風の味がする

　写真家として生計を立てる近江竜也（おうみたつや）は、海外での取材旅行を終えて一時帰国していた京都の街で、ある一軒の喫茶店を訪れる。
　そこで出会ったバリスタの女性・北小路葵（きたこうじあおい）とその店の雰囲気を気に入った竜也は、次第に通い詰めるようになるのだった。

　竜也が来店を繰り返す度、親密になっていく二人。
　しかし、なにやら葵には重大な秘密があるようで……。

　見てきた世界を愛するものと、見えない世界で生きるもの。
　対照的な二人が紡ぐ愛の形が、きっとあなたに『世界で最も尊いもの』に気づかせてくれる――。