地域の夏祭りをひかえた、ある日の娘と父の物語。和太鼓とヒグラシの声をバックに、悪気はないはずなのに苛立ち、すれ違う親子がていねいに描かれています。娘と父、異なる語り手が綴る一日のその先には……短編ですので、気軽に読み始める事が出来ます。気軽に読み終えるかまでは保証できませんが。
親子のすれ違いから生まれた悲しい悲劇。描写がとても丁寧かつリアルで、引き込まれる内容です。あの時ああしていたらこんなことには……登場人物に感情移入して、ついそんなふうに考えてしまう。夏の日の恐怖を見事に表した素晴らしい作品です!