とある少女が19歳の時にぬいぐるみと共に家出をしました
足芽ガイジ
第1話
少女は幼い頃から虐待を受けていました
父親は全く干渉してこない家庭で弟贔屓の母親に毎日怒鳴られ酷い時は水の貯まった浴槽に頭を押し付けられある日には包丁を持った母に心中を持ちかけられました
少女は不登校気味でした
それも母親から離れたくないと言う我儘が理由でした
常に「電柱が倒れてきたらどうしよう」「トラックに跳ねられたら死んでしまう」等と死を連想しては泣き喚き妄想から離れられませんでした
きっとこの頃から妄想性障害と全般性不安障害を患っていたのかもしれません
なので母親は自分から切り離すように毎朝泣き喚く少女を引き摺り引っぱたき無理矢理学校に連れて行きました
小学四年生まではそれが日課でした
それでも少女は母親のことを嫌いになれませんでした
何故ならそれを虐待と思っていなかったからです
小学四年生の担任はいい人で
次はその人に依存するようになりました
ですがそこから少女は自分を見てもらうために必死に
アピールを始めました
ある日は同じクラスの少年と喧嘩をし
ある日は万引き等の犯罪に手を出し始め
ある日はタバコに手を出し始めました
中学生になった少女は新しい環境の中で部活を始めその中で虐められ始めました
入学初日に「友達になろう」と声を掛けた親友だけが助けでした
それからの日々は酷いものでした
部活に行けば大勢に囲まれ「辞めろ」と沢山の罵詈雑言を浴びせられ自分の部活動の席に着けば辞めて欲しいという内容のラブレターが大量に置いてありました
そして少女は再び不登校気味になりました
それでも行く理由は親友に会う為でした
少女は親友が大好きでした
少女がリストカットを覚えたのは中学一年生でした
丁度スマートフォンが普及し始めネットに触れたところから沢山の知識を入れるようになりました
小学生の時点で心の成長が止まってしまった少女は
また人に注目されることに焦点を当てました
そして辞められなくなったのがリストカットです
流石に自傷行為に手を付けた少女に対して母親は心配するようになりました
少女はとても嬉しくなり傷を増やしていきました
段々と保健室登校になり始めた少女にも親友はいつも会いに来てくれました
保健室登校の最中、保健の先生に紹介されたスクールカウンセラーに出会いました
そこで“スクールカウンセラー”という物を知りました
スクールカウンセラーに会った初日は母親も同席しました
少女は虐めにより元よりあった人見知りが酷くなり
スクールカウンセラーにも話が出来ませんでした
話し始めた母親は学校の虐めの事を話始めました
少女は虐待のことを隠され酷くショックを受けました
その後は心を開かない少女に対しても優しく話し掛けるスクールカウンセラーのMさんに依存するようになりました
二年の半ばから学校に行かなくなった少女はMさんに紹介されたフリースクールに通い始めました
一年が経ち卒業式の日、保健室で待機していた少女に
卒業式に一緒に参加しようと親友は飛び込んで行きました
それでも少女は人を信用出来なくなり人目につくことを避けるためそれを拒絶しました
それが初めて本気で親友に拒絶したことでした
少女はその事に対して今でも心を痛めています
通信制高校に入った少女は非行が酷くなりました
そして元スクールカウンセラーのMさんに紹介された精神病院に通い始め現在の主治医のK先生に出会いました
だんだんと非行に走り始めた少女に母親は再び激怒し始めました
それから逃げるように少女は父親に依存し始めました
父親に煙草をねだり的屋で働きました
働き始めた少女に母親は次に金を要求しました
段々と父親を見ているうちに自分のされていた事は
おかしい事であったことに少女は気付き始めました
それをK先生に話したのは病院に通い始めた二年目のことでした
“虐待”という言葉を知ったのはそれが初めてでした
それから少女は母親のことを嫌悪するようになりました
ただ金を要求する母親に嫌悪感しか抱かなくなった少女は反抗期になりました
病院に行き始め薬を処方された少女はオーバードーズに手を出し始めました
そこからは自殺未遂の繰り返しの日々でした
少女にとって地獄でしかないその生活の中での救いは“死”のみでした
ある時自殺未遂が余りにも酷くなった少女は入院を
するようになりました
そこで出会った研修生の看護師ととても仲良くなった少女は次に居場所を見つけ入退院を繰り返しました
閉鎖病棟での生活は楽しいものでした
不良の少女とトランスジェンダーの男性と仲良くなり三人でタバコを吸いに外出し常に三人で行動していました
退院したくないとまで思うようになりましたが高校を留年し四年生になり卒業した少女はフリーターとなり働き始めました
働き始め母親に更に金を要求されるようになった少女は初めて「母親から逃げたい」と思うようになりました
働かなければ食事を摂るなと言う母親の言うことを大人しく聞いていた少女は段々とストレスでの病気の悪化で働けなくなりました
そして餓死しかけた時に元よりあった多重人格が出ました
ネットに助けを求めた少女の別人格は生放送で必死に自分の現状を泣きながら話始めました
そこからは少女自身も曖昧な記憶の中必死に「生きよう」と思い、腐った納豆を食べお茶や氷で空腹を凌ぎ家を出るまで生き長らえました
少女はその時点で母親に金を取られ一文無しで何も買えない状態でした
なんとか逃げる分の交通費だけを残し必死に生きようとした少女に光が見えたのはその別人格のお陰でした
泣きながらネットに訴えた少女の悲痛なSOSは沢山の人に注目され気持ちが届いたのか一人の男性が少女を助けに夜行バスに乗って来ました
最低限の荷物を持つ少女は沢山の大切なものの中から一つだけ何かを持って行こうと思いました
それがマイメロディのぬいぐるみでした
とある少女が19歳の時にぬいぐるみと共に家出をしました 足芽ガイジ @krskhinato
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