第9話手のかからないティナ
翌日。
クエストの報酬が高額であったため、大半を自室の金庫にしまい、フーシェが盗みをはたらくのを未然に防いだ。
彼女のせがみを拒むと何をしでかすか分からないからな。
彼女では金庫を抉じ開けることすら敵わない頑丈なつくりの金庫だ。
11時過ぎ、居間に来てみればティナが食卓で朝食、いや、昼食の下準備をしていた。
フーシェの姿が見当たらない。
「ティナさん。あいつを見てないですか?」
「見てないです。9時前に起きて朝食を摂ろうと来たら、玄関扉が閉まる音が──」
チッと舌打ちをしてしまい、彼女がひぃっと悲鳴をあげたのを聞き、短く謝る。
「ごっごめん!ティナさんに対してじゃないから、決して」
「いっ......いえ、私こそ......」
そう言って、口ごもる彼女。
フーシェとは正反対な性格なので、何かと接しづらい。
「出掛けて来るから留守番、お願いしていいかな?」
「良いですよ。行ってらっしゃい」
控えめな声のティナ。
ほんとに彼女だけでいいのに......そんなことをつい思ってしまう俺だった。
屋敷を出て、草原へと向かう俺。
目を醒ますと... 闇野ゆかい @kouyann
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。目を醒ますと...の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます