女の子と真夜中の病院と古いラジオと猫。

雨世界

1 お誕生日プレゼント、どうもありがとう! ……とっても、嬉しいです!!

 女の子と真夜中の病院と古いラジオと猫。


 プロローグ


 Good Night グッドナイト 


 本編


 お誕生日プレゼント、どうもありがとう! ……とっても、嬉しいです!!


 その日、女の子は自分の九歳の誕生日に、一台の古い中古のラジオを病院の先生や看護婦さんたちからプレゼントされた。(それは古いラジオだったけど、とても丁寧に手入れがされている、アンティーク調のとても素敵なラジオだった。ぐるぐると回すタイプのダイアル式のリモコンもかっこよかった)


「本当にこれ? 私がもらってもいいんですか?」

 大きな瞳を二つともきらきらと輝かせながら、女の子はそう言った。


「もちろん。いいよ」太っちょの病院の先生はとても穏やかな笑顔で女の子にそう言った。

 女の子は次に看護婦さんたちを見た。

 女の子の面倒を見てくれている、二人の看護婦さんたちは「もちろん。お誕生日おめでとう」と言って、小さくぱちぱちと拍手をして、笑顔で女の子の誕生日を祝福してくれた。

「どうもありがとう!!」と女の子はまるで太陽のように明るい笑顔で、みんなに言った。


 それからの女の子の病院での生活の中心は、その古いラジオになった。

 女の子はくるくるとダイアルを回して、ラジオを調整して、いろんな音楽を一日中、ずっと飽きることなく、ベットの上で聞いていた。(もちろん、音は小さくしてだけど)


「にゃー」

 そんなところに、一匹の黒猫がやってきた。

 その黒猫は、本当は病院で猫を飼うことなんて絶対にできないのだけど、女の子がこの病院の中で拾った、ずっと病院に入院している、孤独な女の子の唯一の友達である猫だった。

「あ、猫ちゃん」女の子が言う。

「ほら、こっちにおいで。猫ちゃん」女の子は黒猫を手招きした。

 すると黒猫は「にゃー」と鳴いてから女の子のベットの上に移動をした。


「猫ちゃんも一緒に音楽、聞こうね」

 女の子が言う。

 でも、その生意気そうな黒猫は、別に音楽に興味なんてないよ、と言ったような表情をして、女の子の体の上で丸くなって、そのままその場所で一人で勝手に、眠ってしまった。(それはいつものことだった)

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