最終夜


 私は、未来を殺した——



 そう、初めて彼女に会った日から一年後の四月に。世界を殺す前に、自らの手で。



 それが、彼女の望みだった。



 そして、世界も殺した。筈だった。

 なのに、私は、終わりのないループに囚われ、夢の中で何度も一年を繰り返した。

 何度も、何度も、繰り返した。


 幻の世界で一人、生きていたわけだ。


 私の腕には、彼女の着ていた制服。

 未来はもういない。世界も死んだ。


 ここに私の居場所なんて、とっくにない。



 大好きだった。愛していた。失いたくなかった。未来の笑顔をずっと見ていたかった。


 いつまでも、こんな日々が続けばと願ってしまった。


 概念である私の願いは具現化され、私自身に、幸福な夢を見せていた。


 そして、夢は終わった。


 前に進めなくなった私を、死にたがりの女子高生が助けてくれた。

 あの日、あの夜、私が彼女の手を取ったように、今度は未来が、私の手を取り救ってくれた。



 灰色の世界を、私は歩く。



 間引かれるべき世界へ、導かれるままに



 これからも私は、世界を殺し続けるだろう。


 消却の魔女、プルプルギスの夜として。





『プルプルギスの夜』が世界を滅ぼすまでは



 ——完——

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『プルプルギスの夜』が世界を滅ぼすまでは 神性鬼天竺鼠【かっぴゔぁら】 @kappivara

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