メリーさんの断末魔

黒銘菓(クロメイカ/kuromeika)

第1話


夜10時。

ベッドに入ろうとしていた時に、それは起こった。

ピルルルルルルルピルルルルルルル

スマホが鳴る。

電話の主は不明。

何となく取ってしまった。

『ワタシ、メリーさん。今、学校に居るの。』

ピッ・プーップーップーッ

それだけ言って電話が切れた。

学校はここから10分の所にある。

何だろう?悪戯?

そんな風に軽く思いながらベッドに入っていった。



ピルルルルルルルピルルルルルルル

目を瞑った所で又スマホが鳴る。

電話の主はまたしても不明。

またしても取ってしまった。

『ワタシ、メリーさん。今、公園に居るの。』

ピッ・プーップーップーッ

それだけ言って電話が切れた。

公園。

この辺にある公園と言えば緑公園。ウチから5分の場所か。

ピルルルルルルルピルルルルルルル

ベッドの中でスマホが鳴る。

電話の主は不明。

取る。

『ワタシ、メリーさん。今、交差点に居るの。』

ピッ・プーップーップーッ

それだけ言って電話が切れた。

アレ?ウチの目の前?



ピルルルルルルルピルルルルルルル

夢の中でスマホが鳴る。

違う、起こされた。

電話の主は不明。

取る。

『ワタシ、メリーさん。今、家の前に居るの。』

ピッ・プーップーップーッ

それだけ言って電話が切れた。

ピルルルルルルルピルルルルルルル

『ワタシ、メリーさん。今、あなたの部屋の前に居るの。』

ピッ・プーップーップーッ


ピルルルルルルルピルルルルルルル

『ワタシ、メリーさん。今




アナタノウシロニイルノ。」

俺の後ろに何かがへばり付く。

次の瞬間、エルボーがメリーさんの鳩尾を抉り取った。

『あ゛グオ゛ボア˝オ゛オ゛オ゛!』

俺の背中から内臓を吐き出す様な断末魔が響き渡った。


「チッ!」

「ガォ………エォッ!オエェェェェェェェ!」

「テメェ、何してんだ?こんな夜更けに何回も電話して、人ん家に上がり込んで抱き着きやがってよぉ!舐めてんのか?ア!?

人が折角寝てんのに邪魔しやがってよぉ!」

怒りに任せてメリーさんの頭をガシリと掴む。

「アノ……(ガフッ)…………コワガッテ…………」

「五月蝿ェ3秒以内に出ないとぶっ潰す。」

「エ?アノ………」

「さんびょー………死ねや!」

世界チャンピオンを沈めるパンチがメリーさんの全身を砕いた。

「え……あ…………アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

メリーさんの断末魔が響き渡った。


彼女の取り憑いた相手は『虎武士出こぶしで 殺造やるぞう

総合格闘技の世界チャンピオンだった。

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