アット・ステーション

神谷ボコ

アット・ステーション

ね、ね、イシカワさん、と昼休憩から戻った後輩のサノ君が声をかける。


「シゲヨシさんがまた部長に怒られてますよ。ほ~んと、”ダメヨシ”ですよね」


PCにログインしながらサノ君は笑って同意を求めてくる。それには答えずに、私は仕事の話を切り出す。


「スミダ工業向けの提案資料だけど、あれじゃ全然だめ。競合との違いがまったく伝わらないもの」


素直に驚きの表情を浮かべるサノ君。


「ええ? 昨夜めっちゃ頑張って作ったんですけど……どのへんがダメでした?」


これだ。私は呆れと怒りで頭の芯が熱くなった。


何が「めっちゃ頑張った」だ。目的とズレた努力なんてエネルギーの無駄づかいでしかない。私が転職してくる去年まで、いや、未だに、この会社の人たちはこんな低レベルな仕事をしている。


「だから言ってるでしょ、私たちの在庫管理システムを導入した際の先方のメリットが、あれじゃ全然伝わらないのよ」


サノ君に限らず、うちの新規営業メンバーは、基本的に顧客のメリットを考えない。ただサービスの説明を並べ立てるだけだ。そんな営業で法人が買ってくれるわけがない。


だからこんなことになった。既存営業チームの実質エースだった私が、先月から新規営業チームまで兼務することになったのだ。


その根本の原因は……


「あ~あ、これじゃぼくもダメヨシだなぁ」


自嘲気味に頭をかいて笑うサノ君。


そうだ。原因は、ダメヨシだ。


そのとき、オフィスの出口近くの会議室から、部長が思いきり乱暴にドアを開けて出てきた。


怒りで顔を真っ赤にさせた部長がエレベーターのほうへ消えていったあと、静まり返った会議室から、くたびれた雰囲気の男性が音もなく現れた。


シゲヨシタケル。40代前半の主任で、誰もが認める会社のお荷物。通称、ダメヨシ。


「また怒られたんですかぁ、主任」


サノ君にそうからかわれても、ダメヨシは苦笑いを浮かべて席に座るだけで何も言わない。この男が何かはっきりモノを言うところを、私はまだほとんど見たことがない。


パーティション越しに私と目が合うと、彼はいつものように申し訳なさそうな表情をして、それから避けるように視線を逸らした。一応チームを任される自分が至らないために私が2チームを兼務することになったと、罪悪感を抱いているのだろう。


だったら、何よりも成果を出すために全力を尽くすべきだ。なのにこの男は、ヘラヘラしているばかりで何も行動を起こさないでいる。


私はダメヨシを心底軽蔑していた。


◆◇◆◇◆◇


「イシカワさん、ちょっといいかな」


ダメヨシがそう声をかけてきたのは、窓の外の日も落ちかけた頃だった。最近日が落ちるのが早くなりましたねぇ、と言いながらサノ君がコーヒーを買いに消えたあと、わざわざ私の横にやってきてそう言った。


これからアポなんですが、少しだけなら。私は迷惑そうなそぶりを隠さずに答える。


「あ、申し訳ないね、15分でいい、いや、10分で終わるよ」


昼に彼自身が部長からひどく叱られていた会議室に私を案内して、ドアを閉めて向かいの席についたあと、ダメヨシはどこか照れたような表情で私を見た。


「忙しいのに、すまないね」


「いえ、それより何でしょうか?私、何かしましたか?」


自然と口調がきつくなった。


アポが迫っている。うちの会社レベルなら大口の見込客といえるスミダ工業役員との商談。


この案件を落としたら今月の売上目標達成は難しい。本来の当事者であるはずのサノ君に責任感はなく、いつのまにか私が担当のようになってしまった。


でもやってみせる。私ならできる。


私にだって、できる。


「いまは仕事しか見えてないから」と突然私を振った、ヨウジに見せつけてやるんだ。


意地に引っ張られた前のめりの思いが、勝手に頭の中をぐるぐると駆け巡る。


私はハッとした。


ダメヨシが、無言のまま私をじっと見ていたからだ。


「イシカワさん、その、ちょっと疲れていないかい?」


眉根を寄せて心配そうな表情を浮かべながら、ダメヨシは言った。


半年前に別れたはずの元カレに対する、未練がましい独りよがりの思考を覗かれたような恥ずかしさと戸惑いから、おかしくないですか、と私は反射的に机を叩いた。


「疲れてないかって、もちろん疲れてるに決まってるじゃないですか、誰のせいだと思ってるんです、あなたや、サノ君や、ちゃんと仕事しないこの部署の人たちみんなのせいですよね、違いますか」


ヒステリックに発せられた私の甲高い声に一番驚いたのは、私自身だった。


涙が、堰を切ったように流れていた。


テーブルを挟んで向かいに座るダメヨシは、どういうわけか、落ちついていた。ほんの一瞬わずかに目を丸くしただけで、あとはいつもどおり、いや、いつもよりも物静かな様子で、私を見ていた。


見守ってくれている。なぜだろう、そのときの私にはそう感じられた。気が動転していたのかもしれない。


小さく嗚咽をくり返しながら少しずつ冷静さを取り戻していく私を、彼は何も言わず待っていた。


「……はい、申し訳ございません、イシカワは体調を崩してしまい、ええ、回復しましたら、改めて連絡させていただきます」


今日のアポはリスケしたほうがいい。取り乱した私にダメヨシはそう言った。低くおっとりした彼の声に、わかりました、と応じると、私の代わりにお詫びの電話を入れてくれた。


私は彼の不思議な優しさに、甘えることにした。


◆◇◆◇◆◇


翌日の金曜日、私はダメヨシの勧めで会社を休んだ。土日も合わせて、三日間、どこへも行かず自宅で一人過ごした。


くり返し浮かんできたのはヨウジの顔だった。


アイリ、話がある――6ヶ月前のあの晩、久しぶりに私の家にやってきたヨウジは、コンビニ弁当を二人で食べたあと、彼らしくない硬い表情でそう切り出した。


別れてほしいんだ。彼の口から出た言葉は、一度私の耳を素通りした。反応を示さない私を不安そうに見て、ヨウジはもう一度、ゆっくりと告げた。


「アイリ、ぼくと別れてくれ、すまないけど、仕事に集中したいんだ」


ようやく意味を理解して立ち尽くす私に、ごめん、とだけ小さくつぶやき、立ち上がって出ていくヨウジ。


次の日から、チャットにも電話にも、彼からの反応はなかった。


理由は今でもよくわからない。私も、彼と同じように目の前の仕事に必死だった。忙しくて2週間会えないことも珍しくなかった。でもそれが、互いに信頼して仕事に打ち込める、理想の関係だと信じていた。


あれ以来、私は誰も信じないことに決めた。ヨウジを恨んでいるわけじゃない。他人に、勝手に期待するのはバカらしいことだと悟っただけ。そして一層、目の前の仕事に集中した。


でも私の心は、気づかないうちに限界に近づいていたみたいだ。



「イシカワさん、具合はもう大丈夫なんですか?」


次の朝、出社した私にサノ君が声をかけてくれた。ひどく心配そうな表情。そういえば、会社を休むなんて転職して初めてのことかもしれない。


うん、大丈夫、ありがとう。そう答えると、冬の風邪には用心っすよ、とだけ言ってまたコーヒーを買いにオフィスを出ていった。


向かいの席にダメヨシはいなかった。もう出社している時間なのに……そのとき、向こうの会議室のドアが乱暴に開けられて仏頂面の部長が出てきた。


少し遅れて、ダメヨシも。不思議なことに、その情けない姿を見ても先週までの嫌悪感はまったく覚えなかった。


席に戻った彼に、アポを取り直します、と私は言った。


「スミダ工業ですが、今週中、できれば明日か明後日でアポを入れ直します。その場で内諾が得られれば、今月の売上目標達成にも間に合います」


声に力を込めてそう告げた。そうだ、私はこんなところで負けたりしない。ヨウジの影に囚われ続けたりしない。


わかった、そうしたら今日、一緒に提案資料を見直そう。頷きながらダメヨシが言う。


私は驚いた。部下の営業に彼が口を出すのは知るかぎり初めてだったからだ。


「サノから最新の資料を見せてもらったけどね、あれじゃ甘い、もう少し詰めが必要だよ」


それからすぐ、私とダメヨシは会議室にこもって、スミダ工業向けの提案内容の見直しを進めた。アポが今晩になったからだ。


先方役員は今週予定がギッチリだったそうだが、今晩の会食相手がインフルエンザでキャンセルになったのだとか。その人の具合が早く良くなりますように、どうしてか私は自然と、そんなことを思ったりした。


この提案には、とダメヨシは切り出した。


「イシカワさんのストーリーはいいセンいってるよ、間違いない、ただ、ここには未来の展望が記されてないんだ」


「未来の展望、ですか?」


「うん、ビジョンだよ、ぼくらがスミダ工業の今後に長く貢献していける、していきたいという、ビジョンだ」


そう語る目の前の男性は、“ダメヨシ”なんかではなかった。堂々として、ロジカルで、それでいてロマンチストでもあった。いつも短期的な売上だけに執着して、それでも自分は優秀な営業だなどと思っていた私は恥ずかしくなった。


でも彼の提案ストーリーを聞いているうち、恥ずかしさは消えた。新しい学びに対する新鮮な喜びと、この人ともっと仕事がしたいという高揚。私は感動していたのだった。


打ち合わせが終わる頃には、絶対にいける、そう確信していた。いつの間にか、3時間近く経っていた。そこから資料のビジュアルを整え、二人でチェックして、準備が完了した。


スミダ工業へ向かおうと席を立つと、彼もカバンを持ってあとを追ってきた。商談は自分ひとりで行くものと思っていた私は目を丸くした。その私を見て、彼は優しい笑みを浮かべながら言った。


「何を驚いてるんだい? だってぼくらは、もう仲間だろ」


私は大きく頷いて、彼とともにエレベーターに向かった。


◆◇◆◇◆◇


「お疲れさま、イシカワさん、完璧だったよ」


スミダ工業のオフィスを背に歩きながら、彼はうーんと伸びをした。


「そんな、主任のおかげです。途中の質問にフォローを入れてくださって……ありがとうございます」


興奮と緊張の交差する商談を終えて、少しずつ、深い充実感が心を満たしていく。


商談相手の役員は、私たちの提案内容に満足し、その場でサービスの導入を決定してくれた。御社とのこれからが楽しみです、上背のある強面のその60代の役員は、丁寧にビルの入り口まで私たちを見送ったあと、そう言って穏やかに微笑んでいた。


いやぁ、久しぶりの大仕事だったなぁ、でもこれで、今月目標達成だね。すっかり日の沈んだ星のない夜空を見上げながら、シゲヨシさんが呟く。


私たちは駅に続く人通りの少ない歩道を、ゆっくりと並んで歩いた。


すっかり葉の落ちた木々が植えられた小さな公園を過ぎたところで、あの、と私は気になっていたことを彼に聞いた。


「どうしてシゲヨシさんは、その、いつもあんな感じなんですか?」


ん? という顔で私を見たあと、彼は彼らしくない大きな声で愉快そうに笑った。


「はは、そうだよね、ぼくはいつも部長に怒られてばっかりだし、仕事もぜんぜんしないしね」


「ご自分でもそう思いますか?」


「うん、だって知ってるしね、みんなからダメヨシって言われてることも」


そう笑う彼の表情には、自嘲的な色はまったくなく、晴れ晴れとして清々しかった。こんなに気持ちのいい笑顔をする人を、私は初めて見たような気さえした。


「私も呼んでましたよ、ダメヨシって」


「そうかい? そうだよね、イシカワさんから見たら、ぼくなんか完全にダメ社員だもんなぁ」


でも、と私は笑う彼をさえぎった。でも今は、違う。


「正直に言います、私、シゲヨシさんを見直しました。シゲヨシさんは私なんかよりずっと優秀な営業マンで、それに、とっても頼りになる、上司です」


上司、という最後の言葉に、彼は目を丸くして私のほうを向く。その顔には照れがあった。かわいらしい人だな、と私は思った。


「上司らしいことなんて、何にもしてあげれなかったけどね」


「シゲヨシさんのチームの成績が悪くて、私、既存チームと掛け持ちになりましたしね」


「うん……その節は、ほんとうに申し訳ないと思ってる」


急に立ち止まって、すまなかった、と彼は私に頭を下げた。気にしてないですよ、私は正直に答えた。


「今はぜんぜん気にしてません、むしろ、シゲヨシさんとこうして仕事ができてよかった」


スミダ工業は最寄り駅から遠い。10分近く歩いて、ようやくあと半分というところだ。


もう1つ聞いていいですか、幹線道路に出てホームセンターとドラッグストアの前を歩きながら、私は言った。


「なんで、ダメなフリをしてるんです? シゲヨシさんが本気になったら、部長にも、取締役にだってなれると思います」


ありがとう、スマホから顔を上げて彼が微笑む。


彼はそれきり何も言わず、不思議な沈黙が二人の間を流れた。


少しして、ぼくには妻がいたんだ、唐突に彼はそんなことを言った。


「信じられないかもしれないけどね、うちに転職してくる前、ぼくは外資系の金融マンをやってたんだ」


先週に言われたら100パーセント嘘だと思っただろう。でも今は、それも信じられる。


「アメリカに本社のある投資銀行でね、ウォール街ってやつさ、日本法人は六本木にあって、ぼくはそこでファンド組成のマネージャーをやってた」


外資系投資銀行のマネージャー。最低年棒が数千万という、エリート中のエリートだ。


「調子に乗っていた、としか言いようがないんだけどね、当時のぼくは本当にひどいヤツだった、妻とは学生時代からの付き合いだったんだけど、稼ぐようになってからほとんど家に帰らなくなったよ、朝から晩まで働いて、ホテルに泊まって、これも信じられないだろうけど、愛人までいたんだ」


向かいの道から小学生くらいの女の子を連れた母親が歩いてきた。立ち止まり二人に道を譲ってから、彼は話を続ける。


「子供もいたんだよ、もう、今すれ違った子くらいの年頃だね」


あの、ご家族とは、私がそう聞く前に、彼が答えた。


「別れたんだ、深夜に娘が体調を崩して、妻は泣きながら夜間病院に駆け込んだ、待合室で医者を待つ間、彼女は何度も電話を鳴らした、でもぼくは出なかった、気づきさえしなかった、その時間ぼくは、本名も知らない新しい愛人たちとホテルでどんちゃん騒ぎをしていたんだ」


道のずっと向こうに、大きな駅舎が見えてきた。シゲヨシさんは今、何を思っているんだろう。懺悔、後悔、自分に対する怒りと諦め……


何でもないと思ってたよ、と彼はまっすぐ駅舎のほうを見ながら言った。


「離婚なんて何でもないと思ってた、今までの生活と何も変わりはしないってね、でも違かった、家族がいたからなんだ、ぼくは妻と娘がいたから、仕事にも遊びにも全力で打ち込めていたんだ、

 こんな話、彼女たちには絶対に信じてもらえないけどね」


人の姿が増えてきた。駅からの帰宅者だろう。みんな、帰る家がある。待っている家族の元に帰っていく。


「それからぼくは、使い物にならなくなった、チームの業績は悪化して、会社はあっという間にクビになった、幸い多少の蓄えはあったからね、長いこと何もせず引きこもるように暮らして、見かねた知人の紹介で、うちに移ってきたんだ」


駅が近づく。この時間は、もうすぐ終わってしまう。


「何もしなかったよ、働き始めても、何もする気が起きなかったんだ、紹介してくれた知人の親は、うちの社長のかつての恩人でね、それでぼくがどんなにダメ社員でも、今のところは、大目に見てくれてる、他の社員も、まぁみんなやる気はないほうだしね、

 もちろん皆はこんな話知らないよ、部長もサノもね、イシカワさんも、黙っていてくれよ?」


その質問には答えずに、それがどうして? と私は逆に問い返した。


「どうして今日は、私を助けてくれたんですか、見ないフリだってできたじゃないですか」


うん、淡く微笑みを浮かべて、彼が答える。


「笑わないでくれよ、イシカワさんがさ、ぼくには輝いて見えたんだ、転職してきてからずっと、君は誰よりも努力していた、必死で目標達成に打ち込んでいた、

 最初はちょっとまぶしかったよ、そういうのはやめてくれよなんて思ってた、

 でもね、うちのチームに加わってくれてから、より身近で見るようになって、少しずつ、ぼくも前向きに君を眺められるようになった、負けてられないな、そんなふうに思うことさえあったんだよ」


知らなかった。そんなことを感じてくれていたなんて。


「でも、もう長いこと廃人みたいな生き方してたろ? なかなかすぐに切り替えるっていうのもできなくてさ、いい大人が気持ち悪いけど、もじもじしながら、ちょっとずつね、自分を中から変えていこうとしてたんだよ」


もじもじ、という表現が彼に合わずかわいくて、私は思わず笑ってしまった。


駅に着いた。ちょうど電車が出ていって、大勢のサラリーマンが改札からなだれ出てくる。


じゃあここで、実は家が近いんだ、ぼくは歩いて帰るよ。歩くスピードを落としながら、少しだけ名残惜しそうに、彼は言った。そして足を止め、真剣な顔で私を見つめた。


「イシカワさん、ありがとう。君のおかげで、ぼくも少しはまともな人間になれそうだよ」


ひとまわり年下の私に向かって、丁寧に頭を下げる。誠実な振る舞いが、胸に迫った。


それじゃあ明日、と私に背を向ける彼を、待ってください、と私は無意識に引き止めていた。


何だい? という顔をして、彼は私に向き直る。


まだ終わってません、私は言った。


「まだ、仕事は終わってませんよ、だって、目標達成の打ち上げ、してないじゃないですか」


眼差しに力を込めて、私は彼を見返す。


帰りたくない。もっと、この人と話がしたい。


恋なんかじゃない。同情でもない。


ただ、人として、私はこの人が、シゲヨシさんが、好きなんだ。


一瞬あぜんとしたあと、彼は穏やかに微笑んで、うっかりしてたね、と頭をかいた。


「そうだね、大仕事のあとは打ち上げだ、大活躍をしてくれた部下の労を、全力でねぎらわなくっちゃいけないよね」


そうですよ、と私は応じた。


「そうですよ、そんなだから、みんなからダメヨシって言われるんですよ」


はは、ともう一度頭をかいて照れながら、彼は笑った。


「ほんとだね、じゃあ打ち上げの席で、どうかご指導を頼むよ」


「任せてください、ビシビシいきますからね」


電車の発着音が響く駅に背を向けて、私たちは商店街のほうへと歩き出す。居酒屋はいくらでもあるだろう。居酒屋じゃなくたっていい、この人と過ごせるなら、どこだって構わない。


半年間ずっと私の意識に張りついていたヨウジの影はもうない。


いま私の意識と視界には、すぐ前を歩くシゲヨシさんの背中だけが映っている。



(end)

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