マヨナカシンセイブツ
――2年後。
巨大なシェルターの中に、僕はいた。
あの生物を見た後、見つかる前に何とか逃げ出せたのだ。
そしてすぐに警察に連絡すると、僕の勇気が称えられ、色々な人から褒められた。
マヨナカシンセイブツ。
これがあの生き物の名前だ。
夜に活動し、人間の体を触覚のようなものでほじくって食べる。だから殺された人間は蜂の巣のようになる。
活動時間は午後11時~午前3時くらい。
それしかまだ分かっていない。
人間は夜、一切外に出られなくなった。
家も壊されるため、人々は、強く、巨大なシェルターでの生活を余儀なくされている。そこに学校や店もある。
巨大なシェルターは、世界各地で3ヶ月ほどかけて作られ、そこでほぼ全ての人間は暮らしている。そこでみんな暮らせるくらい、人間の数は減ってしまった。3ヶ月の間で。
特に貧困の地域である。シェルターまで移動ができず、襲われてしまったのだ。
各国は、生き物が倒されるまで一時休戦を発表し、戦争はなくなった。
みんな心をひとつにし、故郷に帰ろうとしている。
人間が壊していた生態系は、少しだけ、元に戻りつつあるらしい。
これでよかったのかも知れない。
神(自称)は犠牲を作ったが、同時に平和をもたらした。
さて、僕の大好きなゲームだが、運営が潰れ、アップデートされなくなった。
しかし、音愛ちゃん(人形)はまだそばにいる。もうそれだけが生き甲斐だ。
「さ、またあのゲームLv1から始めるか!」
呟いた瞬間。
ガコン、ガガガガガガガ…………
巨大なシェルターが、壊されていく音だった。
マヨナカシンセイブツ 千代田 晴夢 @kiminiiihi
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