一風変わった子どもの時の遊びをメインに、ヒロインを襲う恐怖。
このお話では、まず幼い頃の「あぶくたった」の思い出話ではじまります。
それから現在の高校時代になり、オカルトブログでたまたま「あぶくたった」のことを見る。
最後は実際に……と、ストーリーの流れがスムーズで、すんなりヒロインに移入できちゃいます。
だからこそ、ヒロインの恐怖体験がより素直に感じられてしまいます、、、。
怖かったぁ、と思いながら、ラストにそんなオチが隠されていたなんて!と、驚きもあります。
ぜひ皆様も、ご堪能してみてはいかがでしょうか。
※この度は「お化け企画⑥」にご参加くださり、ありがとうございます。
あぶくたった煮え立った、の童謡って、なんか怖いですよね。何かを煮て、むしゃむしゃ食べて、戸棚にしまって、鍵かけて。すると、なにかがトントントンと戸を叩いてやってくるんです。その何かへ、間違いのない返答をすれば帰ってくれるのですが、もし間違った返答をしてしまうと……。
主人公は、クラスメートから見せられた恐怖ブログで、このあぶくたったのエピソードを知ります。そして、気づかずにやってはいけないことをしてしまって……。
これ以上は解説できませんが、怖い話です。でも、どこかユーモラスで、救いがあり、ほっとさせられる物語でもあります。そして、……それが却って怖いのです。
こんなこと、もしかしたら、ぼくたちの日常に、普通のあることのようで……。
小さい頃によくやったんですよ、あぶくたった。
にーえたかどーうだか、たーべてみよーう、って。
むしゃむしゃむしゃ、まーだにーえなーいっ、って。
楽しい遊びなんですけどね。
大きくなって、そんな遊びももちろんしなくなってから、今度はオカルトブログなんてネットの世界で、その遊びが話題になってるわけです。
トントントン、って音がするんですよ。何かがノックしてる。『ナニカ』が。
風の音とか、車の音、とか、色々返すんですけどね、だんだんネタが尽きてきちゃう。でも、返さないと、そのトントンってノックした『ナニカ』が入ってきちゃう。
〇〇の音なんてそうそうたくさん思いつきませんし、それに、もし、入ってきちゃったら? 何をされる? どうしたら良い?
本当にありそうな怖い話です。
ラストはぞくりとしますよ。
童謡を題材にしたホラーで、童謡の持つ不気味さと現代のSNSの便利性と話題性をうまく混ぜ合わせた素晴らしいお話でした。
ホラー演出としての擬音の扱い方がとても巧みで、『トントントン』というよく聞く音が作中では童謡と組み合わされたことにより恐怖心を一層煽るものになっています。テンポが良く、読みながらもまさに聞いているような素晴らしいホラーでした。演出だけではなく展開も素敵で、後半にはそういうことかと感心しました。まさにSNSが流行ったからこそおこる現代のホラー展開ですね。
昔ながらの童謡とSNSの組み合わせ。閲覧数を気にしすぎるのも問題なのだろうなあ、と別の意味でもひやりとする部分があるホラーでした。とても楽しかったです。
SNSをやっている方は是非に目を通しておいたほうが良いお話でしょう。それが来る前に。