用語集
《概念》
◇異界騒ぎ
人ならざる者によって起こされる事件、怪異のこと。
◇神字
神代の時代に神官の間で用いられていた字。神字には呪力が宿っており、これを用いることによって神官は”神の代理人”である王として君臨出来た。
大抵これを用いることが出来るのは女性が多かったが、女性に政治を執り行う意思が希薄な場合、その親族、あるいは側近が実質的な政治を執り行っていた。
◇術
現在の”常識”から考えられない現象を起こすこと。
術というのは多種多様であり、メジャーなものといえば西洋の魔術がそれにあたるが、日本に存在しているものだけでも方術、妖術、鬼道、呪術などがあり、枚挙に暇がない。
そしてそれらを違う概念足らしめているものはその目的の達成手段への手順の違いである。
◇呪術
術とされているものの中でも、原始的な部類に属するもの。
ほとんどの呪術の行使にはあまり複雑な技術や体力は必要なく、やり方さえ知っていれば常人にでも行使可能なものも多いが、一部例外が存在する。
ちなみに、よく都市伝説の定番となっているような丑の刻参りも呪術の一つ。
◇妖術
妖怪の類が用いる術。
妖怪というものがあまり体系化された存在ではないので、そのほとんどが呪術のように原始的なものである。(あるいは呪術そのものであることも多い)
ただし、中には鬼道などのように複雑に体系化された妖術も存在する。
◇鬼道
鬼道は二つの意味を持っている。
一.特に鬼が行使する妖術。
二.呪術の別称。
一については元々妖術をベースにして発展してきたものだが、鬼道の中でも流派によって枝分かれしており、その全容は複雑怪奇なものになっている。
主な流派は大江山流、千方院流など。
◇巫術
一般的に神官や巫女が用いる術の総称。
基本的には神の力を擬似的に用いる術であるが、神の力を借りる以上、神からの加護を得ていることが必要である。
神からの加護を得る一般的な方法は信仰だが、知名度の低い神の場合、それよりもむしろその名前を広めることの方が効果として大きい。また、神からの信頼が篤くなればなるほど巫術を用いることによる行使者への負担も肩代わりしてくれる。(反対に言えば、神からの信頼が薄ければその分術者への負担も大きくなり、術もより部分的な再現しか出来ない)
◇方術
陰陽道によって確率された術の体系。陰陽術とも呼ばれる。
方術の代表的なものとしては、陰陽五行説にちなんだ占星術や式神が挙げられる。
◇占星術
星を見ることによってを物事の吉凶を占う営み。
そもそも占いには2つ方法がある。
一つは行使者の精神を一時的にトランス状態に持っていくことによって行うシャーマニズム的な者、もう一つは世界に存在するあらゆる事象の中から吉凶に関する法則を導き出し、体系化したものであり、星の運行などを占いに用いる占星術は後者に分類される。
なお吉凶を占うということは世界の裏側、いわば世界の設計図を垣間見ることによって未来の事象を予測したりする行為であるとされている。
《種族》
◇妖異・妖怪
超自然的な存在。また、不可解な存在であり、得たいの知れない何か。
かつて人々は夜を支配する妖怪の存在に恐怖し、畏れを抱いていたが、科学的実証主義の浸透した現在ではそうした観念も薄れ、妖怪の存在を信じる者も少なくなっている。
なお、妖怪は以下の三つの種類に大別される。
・何らかの理由で人や動物がなった存在としての妖怪
・人々の畏れや恐怖、噂によって生まれた妖怪
・落ちぶれた神としての妖怪
◇鬼
日本で広く名が知られている妖怪。
ただし、鬼と呼ばれているものは性質の似通ったいくつかの種族をまとめた言い方であり、その内情は、
・人から鬼になったもの
・元から鬼として生まれてきたもの
・陰陽師などに作られた式神
・落ちぶれた神が行き着いたもの
など様々である。
◇神霊
いわゆる神だが、一般的に格の高い者を指して使われる。
神霊の格や影響力は基本的に誰かの信仰や畏れによって成り立つため、神霊は自分を信仰してくれるものに力を貸す傾向にあり、神官や巫女などの者に対してはその神通力の一部を貸し与えることもあるとされる。
彼らにとって信仰は大事な問題だが、中には信仰にさして左右されない神霊もいる。
◇魔人
ヒトならざるヒト。時に魑魅魍魎の類もこの存在を畏怖し、恐怖することもある。
◇式神
主に陰陽師によって使役される使い魔、鬼神の一種。また、使役するための技術そのものを指すこともある。
基本的に一から作ることはなく、既にそこにある素体、つまり物や動物、妖怪などの上に術者が組み込んだ術式を載せることで成立する。
式神を使役する目的はその雑用から護衛まで様々であるが、元々その素体が有していない技術や能力なども術式に組み込めばその素体の能力の範囲内において行使することが出来ること、加えて、素体が持っている固有の技術や能力が術式を阻害することがあることから、よりシンプルで出力の高いものが素体として選ばれる傾向にある。
また、巫女が鬼神の類を自分の体に宿らせるように、方術では式神を素体に宿らせることによってその力を行使するので、神降ろしの一種とも呼ばれる。
式神を利用したりするものは呪術にも存在するが、それらは具体的で単純な命令しか実行することができない(例えば、「コップをとってくれ」など)。
対して、方術にて用いられる式神はより曖昧で複雑な命令を実行することが出来る。
(例えば、特定の人物を探し出すよう命令したり、文章を書かせたり、など)
《指名・建物》
◇菅原市
明治時代に高名な文化人が設立した大学をきっかけに発展してきた町。
市内には神社仏閣、旧家の屋敷や書店が立ち並ぶなど文化の町としての趣きを見せている一方で、駅中心部についてはオフィスビルやホテル、各種商業施設が立ち並んでいる。
◇北宮神社
海が見える場所に建つ神社。
元々この神社は祠と呼べる程度のひっそりとした場所であったが、明治期に大幅に改装され、現在ではそれなりの規模を誇るようになっている。「客士院」の置かれている神社であり、国から物の怪事の解決の請負を行う代わりに報酬を得ている。
◇波見小学校
菅原市の高台にある住宅地外れに建っている旧小学校。
明治期の菅原市の開発と共に建築されかつては子供達で賑わっていたが、児童数の増加に伴う新小学校の設立によって閉鎖。
現在は立ち入り禁止となっている。
◇ポートシティ
菅原市の沿岸地域と港内に作られた人工島一帯を指す用語。人工島へは菅原市から橋で繋がっている。
◇清道館高等学校
弓納が通っている菅原市の進学校。
しばしば不可解な出来事が起きることで知られていて、学校の密かな名物となっている。
◇東方文庫
明治時代に資産家によって開設された私設の図書館。
市民が気軽に利用することも出来、自習スペースなども存在するが、一般に開放されていない区画が存在する。
◇千方院家屋敷
町外れの高台に建っている屋敷。
往時よりは屋敷の規模は小さくなっているが、それでもなお十分な程の大きさを誇っている。現在住んでいるのは家の当主他数名のみ。
◇八杉村
菅原市の近郊に位置する村。土地は盆地であり、人口は約二千人。
村の南に八杉駅があるが、村内の移動としては日に数回往復するバス以外に 公共交通機関が存在しないため、住民のほとんどが車を持っている。
近年、開発を進めようという動きが持ち上がっており、住民の間で波紋を読んでいる。
《組織・団体》
◇客士院
北宮神社に設置され、「異界騒ぎ」のうち国の手が回らないようなものの対処にあたっている機関で、代表は望月詠子。
ここに所属している者は「客士」と呼ばれ国からそれなりの俸給が出るため、それを理由にここに所属している者もいる。
◇弓司庁
「異界騒ぎ」のうち、影響力が深刻と認識されたものに対処するための国の機関。
古くからこの国に存在しているが、”怪異に対処する”という性質上、世間には公にされておらず存在を知っているものもごく一部である。
なお正式名称は弓司庁だが、あまりその名前で呼ばれることは少なく、”ジンム”という通称で呼ばれることの方が多い。
《アイテム》
◇真統記
かつて国の文官達によって編纂されてきた書物。そこには失われてしまった歴史や真実をはじめ、様々な秘術、異界の者などに関する記述が記されているといわれる。
◇旧波見校日記
波見小学校が廃校になって間もなく書かれるようになった。
学校の資料室に置かれており、ここを訪れた有志のものによって 随時書き足されている。
◇考本
生きた魔導書。
以前は文書行政の円滑化や魔術研究のサポートなど、様々な用途として盛んに制作され利用されていたが、科学技術の発展に伴い徐々に衰退を始め、とある事件をきっかけに急速に衰退した。
太一の異界手帖 安住ひさ @rojiuraclub
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