第5 苦悩

私は些か疑問である。

「非」に始まり「疑」を通じて「解」に終わるのはミステリの規範であり又、其れが通例であるものが殆どである。が、『解』に始まり『憶』を通じて『喜』に終わるミステリがあっても良いのではなかろうか?

否、そんな考えを持っているのは決して私だけではない。きっともうそんなもの沢山出回っているに決まっている。

ならどうすれば良い?数多のミステリが出回っている中で私だけのオンリィワンの物語とは、一体。

ぶつくさと戯言を云いながらカレンダアと時計を交互に見やる。

売れない小説家の彼は来たる締め切りの日までに原稿を提出できないと云う最悪の結果が脳裏を過り、焦りと鬼胎に頭を抱える。

さぁ、此の戦をどうやり過ごそうか

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構成員の日常 ろくろ @HARUKITI_03

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