女装家おっさんメイドが悪役令嬢の影武者になる

みやび

女装家おっさんメイドが悪役令嬢の影武者になる

小さい頃から女の子の格好をするのが好きだった。


男だから女の子の格好をするのは変だと周りに言われていたが、それでも可愛い格好に憧れ、将来はメイドになりたいと夢を持っていた。


奇異の目を向けられても「これが自分だ」と胸を張って毅然きぜんと生きていた。


そんなある日、メイドの募集を見掛け、すぐに押し掛けた。


普通に行っては書類審査で落とされるだろう。

いつも変だ変だと言われているので、これ位の事をしても周りの見る目は変わらない。


やっぱりあの子は変な子なんだ、と思われるだけだ。


だけど、この行動こそが自分の運命を変える一番の切っ掛けになる。


そこのご主人は おおらかな人で「やる気のある人は歓迎するよ」と言って中へ招かれた。


ご主人がメイドの説明をする前に自分から男だとカミングアウトすると、とても驚かれてしまった。


私は人一倍美容に気を使い体型や仕草、どうすれば女性らしく見えるのかを研究・実践していたので、女性と間違われていた事に気付いた時は飛び上がる程嬉しかった。


だけど、ご主人は腕を組んで難しい顔になってしまう。


その時に遠慮がちに開かれた扉から天使の様な女の子が顔を覗かせていた。


ご主人に「新しいメイドさん?」と聞く声は何とも可愛らしい。


私は本当は男だと言うと「面白い人ね。私の専属メイドにならない?」と傲慢ごうまんの様に聞こえる言葉だが、自分が認められた事に嬉しく涙を流して了承した。


私はお嬢様に一生仕える事を約束した。


お嬢様も大人に近付き、一般女性よりも高い身長そして自信溢れるその立ち居振舞いふるまいに誰もが憧れるお嬢様になっていた。


だけど、その努力や自分に一番厳しくしている姿を私は知っている。


いつの日かお嬢様は学園に行くのが嫌になっている感じがしたので聞いてみると、涙ながらに教えてくれた。


お嬢様の涙を見たのはそれが始めてだった。


やっていない事、悪口、悪事、全てがお嬢様のせいになり、友人だった人に裏切られ、今は学園で独りぼっちになってしまったと。


こんな事になったのは自分のせいだとお嬢様は自分を責めた。


ついにお嬢様は体調を崩してしまい倒れてしまった。

それでも尚 学園へ行こうとするので、私は一つの提案をする。


私が影武者となりお嬢様の代わりに学園へ行く。


最初は断られたが、何とか説得をして納得して貰えた。


そして、私は学園へ行き お嬢様を悪役令嬢に仕立てた人物を突き止め、お嬢様は潔白なのだと知らしめようと心に誓い学園へと向かう。

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