皇帝の剣

作者 泉 和佳

10

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★★★ Excellent!!!

三国志を彷彿とさせる、ゆったりとした情景ながらそこはかとない不穏な気配を遠雷のように感じさせる雰囲気で、この物語は始まります。

「割りの良い仕事がある」と父に呼ばれ、辺境の地から都にやってきた少女、アト。しかしその仕事とは、後宮にて皇子の側近くに仕え、その身辺を警護するというものでした。

宮廷は皇帝が崩御し、その跡を継ぐはずの皇太子も密かに薨去したばかりという、まさに暗雲垂れ込め魍魎が跋扈するかのような不穏極まりない状況です。遺された先帝の皇子は二人、そのうちの一人がアトが警護することになる第五皇子・泱容なのですが、彼もまた母が外つ国の出身だったことからこれまでまともに皇族として扱われてこなかったところ、皇太子の死を機に表舞台に立たされることになったという複雑な立場。

ましてアトは部族長の娘とはいえ辺境の山育ちで、一族の慣習から男子同様に育てられており、腕っぷしには自信があれど、宮廷での礼儀作法や振る舞いなど欠片も心得が無いという少女。加えて守るべき対象の皇子はひねくれ者で非協力的、果たしてアトは女官として後宮に潜入し、皇子を守るという大役を務めることができるのか、ひいては提示された通りの報酬を手にすることはできるのか――。

と、そのようにアトの前には難題が山積しているのですが、彼女は彼女なりに地に足の付いた努力を重ね、ときには知恵を絞り、一歩一歩進んでいきます。
真っ直ぐな心根の持ち主で、一見直情的かと思いきや、非常に現実的な視点や思考も持ち併せており、大変好感が持てます。

読み進めていくごとに、次はどう対処するのだろう、と楽しみにお話を追うようになっていきました。

またこの作品はキャラクターの描写がとても際立っていて見事です。
皇子泱容はその複雑な生い立ちのためか、登場時は非常にひねくれており、且つ気位も高く一筋縄ではいかない難物なのですが、それが行動や言… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ただただ圧倒されました。
最初は、ちょっと読んでみようと思っていただけでした。ですが、気づいたらこの物語を読み進めること以外考えられなくなっていて、仕事中も手がつきませんでした。
それくらい面白いです。

世界観の構築や、現実に実在するかのような緻密なキャラクター設定は、目を見張るものがありました。
各話のボリュームも申し分なく、お腹いっぱい読むことを楽しめます。

第二章にはいり、最初のあらすじとは少し異なった立場になってしまった主人公に少々不安を抱きましたが、これからの展開も楽しみにしています。