ドリームガールカッターガール

ちゃむと薫

第2話「血と薔薇の色は似ている」

ーまだ小さな蕾でもきっと花開くわ。だって私達の子供達だものー



シュッ。シュッ。


カナメは自宅の自室で、カッターを片手にしていた。うっすらと血のにじむ手首。

彼女の唯一の癖である、リストカットだ。


彼女は、辛いときや自分を責めたいとき疲れたときはいつもこうして癒しているのだ。


(あぁ。こんなに時間が遅くなってしまった。

結局帰ったのは22時。カラオケ店員からの電話がなければユリナってやつは助からなかっただろうな。)



カラオケでのいじめの内容はこうだった。


まずユリナに普通に歌わせた。

最初はノリノリで合いの手をいれた。だがしかし、そのノリは徐々に消え、歌を妨害したり、ドリンクを持ってきたユリナを転ばせたり、トイレに行っているうちに楽譜や財布の中身を盗んだりと酷いものとなった。

最終的には、ユリナ全額払わせ財布をすっからかんにさせて帰らせたというわけだ。

約束の18時をとっくに4時間も過ぎていた....



だがそんなことよりも気にかかっていたことがカナメはあった。

彼女が走り去る瞬間わずかに獣の臭いと、猫の毛のような物がカナメに付着した。


まさか。そう思った矢先、カナメの姿は自宅でみるみるうちに変わっていった。


ウサギと人間のハーフ。

彼女の本当の姿だ。


鎖骨にはベニカナメモチの花のような鮮やかな痣。

彼女の隠してきた姿は、もしかしたらユリナもそうなのではないか。そんなことを考えながら手首を切った。

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