一夜のキリトリセン

作者 PURIN

40

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★★★ Excellent!!!

正体が分からないものへの恐怖を簡潔にまとめ上げたホラー。
悲惨な教育環境の中で、語り手が目にした「頬に浮かぶ線」。それをなぞると……。


線の正体を読者は銘々想像することが出来、想像の余白がある分恐ろしさもよく膨らむ。不条理なのか、因果律から発生するのか。
又、「なぞった人間」である語り手のドライ過ぎる語りも効果抜群で、ラストの緊張感がひりひりと伝わってくる。

少ない字数で多くを語る作品です。

★★★ Excellent!!!

怖いと言うより不思議。単にグロテスクだったり「ワッ」と驚かす悪趣味なホラーではなく余韻の在る奇妙な物語を目指している印象を受けました。
そして、それは間違いなく成功しています。読んだ翌日にはもう内容を忘れかけている凡百の雑文とは違っていつまでも頭に居座り続けそうな粘着力がこの奇談にはあるようです。その秘密はやはり終わり方にあるのでしょう。

人の顔に浮かぶ奇妙な切り取り線と、それをなぞることで起こる不可思議な現象。
考え方は様々ですが、切り取り線というものはいつか切られることを想定してつけられたものです。きっと誰かがそれを必要としているのでしょう。

ありきたりなホラーに飽きてしまった貴方へ、おススメです!

★★★ Excellent!!!

多くは語られず、また、未来の読者の目に入る恐れのあるここでも僕は多くを語れない。

ただひとつ、後続の読者さんに向けて書き残しておきたいのが、考えれば考えるほど面白くなる作品になっているということ。

この作者さんの作品って、どれも(まだ二作しか読んでない)全部を説明してくれないものが多いのですが、徹底して考察を排除しようという気配は見られません。

だからこそ僕らは読者として、考察して良いんだと思います。
あれこれと、作者さんの並べる文字ひとつひとつと向き合い、間違いを恐れずに“解釈”し、それで一人で勝手に答えを見付け出して、一人で勝手に恐怖する。
作者さんはそんな僕らを見ることが、何よりの楽しみなのでは?

ぶっちゃけ、物語の核心について何が正しくて何が間違いだとかないのだと思います。
何かを考え、何かを見付けて、何かに恐怖する。価値観なんて千差万別。この作品は、読んだ人それぞれに様々な形の“ホラー”を与えてくれるのではないでしょうか。

その為にはやはり、読みながら“考察”することを止めてはいけません。
世の中、楽しんだもん勝ちです。

皆さんも是非、この不気味で不可解な作品を楽しんでみては如何でしょうか?