第二十一話 その2
有馬「ふん、ふふん」
佐藤「…」
有馬「…ほい、データコピー完了っと。お疲れさん」
佐藤「把握」
有馬「しかしもう少しコミュニケーションとってくれてもいいんだがな」
佐藤「命令?」
有馬「別に命令ではないさ、好きにしてくれ」
佐藤「了解」
黒鹿毛「ただい…ま」
有馬「あ…」
佐藤「…」←下着姿
佐藤「修羅場」
第二十一話 二 ハッピー
岸華「ふー、結構泳いだわね」
男「そうだね、やっぱり海に来たらこうでないとね」
七原「ですよねっ」
香椎「み、皆さん早いですね…」ぷかぷか
男「僕は元々趣味だったしね」
七原「私もですよ、泳ぐのは一人でも出来ますからね」
岸華「私も二人と比べると追い付けそうに無いかな」
男「ふふふ、伊達に鍛えてないよ」
香椎「はあ~」ぷかぷか
男「ところで吉祥さんと新田さんは?」
岸華「見てないですね」
七原「あれ、さっきまで浜辺に居たんですけど」
新田「ずるる、もぐもぐもぐ」
吉祥「がつがつがつがつ」
新田「ぐびぐび」
吉祥「ぷはあーっ!いやあ海に来たらこうでないとね!」
新田「そうですね、まず食事ですよ食事」
吉祥「いやーしかし部長が来てくださって良かったですよ、本当」
新田「何故ですか?」
吉祥「いやほら、他の三人って先生にべったりなので…私一人じゃあ浮いちゃうと言いますか、それで気を使われるのも嫌なので」
新田「成る程ですね、確かにそうかもしれませんね」
吉祥「まあこれで来てるのが有馬センセでしたら…どうなってたことやら」
新田「その件については解決しました」
吉祥「あら、そうでしたか」
新田「ええ、自分の中で結論が出ました」
吉祥「意外です」
新田「ふふ、吉祥さんこそ何か浮いた話の一つや二つ、無いのですか」
吉祥「無いですね」
新田「バッサリですか」
吉祥「言っておきますけど部長含め他の人がモテすぎなんですよ、全く…」
新田「ナンパでもされれば良いではないですか」
吉祥「いやーそれはちょっと…私、純情なので」
新田「自分で言います?それ」
吉祥「地元では自己申告制だったもので」
新田「それはどういう…」
香椎「す、少し、休みます」
男「了解、貴重品袋は部長が持ってるだろうから…いや、一緒に行こうか?」
香椎「わ、い、良いですか?少し、怖いので」
男「そうだよね、うん。丁度僕も小腹すいたし何か食べようかな」
七原「部長どこ行ったんでしょうか」
岸華「手分けして探します?」
男「いや、まとまっていこう。こういう場には変なやつもいるからな…」
岸華「そうですね、そうしましょう」
七原「といっても多分海の家にいると思いますけど」
男「成る程、行ってみようか」
香椎「は、はい」
新田「そこで電柱から蠅叩きが…あら」
吉祥「お、もう昼かー?」
男「小腹がすきましてね」
吉祥「じゃあついでにかき氷の一気食いをしてもらおうかな」
岸華「うっ…忘れてた」
香椎「は~色々あるんですねえ」
七原「何か食べたいものある?」
香椎「あ、そ、そのじ、実はお弁当を…皆さんの分作ってまして…その」
男「本当?嬉しいなあ、ありがとうね」
吉祥「これは高ポイントですよ、岸華さん」
岸華「…何がよ」
吉祥「言わないとわかんないかな?」
岸華「その口接着してあげても良いけど」
吉祥「…お前ならやりかねんな」
…一方その頃
有馬「死を覚悟したぜ」
黒鹿毛「す、すみません早とちりをしまして…」
有馬「良いってことよ、ああ今日は少しゆっくりできるからな」
黒鹿毛「でしたら腕によりをかけてご飯を作りますから何か希望があれば…」
有馬「そうだな~、久々に豚カツとか…揚げ物が食べたいな」
黒鹿毛「わかりました!じゃあ一緒に買い物に行きましょう」
有馬「わかってるよ、車出すから準備してくる」
黒鹿毛「お願いしますね」
佐藤「充電中…充電中…充電中…」
…
岸華「美味しい…」
香椎「おにぎりもサンドイッチも具材で無限の可能性がありますから良いですよね」
新田「いくらでも食べられますね」
吉祥「なんだこれ、美味しいけど何食べてるかわからねえ…これが普段の差か」
七原「空豆もいい具合に海水を吸ってますよ」
男「あ、これ結構好きなんですよね」
七原「お一つどうぞ、お好みで塩をかけてもいいかもしれませんね」
男「ありがとう、うん美味しい。懐かしい味だなあ」
七原「懐かしい、ですか」
男「僕が小学生位の時かな?家族で海に行った…ことがあってね」
七原「成る程」
香椎「もぐもぐ…」
新田「さて、私はかき氷を買ってきます」
七原「罰ゲームの分でしたら私がいきますよ」
新田「いえ、私も食べたいので」
七原「でしたら尚更。私も食べたいんですよね」
新田「では二人で。他に何かいりますか?」
男「飲み物はあるし…大丈夫だよ」
岸華「あの…サイズは…」
新田「勿論大ですので」
岸華「わ、わかりました…」
男「ふふふ、ちょっとお手洗いに行ってくるから荷物見ててもらっていいかな?」
香椎「は、はい。ごゆっくり」
香椎「た、大変ですね」
岸華「全くよ、誰かさんのせいで…」
吉祥「怨むなら負けた自分を怨むんだな」
岸華「…藁人形でも買おうかしら」
吉祥「やめてくれ…お?」
「ねー君達、どこから来た?」「丁度三人だし良かったら遊ばない?」「かわいいねー」
吉祥「ご指名だぞ、お前」
岸華「今のどこに私の名前があったのかしら」
香椎「ひいっ」
「名前なんて言うの、名前」
岸華「すみませんが連れがいますので」
「女の子だけで来てるんでしょ?」
岸華「そういうわけでは…」
「てゆうか身長高くない?」「かわいいねー」
香椎「この人達嫌です…」
吉祥「まあせん…赤田さんが戻ってくるまで適当にあしらおう」
「いいじゃん、ほら」
香椎「きゃっ」
岸華「触らないでくれます?」
「いやいやちょっと当たっただけじゃん」「かわいいねー」
岸華「はあ…」
岸華(せめて七原さんが居てくれたら男がいるってことに出来たのに…面倒ね)
吉祥(それは無理があるだろ)
岸華(身長はこいつらより高いわよ)
吉祥(私でも充分高いだろうがね…まあ威圧感があるのは七原か)
吉祥「ま、連れが戻ってくる前にどっか行くことをオススメするよ」
「少しだけだからさ」「向こうでちょっと泳ぐだけだから」「ビーチボールもあるよ」
吉祥「はあ…」
香椎「あ…」
新田「岸華さーん、買ってきましたよ」
七原「冷たあ…ん?」
「…え、連れってこの子達?」
吉祥「まああと一人いますけどね」
新田「なんですか?どうかしましたか?」←208センチ
七原「ナンパですか?」←188センチ
「あ~…でも可愛くね?」コソッ「身長は高いけどな」コソッ
「いやいや全然問題ない!飲み物もあるしさ、皆でおいでよ」「そうそう」
吉祥「…ま、そこまで言うならあと一人来るんでね、そいつに聞いてくれ」
岸華「何言ってるのよ」
七原「うわーやっぱりナンパとかあるんですねー」
新田「私されたことありませんよ」
七原「私もですよー」
吉祥(本能が避けるんだろなあ…)
男「ごめんごめんちょっと混んでてさー…ん?」
「あ…」「お、おい…」
男「何?どしたの?」←186センチ
男「え、何でどっか行くの?」←浅黒
男「あ、ナンパだったのね…」←マッチョ
七原「何気に友紀さんも化物みたいな体してますね」
男「旧鬼さんに大学時代滅茶苦茶に鍛えられたからね…古傷もあるし」
新田「よく維持できますね」
男「体動かすのが好きだからかな…いやでもそれを言ったら部長の方が圧倒的に」
新田「私は体質的に筋肉が付きやすいのもありますね」
七原「羨ましいです…」
吉祥「一歩間違えたらホ…」
男「それ以上いけない」
新田「じゃ、してもらいましょうかね」
吉祥「ダッシュで食べるんだ!」
岸華「これなんか大きく無いですか?」
新田「ダブル大ってのがあったのよ」
岸華「何故それを選んだのですか…!」
七原「はい創ちゃん」
香椎「え、あ、ありがと…」
七原「ブルーハワイだよ、ブルーハワイ」
岸華「ぐ、行きます!はむっ」
男「頑張れ頑張れ」
岸華「しゃぐ、さり、ざし」
吉祥「美味しいけど三口で飽きるな…ほい赤田さん」
男「いいの?ありがとう」
新田「本当ですね、飽きると同時に食べ終えてしまいました」
吉祥「え…」
岸華「んぐ、しゃむ、ごくん」
吉祥「しかし赤田さんは呼びづらいぜ」
男「よくよく考えたら流石に先生は危ないからね…」
吉祥「後ろめたいことがある、と」
男「この状況がね…」
七原「あ、舌青くなってる」
香椎「わ、海ちゃんも!なんで?」
七原「え…なんで…」
男「なんで…?」
岸華「ッア!い、わ、ぎゃ、うううううああああ」
吉祥「お、きたきたこれが見たかったんだよね」
七原「鬼ですね」
男「しかし本当痛くなるよね」
新田「そうですか?」
吉祥「部長はちょっとおかしいんじゃないすかね」
香椎「あ、痛い、痛い」
七原「あはは、大丈夫?」
岸華「はあはあ、た、食べ終えました…」
吉祥「ご苦労!いやあ頑張ったね」
新田「私が言ったとはいえダブル大はやりすぎだったかもしれませんね」
吉祥「いえいえそんなことはありませんよ、ははは」
岸華「いつか殺す、絶対殺す」
吉祥「いや二、三回殺されてるし今更」
岸華「次は神経毒打ち込んで無重力状態にして酸欠にしてじわじわと殺す…」
吉祥「具体的で怖い」
…一方その頃
佐藤「充電完了」
有馬「終わったか…服、着せるぞ」
佐藤「承知」
有馬「よっと…しかし良い匂いだよな」
黒鹿毛「女子高生ですからね、私達とは違いますよ」
有馬「洗剤が違うってことか?」
黒鹿毛「…若さ?」
有馬「それ自分にも刺さるからな、おい」
黒鹿毛「私はほら、種族的なものですし」
有馬「それはそうだけどなあ」
佐藤「空腹」
有馬「おっと、じゃあ少し早いが飯にするか」
黒鹿毛「そう言うと思ってもう作り始めてますよ」
佐藤「歓喜」
黒鹿毛「ふふ、手伝って貰おうかしら」
佐藤「承諾」
有馬「偉いな、俺もたまには手伝うよ」
黒鹿毛「そうですか?じゃあ付け合わせをお願いします」
有馬「おう」
佐藤「…幸福」
…
吉祥「着替えたぜ」
男「おー…」
男(く、三角ビキニですか。サラシも大概だったけどまた単純に露出が激しいものを。しかしこうしてみると単純な筋肉量なら吉祥さんが一番ありそうな身体だな。胸は…七原さんよりはあるがいい感じに控えめだな、うん)
吉祥「他の人は筋肉が目立つのが嫌ってので高密度にしてるだけだから実際は見た目より力があるってのが私達の常識だよ」
男「筋肥大させないとかどんな鍛え方してるのさ…」
吉祥「まあ…結構凄いよ、そこは」
男「はあ~」
吉祥「私も高密度にして尚この状態だからね、固いよ」
男「触っていい?」
吉祥「オフコース!」
男「では失礼して」
その時男の脳裏に浮かんだのはまるで巨大な岩に厚いゴムを被せ、それをコンクリートで幾重にも重ねたモノだった
岸華「何してるんですか?」
吉祥「いや急に動かなくなっちゃって」
男「はあっ、はあっ、凄すぎる…」
岸華「せ、友紀君!何興奮して…な、泣いてる…」
吉祥「ええ…」
七原「ふー、結構浜から離れちゃいましたね」
新田「そうですね、大丈夫ですか?」
香椎「は、はい、海ちゃんが引っ張ってくれてますから…」ぷかぷか
七原「ところであの荷物は何だったんですか?」
新田「この後のお楽しみですよ」
七原「成る程」
香椎「花火かなー、うーん」
新田「それもありますよ」
七原(それも…?)
香椎「何でしょうね~」
七原「…」
香椎「ど、どうかしたの?」
七原「あ、ううん。何でも」
七原(うーんデカいなあ…浮いちゃってるよ、いいなあ…)
新田「それもありますよ」
七原「!?」
男「棒倒しでもしようか」
吉祥「赤田さんを埋めて遊びたいな」
男「やめてね」
吉祥「えー」
岸華「えーじゃないわよ、ほら折角膨らませたんならこれで泳ぎましょうよ」
吉祥「あーいや、荷物見てないと駄目っしょ?そうだ二人で行ってきなよ」
男「そしたらさっきみたいなのが来たら…」
吉祥「来たところでですよ、ほら行った行った」
男「ううん…じゃあ、行こうか?」
岸華「全く…何かあったら直ぐに合図出しなさいよ」
吉祥「はいはい」
吉祥「岸華も大変だなあ…」
新田「む」
七原「あ」
香椎「な、何です?」
新田「クラゲに刺されましたね」
七原「先生と岸華先輩が…って部長今なんて言いました?」
新田「どうということはありませんよ、この地域のクラゲは毒性も高くありませんから」
七原「ええ…」
新田「それに毒には慣れてますし」
香椎「そ、それってどういう…」
新田「私の四つ上に有毒物質に詳しい方がいまして色々と」
七原(やっぱこの人おかしい…)
新田「それで先生は良いのですか?」
七原「はっ…しかしよく考えたらどうもできないですね」
香椎「とりあえず行きましょう」
七原「わ、わ、待って待って…」
新田「青春ですね、ふふ」
男「わっ」
七原「どーんっ!」
岸華「な、七原さん…」ぷかぷか
香椎「私も居ますよー」ぷかぷか
二人きりなんてさせませんからっ!な、何を…きゃっきゃっ
吉祥「おや、部長上がられたのですか」
新田「ええ、彼女たちは青春してますから」
吉祥「ははは、成る程。同じですね」
新田「大分人も少なくなりましたね」
吉祥「そうですね、そろそろ計画の時間ですか?」
新田「…おや、ばれてましたか」
吉祥「七割ほどは、でしょうか」
新田「流石です、人の機微に敏いのは羨ましいですね」
吉祥「部長程ではありませんがね」
新田「ふふ、ざっとお話ししますとこんな感じです」
…
吉祥「マジっすか…」
新田「大真面目ですよ、これでも」
吉祥「いや非常に素晴らしいとは思いますが強引過ぎませんかね」
新田「これくらいしないと持ち込めませんよ」
吉祥「その通りですな」
新田「さて、では暫し動いてきますのでお楽しみに」
吉祥「成功を祈っ…いえ、全てが上手くいくことを祈ってますね」
新田「はい」
吉祥「やるなあ…」
…
岸華「はぁ…全く」
男「楽しいなあ」
七原「学生時代こういうの無かったんですか?」
男「大学の頃は常にトレーニングと勉強に追われてたし…高校の頃は…どうだったかな」
香椎「ともあれ今が楽しければ良いのですよ」
男「そうそう、良いこというなあ香椎さんは」
香椎「えへ」ぎゅっ
男「ふんもっふ」
男(おおおお胸がお胸がヤバいって)
七原「む、先生顔がだらしないですよっ」ぎゅっ
男「ふるふらっと」
七原(今何か失礼な事を言われたような…)
岸華「!先生、マット乗ってみませんか?」
男「ああ良いね、ずっと泳いでいたからさ…離してね」
七原「あう」
香椎「むー」
岸華「じゃあどうぞ」
男「よっと」
男「」ブクブクブクブク
岸華「…え」
香椎「しっ、沈んだ…」
七原「重さに耐えきれなかったみたいですね…」
男「ぷはっ」
香椎「浮かんだ」
男「」ブクブク
香椎「沈んだ」
七原「ええ…」
…一方その頃
佐藤「」もぐもぐ
有馬「久々に海卯の飯食べるけどやっぱり美味しいな」
黒鹿毛「毎日でも食べて下さっていいんですよ」
有馬「そうしたいのは山々だがね」
黒鹿毛「…もう」
佐藤「二杯目」
黒鹿毛「はいはい…はいどうぞ」
佐藤「感謝」もぐもぐ
黒鹿毛「それにしても有馬さんがこの娘を造ると聞いたときは驚きましたよ」
有馬「俺が部活を見れないからな、受付嬢より生徒に近い媒体が欲しかったのさ」
黒鹿毛「それは聞きましたが…子供がいるってこんな生活なのかなって」
有馬「ああ、きっとな」
黒鹿毛「有馬さん…」ぎゅっ
有馬「海卯…」ぎゅっ
佐藤「…」もぐもぐ
…
「おいおい夕方になっちまったぜ」
「いやお前の運転が酷いんだよ」
「お、あれ塔か?」
「だな、おーい」
新田「お待ちしてました」
「まあ後輩の頼みだ、それに楽しいことには混ざりたい質なんでね」
「しかし有馬先生が顧問から外れたって本当かぁ?信じがたいが…」
新田「後任の方も良くして下さってますよ」
「それが赤田さんってんだから驚きなのさ」
「なあ」
新田「ふふふ、さて時間もいい具合ですし早速始めましょうか」
「ああ」
「しっかし塔、やっぱりそういう格好なのな」
新田「趣味ですよ、趣味」
…
男「さ、そろそろ帰ろうか」
岸華「そうですね、もうこんな時間ですし」
香椎「ヒリヒリする…」
七原「あ、日焼けしちゃったのか…軟膏ならあるけど使う?」
香椎「い、いい?ちょっと痛い…」
吉祥「じゃあ着替えますかね」
男「そうだね、着替えたら車に集合で」
七原「了解です」
岸華「最後に見なくて大丈夫ですか?」
男「逆に何が大丈夫じゃないのさ…」
男「ふん、ふふんふん、ふん」カタン
男「…ん、っしょっと」
男「荷物良し、忘れ物なし、良しっ」
男「ん?もう車の所に誰かいるのな、今開けるよー」
「いや、その必要は無いぜ」
「覚えてるかい?赤田さん」
男「…」
「え、まじか…」
「大学も同じだったのに…」
男「ああっ譎真さんと枳さんか、久しぶりだね!」
譎真「いやあまさか母校で先輩が教師をしてるなんてね」
枳「それも第二野球部の顧問とは!」
男「私も驚いてるよ、二人はまだ大学生か」
譎真「ああ、ついこの間専攻も決めてな」
枳「どうだい、生徒たちは」
男「若さをぶつけられてるよ、ふふ」
譎真「先輩は振り回されてばっかりだったからな」
枳「よく教師になれたな」
男「まあね…しかし大学で一学年しか被ってないのに良く覚えてるもんだ」
譎真「それは色々世話してもらったからさ」
枳「ゼミからテストから何から何まで」
譎真「同じ高校の後輩だからってあそこまでしてくれる人はそういませんでしたぜ」
枳「だな、まあ他の人とは専攻が違うからってのもあるけどな」
男「他の人って言うとええと…」
譎真「岸華さん、能勢さん、久多良木さん、因子さん、間明さん…だけかな?」
枳「第二野球部の人はね」
譎真「そうだったそうだった」
男「え、能勢さんって第二野球部の人だったの?」
譎真「ああそうか、すまんすまん」
枳「お、新田が来たぞ」
新田「おや、もう話はされましたか」
譎真「いや、まだ」
新田「では私が。実はですね、ここ御倉島は譎真さんの生家がございまして」
男「うん」
新田「今日そちらに泊まらさせて頂くことになりまして」
男「うん?」
新田「既に話をしましたらば部員は皆納得しましたので後は先生次第なのですが」
男「つまり私が帰るって言ったら皆帰ることになるのね」
新田「そうなりますね」
男「それは…申し訳ないし、それにここに泊まれる機会なんて滅多にない機会だからありがたくお邪魔させてもらおうかな」
譎真「そうこなくちゃ!」
枳「赤田さん話わかる~」
新田「宿泊先までは徒歩での移動になりますので最低限の荷物を持ってお待ちください」
男「了解…何だか悪いね」
譎真「いや、話は聞いてたからね。うちに来るかもって」
枳「で、赤田さんなら断らないだろうってね」
男「そうかな…」
譎真「じゃやきゃ大学でも私達なんて気にも止めなかっただろうからね」
男「それは他の人が誰も教えられる感じじゃ無かったし…」
枳「だとしても、ね」
新田「おや、皆来たようですね。それでは移動しましょうか」
…一方
有馬「…」カタカタ
黒鹿毛「お疲れ様です、コーヒー飲みます?」
有馬「ありがとう。すまんね、急に仕事が入ってな」
黒鹿毛「仕方ないですよ、忙しいのはお互い様ですから」
有馬「そうだな、経営も上手く回ってるし今のところは情勢も大きな動きがないからな。こういう時に前もって準備をしておかないと何かあってからでは遅い」
黒鹿毛「そうですね、ただ…その、お体には気を付けてくださいね?倒れてしまっては本末転倒ですから」
有馬「当然だ、海卯こそ労れよ。昔から無茶がすぎるからな」
黒鹿毛「ふふっ、わかりました…さて、ではお先に寝ますが大丈夫ですか?」
有馬「ああ、俺も一区切りついたら寝るとする」
黒鹿毛「では、失礼しますね」
佐藤「睡魔」
黒鹿毛「そうね、もうこんな時間ですし寝ましょうか」
佐藤「理解」
黒鹿毛「それにしてもたまにの休日なのに…言っても仕方ないけど」
佐藤「何故」
黒鹿毛「それは…ふふ」
佐藤「?」
黒鹿毛「愛してるからですよ」
佐藤「愛…?」
黒鹿毛「きっと分かるわよ、そのうちね」
…
七原「結構な山道ですね」
譎真「まあー神社だからなっ、もう少しで着くがね」
香椎「はふ…はひ…」
岸華「大丈夫?」
香椎「あ、足がつりそうで…すっ」
岸華「一日泳いだ後だからね…」
新田「そうね、もしきつかったら先生におんぶでもしてもらうといいですね」
香椎「おっ…」
新田「冗談ですよ」
岸華「その手が…」
男「荷物持ってるからちょっと厳しいかな~」
吉祥「しかし譎真神術の総本山に行けるとは…ツテ、恐るべし」
新田「本当なら一度学校に来ていただくつもりだったのですが…」
譎真「行きたかったのは山々だったんだがな」
新田「大学生活とこっちの事がお忙しいようですね」
譎真「跡取りだからな」
枳「にしても何か高校生って若いなあ」
新田「そうですか、それはそれは」
枳「塔は別な」
新田「え…」
男「ねえ新田さんの荷物何が入ってるんですか?滅茶苦茶重たいんですけど」
新田「色々と…」
枳「着いたー」
男「おほっ肩が痛い…」
新田「だから重いと言いましたのに」
男「言ってないよね?一番始めに持たせたよね?いや別に良いけどさ…」
譎真「こんばんは~」
「開いてますよ」
譎真「たはっ、無用心だな」
「開けとけと仰ったのは宮司ではありませんか」
譎真「だっけ?」
枳「言ってたぞ」
新田「もう宮司になられたんですね」
譎真「ん、高校卒業と同時にね。他に適任者いないしいつまでも空席にしてるわけにはいかないからなー」
枳「大学では不満たらたらだけどね」
男「そういえばたまに昼で帰ってたりしてたね」
譎真「今でもな。お陰で出席日数がギリギリさー」
「では案内致しますのでこちらへ」
男「はい…よっと」
七原「持ちましょうか?」
男「大丈夫だよー」
譎真「ここが客間で離れの方に手洗いと湯浴処があるから」
香椎「わ、わかりました」
枳「少ししたら晩飯だからそれまで疲れを癒しておけよ」
岸華「ありがとうございます」
吉祥「ありがてえ…」
男「七原さん弟君は大丈夫なのかい」
七原「は、はい。私も驚いたのですが…」
受付嬢『おいしーね!』
純一「うん!」
七原「ということらしく…」
男「ええ…誰がそんな指示を出して許可が降りたんですか」
新田「生徒会長ですから」
男「生徒会長って凄い」
岸華(先生と一泊…)
香椎(間違いなくモノにする必要があ、あります!)
七原(その為にも…)
(((まずは主導権を握る!)))
吉祥「おーおー恐ろしい顔になってますねえ」
新田「別にそれはどうでも良いのですが…今回は皆さんのレベルアップが目的ですからね」
吉祥「あのお二方は強いんですか?」
新田「何とも言えませんね…譎真さんはまず使い手の少なくなった神術を、枳さんは普遍的な『魔術』を使いますが『能力持ち』ですから」
吉祥「ですか…ふむ」
新田「過去の部誌等見てませんか?」
吉祥「戦績等目を通したくらいです。部長、一度も戦ってないですよね」
新田「ええ、公式戦では」
吉祥「非公式では?」
新田「当時一年の私と同等の力はありましたよ」
吉祥「今はそれ以上と考えた方が良さげですね」
新田「ともあれちゃんと戦えば一方的に負けることは…無いですよ」
吉祥「ふむ…」
吉祥「で、いつまでこれ引っ張るんです?」
新田「ま、まあ明日には帰りますからそれまで…」
カミングスーン
まさか海の後にお泊まりまで出来るなんて…部長、ありがとうございます。ともあれここでは三つ巴の戦いになりそうです、先生は渡しませんから。次回、「シンイキ」…先生の過去についても聞けるかも知れないですね(七原)
紅田島の物語 深手藤峯 @fkdtst
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