幼馴染とは

幼馴染は大切にしましょう。

私は正直ネット小説やラノベというものはほぼ読んだ事がなく、食わず嫌いは良くないとサイトを見た際、あらすじが新鮮に思えて今作を読んでみました。ドロドロした重い展開になるかと思いましたが、終始主人公のモノローグで延々とボケ&ツッコミを入れ続ける(ラノベっぽいというイメージで良いのでしょうか)おかげで大きな事件が起きても軽い気持ちでサクサク読んでいられます。

この小説では前半部分で浮気されている間の主人公の怒りや悲しみをハッキリと丁寧に1話1話を使って描写しており、且つテンポ良く話が進んでいきます。おかげで読者としてはカタルシスを得やすいのであろうと思います。実際スカッとしました。

しかしただスカッとするだけでは終わらずその後の救済と赦しについても描かれているのが巧妙です。幼馴染ちゃんは『浮気をしていた』という事実のみに限って見れば100%悪いですが、タチの悪い男に捕まった事に関しては彼女は被害者なのです。しかしその男がタチ悪くなっているのは周りの大人達のせいでもあります。更には主人公はどうだったのか?という本人の自戒など、そこに現実的な勧善懲悪の不成立が存在することで、この物語にリアリティが増しているのです。

そして何より、この物語は幼馴染がいかに大切かを熱く語っているのです。幼馴染とは幼少から何年も共に時間を過ごしてきた存在なのです。それが男でも女でも、人には選べない生まれによって得られる貴重な存在であり、たとえ裏切られようがその過ごしてきた時間は変わらない事実なのです。どれだけ責めても恨んでも、共に過ごした人が苦しむ姿は己さえも傷付けます。失敗しない人間などいません。間違えない人間も同様です。裏切られれば過ごした時間を否定された気にもなるでしょう。しかしながら、前に進むにはただ赦すことが求められるのです。
他の幼馴染に復讐する!といった作品を読んでいないので断言できませんが、これは幼馴染をヒドイ目に合わせるような作品へのアンチテーゼに思えてなりません。

みなさんも幼馴染は大切にしましょう。

長文失礼致しました。