

「よかったね、ローちゃん!」「頑張りましたね、ロードランナーさん!」

「よかったよかった。二人のFriendshipは、そんな簡単に崩れやしなかったね。」

「アタシもこんな友達がほしいわー。」

よーしっ!問題解決ぅ~って、あれ?…そういえば、もう一つやることがあったはずじゃ…あっ!!

「ああ!そうだ!」「急にどうしたんだよ?」

「あたしたち、あの岩山に行きたかったんだ。かけっこで使った。」

「おお。あそこか。何だ?景色でも見たいのか?」

「うん。まあ正確には、あたしのスケブの中にこんな絵があったんだけど…」


スケブの中の、岩山を挟んだ先に白い大地が広がっている絵を見せた。

「うんうん。これは確かに、あのでかい山からの景色だぞ。」「アタシ達にも来いっていうの?」

「まあ、できれば来てもらいたいな。一応もう友達なんだし。」

「んーまぁいいわ。ついていってあげる。」「Meもついていくさ。ってか地味にその風景は見たことないし。」


何だかんだ全員クルーザーにのって移動することに。


「おお!オレさま達もこれに乗れるのか!」「確か、ジャパリクルーザー、とか言ったな。」

「戻ってきたよ、ラモリさーん?」

「アイヤ~ お待ちしてましたよぉ~。全く何行ぶりに台詞を言えたことか…」

「へ?」「いえいえ、こちらの話ですので、お気になさらず。

それで、あの岩山に向かうんですな?」

「話が速い!うん。そうだよ。」「了解です、ではもう、出発してしまいましょう!」

ローちゃんたちをのせて、目的地の岩山まで車を走らせる。

山の頂上への道は急な坂道だ。そんな場所でも車はぐんぐん進んでくれる。


「はぁ~、すっげえなこの…乗り物?このきつい坂をガンガン進んでくぜ。」

「ね!すごいでしょ?結構どんな場所でも走れるんだよ、この車。」

「こりゃあ楽でいいぜ~。」「ふふ、なかなかに心地よいな。」「まっ、アタシよりはスピードは出てないけどね。」「スピードはない分、地形の悪さに対応してますね。」


もう頂上が近い。でもこの向きじゃ白い大地は見えない。スケブにあるこの白いのはなんなんだろう?


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「さあ、間もなくテッペンでございます。」

ついに、てっぺんについた!クルーザーを降りて、景色を眺めると…

「わあー、全部砂漠っ!!…じゃなくて、あ!やっぱりあった!白いところ…!」

「あれ…ですか?あの場所は…」「あっ!マップにあった。なになに…「せつげんちほー」…」

「せつげんちほー…わたしはあんまり行ったことありませんね…。」「オレさまもだ。あっちの方は危ないとか、フレンズもヤバイやつばっかりって噂聞くからな。」

「…でも、あたしはいかなきゃ…。」「な、なんでだよ。」

「よくわからないけど、あそこは何だか…今までとは違って、何か重要そうなものがある…気がするんだ。」

「そうか、ともえは自らの記憶を取り戻す旅をしているのだったな。」「そのせいであんな場所にもいかなきゃならないなんて、大変ねぇ…。」

「ともえ、本当に大丈夫なの?あの白いのはSnow…雪というらしいんだけど、very cold,and very soft.冷たく…しかも足もとられやすいって情報よ。」


「ヌフフフ…それなら心配ご無用でさぁ!こちら、ともえさんの寒冷地仕様の服です!」

・ファーつきベスト ・マフラー ・膝上くらいの長さの靴下 ・防寒靴

をラモリさんはどこからか出してきた。

「ありがとう、ラモリさん!…これどこにあったの?」

「それがですねぇ、クルーザーの後ろ…トランクになぜか入っていました。」

「そんなすぐ近くに!?」

「いやぁ、意外と気づかないものですねぇ。」


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「じゃあ、そろそろあたしたち行こうかな。」

「!! お、おう、そうか。行っちまうのか。」

「フッ、世話になった。お陰でロードランナーも成長できたみたいだからな。」

「あんたたちにあえて、本当よかったわ!アタシ、ずっと忘れないわよ!」

「Youたちとの時間、すっごい楽しかったよ!んじゃ、See you again!」

「今回は、どうもありがとうございました。」

「また会おうねー!」

みんなと別れの挨拶をする…が、ローちゃんだけ、そわそわして何か言いたげだ。


「ロードランナー、何か言いたいことがあるんじゃないの?」

「ちょ、まてよコヨーテ、言うなって!」

「え?ローちゃんが?」「どうしましたか?」


「だぁー!あの、ええと…その…今日は、楽しかったぜぇ?久しぶりにチョー気持ちよく走ったからな。

それに…それ以外にも色々助けてもらった。だから特別に、お前らを友達と認めてやるぜ!!」

「本当に!? うれしいよ!! あたしもローちゃんと友達になれてうれしい!!」(両手を繋ぎながら跳ねて、嬉しさを全身で表現した)


「そうだ!オレさまとともえたちは友達さ!だから…」



「また、会おうぜ。」「うん。また会おうね。」


ローちゃん…何かと言えば…。あたしたちは、一緒に遊んだその時点で友達だよ。

これはやっぱり、ローちゃんなりの感謝…なのかもしれないね。



こんなこと言われると、行くのがさみしくなっちゃうじゃん。


「みんなと別れるのはさみしいけど、あたし、記憶を取り戻すために頑張んなきゃ。」

「そうだよな…がんばれよ‼」


「…じゃあね!」「ああ!またな!」

「さようならー!」「また会おう!ともえ!イエイヌ!」



そして、クルーザーが走り出した。

岩山を降りていき、砂漠を走り抜け、次の舞台、雪降るせつげんちほーへと向かい始めた…。





「ロードランナー。」「はい?」「あれで…よかったのか?」

プロングホーンと二人っきりになったロードランナーが問いかけられる。


「はい…別に、大丈夫です。」「…本当か?」


「…本当は、ついていきたいです。あいつらのところで、冒険してみたいなって思いました。」

「…そうか。」

「でもオレ、まだまだバカだし、ついてったらあいつらに迷惑かけちまうんじゃないかって…」

プロングホーンは少し考え、そしてこう言った。


「私が、許可しよう。ともえ達のところへ行ってくるんだ。」

「!!…本当、ですか…!?」その言葉に、ロードランナーは目を潤わせ、同時に輝いた。


「ああ。お前の決めた道だ。それはお前の道であるべきだから、それを邪魔する気はない。」

「で、でもプロングホーン様は…」「おいおい、私を誰だと思ってる。私一人でも平気さ。それに、練習相手にはチーターもいるからな。」「そうです…よね。」


「さあさあ、何を渋ってる。行きたいのなら行くんだ。せつげんちほーに着かない内に。」

「~っ!! ありがとう、ございます!!!

では、いってきます!!」

許可を得たロードランナーは、あっという間にともえたちの乗るクルーザーへと走り去っていった。



「フッ…「かわいい子には旅をさせよ」…か。」

「全く、仕方のないやつだ。」



そう呟いたプロングホーンの顔は、どこか満足げだった。




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ローちゃん、寂しそうだった。できることなら、一緒に旅をしたかったんだけど…




「おーーい! ともえーーーッ!! イエイヌーーッ!!」




突然、車の後ろから声が!もしかして…!


窓を開け、後ろを見ると…!


「ロ………ローちゃん!!」「ロードランナーさん!!」

ローちゃんがクルーザーを追いかけている!


「オレ、やっぱお前たちについていくぜ! プロングホーン様も良いって言ってたぜ!」

「本当に!?」「マジだぜ!」「いやったぁ~!」「わはぁー!うれしいですぅ~!」

「勝手にはいるぞ!ここを、こうだろ?」

ローちゃんは走っているクルーザーのドアを開け、ジャンプして乗り込むというスゴ技を見せた。

「おおっ、スゴい。」「はんっ!だーろー?」

「ロードランナーさんもついてきてくれるんですね!?」

「もちろんさ!オレさま、一回でっけぇ冒険してみたかったんだ!」

「すんばらしい冒険心の持ち主ですなぁ。ああ、そういえばプロングホーンさんは…?」


「あの方なら大丈夫だそうだ。オレさまなら一人で大丈夫だと思ってくれたんだろ。」

「なんと…あなたを自立させたいという、親の心意気ですなぁ…」


「そういや、何でこのボスしゃべれんだ?」「おおっと、申し遅れました。私、ラモリと申します。あなた方フレンズと話せるのは……まぁ、仕様…ですかな。」

「ロードランナーさん、わたしからもよろしくお願いします。」「あたしも! これからよろしくね!」「お、おう。よろしくな。」「私はイエイヌですぅ。」「あたしともえ!」

「オレさまはロードランナー…って、なんでもっかいあいさつしたんだ?」

「今度は友達として、一緒に冒険するのでよろしくって意味です。」

「そういうことか!じゃ、これから一緒に、旅していこうぜ!」

「もっちろん!」「もちろんです!」

「ではロードランナーさん、改めて問います。

❲私たちと一緒に旅してくれるかな?❳(いいとも!とかかれた札を出す)」


「…?…! いいともーッ!」

「いいとも頂きましたー!」


ロードランナーちゃんのローちゃんが一緒についてくることになった!

あたし、ここまで旅をして気づいたかもしれない。あたしのすべきこと。


じゃあ、ここでいったんまとめてみよう!

一つ目。・あたし自身の記憶を取り戻す

これは最後で最大の問題だね。


二つ目。・兵器のセルリアン、ビーストのアムールトラちゃんを助ける。

アムールトラちゃん…絶対、いつか絶対助けなきゃ‼


そして今日気づいた三つ目。・フレンズのみんなを助け、問題を解決し友達を増やす。

これも重要だね…あれ?あたしって意外と責任重大…?

とにかく!何があってもあたし、絶対諦めないんだから。みんながいればきっと大丈夫。


そうして決意を新たにしたと共に、次の場所、せつげんちほーで起こる出来事で、あたしは重要なことを思い出す…そんなことを考えていた。



スケッチブックには、雪に包まれた大きな屋敷の絵が描かれていた。



ルリ「三鳴鳥のー」三人「次回予告のコーナー!」

ルリ「今回は、ホワイトタイガーについて予習するぞ。」

コマ「白い色ってカッコいいわよね!そしてどこか神秘的であり…やっぱり何よりもかわいい!」

ウグ「おとなり中国では、ホワイトタイガーはビャッコという神の生き物らしいですよ。」

ルリ「さっきの言い方…バチが当たるんじゃないか?」

コマ「なっ…!それだけは勘弁よ!」

ウグ「ビャッコはサム~い北を守る神獣ですから…バチは寒くなるーとかじゃ…」

コマ「ちょっとやめてよ‼なんか寒気が…」

ルリ「ホレッ」(凍った保冷剤をコマドリの首裏に当てる)

コマ「ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

ルリ「次回、「せつげんちほー」…やりすぎたかな。」



4話、おしまいです。

長らくお待たせした割りには相変わらずの駄文で申し訳ナス…4話は仲間が加わる回なので、妥協はできないなとこだわりまくった結果がこの様です。本ッッッッッとうに申し訳ないどら。

変にこだわったり、長々と描写をしたせいで無駄に長くなってしまいました。

それでも!ここまで読んでくれた読者さん!好きッス!(大胆な告白は後輩の特権)(センスキの前に顔ドハを流行らせろ)

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