死の病に侵されたお金持ちの老人は、最期に橋を作ろうと決めた。決して完成することのない、未完成の橋。老人が最期に作りたかったものとは?「渡れない橋」に惹かれて一気読みしました。橋を作ったご老人、死を目前にして急に善人になりましたが、それ以前は皇帝と同じような人だったのでは…………なんていうのは、ひねくれ者の感想ですね。ご老人がいなくなった後の、残された人の奮闘を詳しく知りたくなりました。特にティム君と賢者さんが気になります。
老人と少年の一つの出会いから話が動き出します。 富豪の老人が街へ遺そうと挑んだ大事業が、それにかかわる様々な人々を巻き込んでいきます。作者の研究が生かされたスケールの大きな作品です。冒頭の主人公の状況と背景描写を重ねていく表現手法もよく考えられています。文章の丁寧さと長すぎない量で、読みやすさと面白さを両立させていると思います。