レビュータイトルは本作の『青い日々の夢を見る』中の一文なのですが、このお話が特に好きです。現在と過去の対比に目が眩みそうになるのは、現在のせいではなくて、青春というものが記憶のボリュームを取りがちな上に、あまりに眩しいからなんだろうなと思いました。淡々とした口調で軽やかに綴られる筆者の経験や考えにすっきりとした心地よさを感じます。
あまり明るい内容ではありませんが、奇妙にも爽やかな読後感と読みやすさを感じるのは、作者様の文章力の高さと、隠れつつも所々で顔を出す諧謔味によるものではないかなと思います。一人の人間の考え方・感じ方を克明に語る、その語り方がセンスがあって好きです。