エピローグ
それからほどなくして私たちは三年生に進級し、受験生にふさわしい勉強漬けの1年間を送った。もともと教室が離れていたのもあり、私の足は自然と遠のいていった。
そして迎えた卒業式。
私達はこれからそれぞれ全く別の場所で、それぞれの道を歩む。顔を合わせることも、もうないのかもしれない。それでも私たちはこれからずっと“高校の時の思い出”として、この経験を抱えて生きていく。
これがなんの役に立つのか分からないし、苦い思い出として記憶に残るのかもしれない。記憶を消したいと思ったことも、時を巻き戻したいと思ったこともあった。しかしこの経験があってこそ今の私があり、この記憶が今の私を形作っている。あの瞬間感じで不安や幸福感、劣等感は紛れもなく私達がここ“花綵西高校”で仲間たちと過ごした証なのだ。
初めて同性を好きになった夏に見た花火大会の花火、そして、初めて告白したのが玉砕したときに見た後夜祭の花火。
いくら年を重ねても、忘れはしないだろう。このひと夏の葛藤を。夜空に堂々と咲き誇る大輪を見る度に思い出すだろう、この甘酸っぱい思い出を。
リアルのすばらしさを教えて。 都稀乃 泪 @ask-rain_of_sadness-2
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